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漫画の感想

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2023年5月の記事一覧

「推しの子」が面白いと思うのは、自罰感情という負のエネルギーに満ちた話だからだ。

「推しの子」が面白いと思うのは、自罰感情という負のエネルギーに満ちた話だからだ。

※原作のネタバレがあります。注意してください。
※いま現在発売中の11巻までの感想です。

 ↑の記事は、評判になっているからとりあえず言及しただけみたいな内容なので、何か言うのも何なんだけど

これは首をひねった。
 冒頭から吾郎の視点で始まるから、すぐに吾郎→アイへの感情がメインの話だとわかると思う。
 アイのビジュアルが多いのは「吾郎の視点(推す側)」の話だからだ。タイトルもまんま「推しの子

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「君が獣になる前に」全8巻感想。結末にがっくりきたが、それでもこの話が持つ可能性が好きだった。

「君が獣になる前に」全8巻感想。結末にがっくりきたが、それでもこの話が持つ可能性が好きだった。

*ネタバレ注意。

 7巻を読んだ時点での予感的中、どころか予想の十倍ひどかった。
 まさかあんなモブに毛が生えた程度のキャラに突貫工事で背景をくっつけて、「誰の中にでも獣はいる」みたいなこれまで三百回くらい聞かされた一般論にまとめて終わりになるとは……。

 目の前で大勢の人間がもがき苦しみながら死んでいく様を見ていられるのは、「世界を壊したい波が来るかこないか」ではなく「とっくに一線を超えてい

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「【推しの子】」感想。「母を救えなかった息子」問題について。

「【推しの子】」感想。「母を救えなかった息子」問題について。

「【推しの子】」を既刊11巻いっき読みした。
 人気があるだけあって凄く面白かった。

 読んでいてちょっと気になることがあったので、そこへの言及。
 *ネタバレ注意。

 11巻までの話の文脈だと、この話の根本の問題は「母を救えなかった息子問題」だ。
 吾郎の中の「救えなかった母」はアイではなく「吾郎母」だ。
「吾郎を出産することによって母が死んでしまった」→「自分が母親を殺してしまった」という

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