水民マガジン 水泳を教えはじめた頃
水泳を教える仕事を始めるきっかけは 最初の大学受験に失敗し すでにフラフラするモードが漂っていたわたしに 母親がチラシを見せて言った言葉だ
『こんなん来てるよ あんたどうせフラフラしてるんやったら これやってみたら』
チラシは 新しくオープンしたスイミングのもので 会員募集の隅に 求人募集も載っていた
自転車で 求人や入会を受け付けている事務所に行った すると きれいなおねえさんと かわいらしいおねえさんがいた
偶然 同級生が別の日に 面接に行ったらしいが 彼は そのきれいなおねえさんで アルバイトをするのを決めたそうだ
その後 わたしは 別の場所にあるプールに 車で移動をし 運転している社員と話しながら現場に向かった
面接らしい面接をした記憶がない
後日 採用が決まった
当時は スイミング隆盛の時期で さらにバブル前夜で 世間のテンションは 今の消費税分ぐらい高かったように記憶する
それから半年ほど経った頃 スイミングの会員が 2000人を突破したので 記念パーティーをプールサイドでやる という話しになり 本社からスーツを着た お偉いさん方も来て 立食パーティーをやった
アルバイトの私たちは その様子を ぼーっと眺めていたのだが そのうち驚くべき事がはじまった
本社から来た面々の間で プールへの落とし合いがはじまったのだ
激しい攻防の合間に みんなに手足を持たれたスーツ姿のおじさんが
『時計だけははずさせてくれー』と 自分の身より高級時計を気にして哀願したが 高級時計もろともプールに落とされた
数年後 落とされた人も 落とした人も わたしの上司になった
社員として 北関東のスイミングに配属されて程なく ニヤニヤ笑いを顔に貼りつけたスタッフに取り囲まれた
来た来た来た
わたしは抵抗したが(高級時計は着けていない)多勢に無勢で プールに落とされた
が ひとり道連れにしてやった
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