水民マガジン  カヌー(カヤック)の楽しみ

カヌーを楽しむには いくつかのハードルがあると思う
まず カヌーを楽しめるフィールド(多くは自然の中)に行かなければならない
次に 漕ぎ方その他 道具の使い方を 学ばなければならない(自我流でやるのも ひとつの方法だが スクールで教わるのが 結局は1番手っ取り早い)
他のフィールドに関しては 知識があまりないので 川のカヌーについて 語りたい
ここまでで カヌーという言葉を使ってきたが 厳密には カヌーとカヤックは違う
とこが違うかというと 使うパドルが違う
ちなみに パドルはオールではない
この違いの説明を 正式に 日本パドル協会に問い合わせたわけではないのだが おそらくボートに固定されているのをオール 固定されていないものを パドルと呼ぶのだと思う 
カヌーとカヤックの違いだが カヌーは シャフト(棒の部分)の片側のみに ブレード(水かき)がついていて 反対側にはT字のグリップがついているパドルを使う 一方カヤックのパドルは シャフトの両側にブレードがついていて 交互に水をかく
したがって 生態としては サップ ラフトボートはカヌー目に属し クロールはカヤック目に属する(んなアホな)
カヌー カヤックの使い分けは カナディアンカヌーが盛んな北米では厳密で ヨーロッパ 日本なんかだと かなりアバウトのようだ
イヌイットなんかは 自分の乗っているカヤックをカヌーと呼ぶなんて 死んでも許さないだろう イヌイットの人に聞いたことがないから知らんけど
そんなわけで ここからの説明は 主にリバー・カヤックについてです
カヤック(カヌー含む)には 大きく 2つの材質で あ 3つ いや 4つかな
がある
ポリエチレンとコンポジット
あと ウッドとか布地とか アザラシの皮とかあるんだろうが 一般的に 上の2つが代表的だ
コンポジットは グラスファイバーやカーポンなどを樹脂で加工するもので 軽いので レースで使われるのは ほとんどがこれだ
しかし 岩などにぶつけると 壊れてしまう
反面 修理ができる
2つに裂けても修理可能だ(重くなるけど)
ポリエチレンは ほぼメンテナンスフリーで 少々岩にぶつけても 壊れない(長瀞の岩は別)
しかし 経年劣化はあるし 重い
一度壊れると 修理が効かない
ガムテで補修ぐらいがやっと
御嶽渓谷(奥多摩)で 台風後に 岩にダリの『柔らかい時計』みたいに貼りついていたポリエチレンのカヤックを見たことがある
まさしくシュール・レアリズム
しかし 取り扱いはしやすい
プレイ・ボートといわれるカヤック(カヌー)のほとんどはこれだ
フリースタイル 川下り などに適している
初心者も ポリ艇から入るのが 一般的だ
コンポジットのボートに比べて 値段も安い

わたしは 最初 江戸川でカヤックを始めた
三郷 松戸をつなぐ有料橋の下に艇庫があり 橋の下からカヤックを出艇し 流山方面に漕ぎ上って行くと 途中に中洲があり 初心者の間は そこまで漕ぎ上って戻る というのが 定番のコースだった
その後 上達すると 流山まで漕ぎ上ったり 逆に 下流に向かって下って行って 矢切りの渡しまで行って 戻る といったコースでカヤックを楽しんだ 都会を流れる川であり あまり水がきれいではないのだが 自然が多くあって 時々魚が跳ねるのが楽しい
誰かが捨てたテレビが 水面に突き出ている というシュールな絵づらも あったりもしたのだか 川から見る景色を眺めつつ ポートを漕ぐのは 理屈抜きに楽しい

しかし 最初の間は 前にまっすぐ進まない問題に遭遇する
わたしが 初心者の頃 よく使っていたのは パーセプション社の『ダンサー』というボリ艇である
海で使うシーカヤックと違い リバー・カヤックは直進性よりも 回転性を重視する
でないと 岩をかわしたりできないし
ダンサーは その中でも 比較的直進性があるボートだという認識があったと思う
しかし 回転性もそこそこあり 一旦曲がり始めたら 一度止まって 向きを変えて また 漕ぎはじめて曲がる 以降 永遠にリフレイン サティーの曲のように
となる
当時のわたしを含め ボートが曲がるのは まっすぐ漕げていないからだ と初心者は勘違いする
そして落ち込む
初心者のボートが曲がるのは まっすぐ漕げていない それもある
それもあるのだが 実は もっと大事な原因がある よく聞いて いや よく読んでもらいたい
初心者のボートが 曲がるのは 曲がりかけ 曲がり始めた時 の修正が効かないからである 上達すると 曲がりはじめの兆候が察知できる そして手遅れにならない段階で微調整をしている
だから まっすぐ漕いでいるように見えるのである
ストロークの軌跡 パドルの角度を分析すると 恐らくはジグザグに漕いでいるのだ しかし その結果 カヤックはまっすぐ進んでいく

つまり カヤックを真っ直ぐに漕げるようになる とは 自由に曲がる事ができる というのに等しい
そして この段階になると カヤックは 本当に楽しくなってくる
頑張ってください!!




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