年明け以降、触れてみてよかった作品
※今月(2021年1月)はこんな作品に手を出したよ、というメモです。
・新作歌舞伎 風の谷のナウシカ
原作漫画を最初から最後まで網羅し、伝統的な歌舞伎の手法で表現した作品。前後編で約7時間!初めての歌舞伎としてはハードルが高く、劇場は諦めて円盤化を楽しみにしていたら、先にBSプレミアムで放送があったのでさっそく観た。
原作履修済で話の流れを知っているため、歌舞伎とはこういうものであるというのがわかりやすかった。水が出るあれ(本水)とか、赤や白の長い髪を振り乱すあれ(連獅子)も観られる。歌舞伎にも客降りの演出があるのか!?なんて意外で驚いたりもした。豪華な仕掛けが盛りだくさんで、これだけの長編でもまったく飽きない。伝統芸能を観られる素養は自分にはないかも…と思っていたが、まったく問題なかった。はっきりしたキャラクターやわかりやすい見せ場、コミカルなシーンもときにまじえ、歌や踊りもあるお芝居は、現代の2.5次元舞台に近いのかもしれない。そういえば、江戸時代の歌舞伎は大衆の娯楽でしたね。伝統的な演目も観てみたくなった。
和楽器アレンジのメインテーマを聴いた瞬間に、まず胸がいっぱいになる。女形のナウシカは原作よりも可憐に感じた(男性が演じることで女性性が強調されるのだろう)。
クレジットを見れば、演者だけでも相当な人数なのがわかる。見えないところでも、音楽や舞台美術、照明…舞台はたくさんの人の力があってこそ成り立つ。毎回一度きり、リアルタイムでしか味わえないその奇跡が素敵だ。ナウシカを歌舞伎で観ることができて、本当によかった。
・メギド72
「号泣するやつ」というゆるい認識しかなかったソシャゲ、じわじわ気になってきたので、3周年記念のタイミングでインストール。BGMにすぐさま魅了されSpotifyで聴き、ゲーム自体はお正月から本格的に遊び始めた。
敵に簡単に勝てなくなってから、バトルの面白さがわかってくる。こちとらゲームが下手なソロモン王、ボスに当たるたび「無理勝てない」と絶望しては、攻略サイトを参考に必死で育成。再挑戦したら「勝算があった!!」の繰り返しだ。苦労したぶん、勝てたときがものすごくうれしい。少しずつ慣れてきた気はするが、いまのところマルコシアスさん頼みの戦法一本。マルコシアスの奥義セリフ(「私の本性は獣!」)が頭に残りすぎて、個人的流行語大賞に決定せざるを得ない。
ストーリーは設定がしっかりしていて、安心して読める。イベントも程よい長さで、クリアするだけでキャラがもらえます。もうちょっと早く始めてデカラビアのイベントやればよかった…!
こんなに夢中になってしまうのは、ゲーム全体の雰囲気がなんとなく幻想水滸伝を想起させるからだと思う(私にとって初めてクリアしたRPGなので、刷り込み的にRPGといえば幻水なのだ)。アジトに仲間が集うところや、仲間がみんな個性豊かで、協力することはあれどマイペースなところがいい。
詰まってばっかりなのに飽きる気配がないので、課金もしようと思います。3000円ちょっとでキャラ指名ができるチケットがついてくるのはすごい。お金かけてガチャ回さなくても、配布キャラで十分勝てるのも事実だし…「商売っけがなさすぎる」というファンの言葉はお世辞でもなんでもなかった。
・呪術廻戦
試しに0巻(本編連載前のパイロット版)を読んでみたら、クライマックスの「失礼だな 純愛だよ」でもう最高…となってしまい、本編へ。続き!続きを!とKindleをめくっているうちに最新巻まで読み終わってしまった。
アニメが放映中で話題になっているのは知っていた。ジャンプのバトル漫画なんて、もう読めないのでは?と老いを感じていたけれど、この記事を読んで興味が湧いたのだ。既刊14巻なら全然追いつけるというのも動機の一つだった。
ここで語られているとおり、あらゆる少年漫画の系譜を継いだ表現。〇〇ぽいという意味だと、冨樫作品ぽさが特に顕著だった。話が進むほどテンポがどんどんよくなって、お茶漬けのようにサラサラ入ってしまう。
一方で新しいのは、ジャンプがだいぶ野放しにしていた男権主義や差別の助長に対して意識的なところ。押し付けがましさはなく自然に描かれていて、こういう作品を子供が読めるのはいいなと思う。
また、主人公の目指すものが明るい夢ではなく、自分と他者の「正しい死」なのが現代らしくて悲しい。特殊な能力をもった一部の人々が、愚かな大衆のために犠牲になる必要があるのか?といった疑問を抱くキャラクターもいたりして、本当にタイムリー。敵味方モブ問わずじゃんじゃん理不尽に死んでいくので、14巻にして心はボロボロである。
掛け算好きのオタクとして気になる関係性の二人もいるけれど、すでに両方故人になってしまった。まだ何も読んでないし書いてないのに…。
ちなみに好きなキャラクターは人より人の心があるパンダ。もっと活躍が見たい。敵では花御さんが好きです。
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