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文学フリマ東京38で買った本

2024年5月19日(日)に開催された「文学フリマ東京38」に行ってきました。もう2ヶ月も過ぎている…。
前々から興味はあり、友人を誘ったら快諾してくれたため初参加しました。ちょっと緊張していたのは、二次創作メインの同人誌即売会すら最後に行ったのが10年ほど前だから。対面販売にドキドキでしたが、作者の方から直接受け取れるなんてありがたいことです。ようやくほとんどの本を読み終わったので、一冊ずつ記録しておきます。


MiNoRi+ミノリト 創刊号 特集『聴く』(ミノリト編集部)

情報を見かけたときから創刊を楽しみにしていた。マイノリティが物語の装置ではなく、人間として生きている物語が読みたかった。一つ一つの作品を大切にしたくて、じっくりページをめくりました。「虎態(とらなり)」(村野真朱)を読み終えたときには、主人公たちの作り出す音楽と感情が胸に響いて、じんわり涙が出た。

『クィアフェムによる恋愛ZINE』(クィアフェムによる恋愛ZINE編集部)

文学フリマの帰りの電車で食い入るように読んだのが印象深い。知的で深い座談会とエッセイでした。自分は女性を好きだったことはあってもクィアのコミュニティに属したことはないので、クィアとしての恋愛事情を知るのも恋愛についての語りに共感するのも、初めてかもしれなかった。異性愛者として生活して社会の制度に乗れる人は、ここまで恋愛の解像度を上げる必要があまりないのだろうけれど、それが不思議だと改めて思う。

『うすうす知っていたよの寿司の部分』(アーカイブ騎士団)

部分ツイートの人の部分ツイートによる小説。部分ツイートづくしのクリアファイルに入っており、部分ツイートが活版印刷された名刺もいただいた。豪華すぎる。「うすうす知っていたよの寿司の部分」はセッションのように部分ツイートが連なるラストが好きです。とてもいのちを感じる作品。

アンソロジー『夢でしかいけない街』・『非実在神様』・『名刺をめぐる記憶あるいは空想』(秘密結社きつね福)

この人の小説読みたい!!と思っていた方が参加するアンソロジー。前から欲しかったのでまとめて3冊買いました。いずれも装丁が美しく、どこか遠くへ連れて行ってくれる物語で溢れていて、小説を読む楽しさに存分に浸れる。特に好きだったのは「シャク太郎の呪い」(鮭とば子)『夢でしかいけない街』、「高峰」(紅坂紫)『非実在神様』、「オーロラ」(大木芙沙子)『名刺をめぐる記憶あるいは空想』。

フリーペーパー『ミッドナイト5号』(ミッドナイト編集部)

知らない間にバッグに入っており、なんだなんだ!?と思ったら、秘密結社きつね福さんのところで受け取ったフリーペーパーだった。こちらを読んだおかげで、歯科クリニックに予約の電話を入れることができました。

『編む』(後藤麻衣子)

俳句とカリグラフィーの味わえる本。文学フリマには見本誌を閲覧できるコーナーがあり、そこでめくって一目惚れしたのでブースに駆け込みました。孔版印刷によるインクの色合いが、カリグラフィーにも俳句にもぴったりでかわいらしく美しい。透き通った気持ちになれる俳句を読んでいると、それぞれの季節を懐かしくいとおしく感じる。


文学フリマに行ってよかったのは、読むのも書くのも楽しい!というエネルギーに満ちていたこと。ここ数年どんどん規模が大きくなっているらしく、以前から参加する人には思うところもあるという話を目にするが、間口が広がったぶん初心者には参加しやすい気がする。今冬ビッグサイトで開催される東京39にも、友人と行くつもりだ。
あとは印刷所の出店がもう少し多いと嬉しい。あの熱量を浴びると自分も本作ってみたくなるので、その場で印刷見本を手に取れたらとても助かるなぁと思いました。

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