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フロンターレはなぜ3連覇を逃したのか、OKR的観点から考察する

目標管理ツールとして王道になりつつある(?)OKRという手法。
Objectives and Key Resultの頭文字をとってOKR。
詳細はググればすぐ分かるので、このOKRを使って
今年なぜフロンターレが3連覇できなかったのか、
そこを考えていきたい。

KRは目的ではなくあくまで物差し

KGI/KPIに慣れた僕たちは、
Objectiveは定性的、KRは定量的と言われた通りに設定すると
ついついKRに設定された数値を目指してしまう。

重要な考え方だと個人的には思うのだけど
目指すべきは「Objective」のほうだ。
なぜならこっちが「目標」なのだから。

つまりObjectiveが後から決まる、なんてことはあり得ない。
まずはObjective。自分たちは何を目指すのか。
定性的な目標だから、「どれくらい達成できたか」が明確にならない。
だからKRを設定して、これが達成できたら
このObjectiveも達成できた、と言っていいんじゃない?
これがOKRの考え方。

結果的には同じになるのかもしれないけど
Objectiveに向かって動くのか、KRに向かって動くのかは
まるで意味が変わってくる。
仮に指標にしていたKRがObjectiveの指標として不適切だったら?
KRしか見ていない人たちはそれに気づかないだろう。

フロンターレにおけるOKR

川崎フロンターレが今年何を目指していたのか。
去年まではどうだったのか。
これをOKRというフレームワークで考えてみる。

初めてタイトルを獲った2年前。
2連覇を達成した昨年。
どちらも「タイトルを目指す」というのはありつつも
「攻守で圧倒する」
というのがObjectiveとしてあったと思う。
そのKRとしてタイトル獲得だったように思うのだ。

さて、今年はどうだったか。
「4冠を目指す」
がシーズンの目標になった。
これは今までならKRにいた要素だ。
あくまで目指すべきは「攻守で圧倒する」ことで、その結果としてタイトルが入ってくる。
それが今年はタイトルを取る方が目的になってしまい、どのようなサッカーを目指すのか、
そこがとても曖昧になってしまった。

昨年の路線を継続する、みたいな
曖昧な方向性では、皆のベクトルを揃えることは難しかった。
タイトルの優先順位もつけることができず
ルヴァンはギリギリ獲れたから良かったものの
あれもリーグタイトルがほぼ不可能になって
やることが絞れたから何とか獲れたものだと思っている。
つまりは手を広げすぎたのだ。

方向性を揃えるためには、目的を絞ることが重要だ。
いっそ「ACLを全力で獲りに行く」くらい
思い切ってしまっても良かった。
それならそのためにどういうサッカーを目指すべきか
既存戦略の見直しが絶対必要だったから、
それなら新メンバーをもっと活かすやり方もできたと思う。

参考までに他業界を見てみる

グループアイドルとプロスポーツは似ている、
というのが個人的持論なので比較してみるが
今年3月にデビューした日向坂46は
(グループカラーは水色で一緒!)
それまで「けやき坂46」として
欅坂46の妹グループという扱いだった。

当時のけやき坂46にとってのObjectiveは
「自分たちの存在意義を定義する」
だったと言ってもいいだろう。

曲は出せるけどカップリングのみ。
表題曲に参加することは基本的にない。
そんな状況でやれることといえば
与えられたチャンスは全力で取り組むことと、
欅坂46とは違う自分たちの個性を出すこと。

その先に見出したKRが
・ハッピーオーラを1人でも多くの人に届ける
・2018年内に単独シングルデビュー
だろう。

結果としてちょっと間に合わなかったが
 2019年3月に単独デビューを果たし
「日向坂46」という名前を得て
当時のOKRは達成したと言える。

ただ、「全員が一丸となれる目標がない」
というのが現在の問題点として浮かび上がって来ている。
以前は欅坂46を基準として考えれば良かったが
独り立ちをしてから周りを見渡してみると
「ハッピーオーラ」はアイドルの基本とも言えるもので、個性として武器にするにはやや弱い。

単独シングルデビューのような明確な目標も
なかなか設定するのが難しい。
例えば武道館ライブ、例えばドームツアー、
例えば紅白出演、いくらでもあげられるけど
それって一体何のため?どうなりたいの?
いわば武道館もドームも紅白もKRでしかない。
明確なObjectiveがない状態で
あれこれ具体的な施策をあげたところで
チームは1つにまとまることはできない。

つまりはサッカークラブのタイトルも同じだ。
武道館やドームや紅白だ。目的にはならない。
あくまでその道のりを示す指標でしかない。

どんなに確からしい数字や施策だったとしても
ObjectiveなきKRに何の意味もないし
達成できる可能性も下がるし
達成しても一体何が残るのだろうか。

つまり目標設定は大事なんですよという話

だいぶ話は脱線したものの
目標設定はとても重要で難しいものだ、
そしてそれを失敗したのが今期フロンターレが
苦戦した最大の理由である、と思う。

もっと細かい戦術の話とかも当然あると思うが
そもそもそれも目的が正しく設定された上で
その目的に対してどうか、という話でなければ
前提が揃わないので議論にもならない。

今オフはそれなりに選手の移籍が発生しそうな気配がある。
それはこのチームが目的を見失っていることと
無関係ではないと思う。
本質的なObjectiveが設定されないまま
結局目的が達成されなかった場合、
次の行き先を見失ってしまう。
行き先のわからない船に乗り続けるのは怖い。
そして人は離れて行く。
つまりフロンターレは早急に次の旗を立てないといけないのだ。

天皇杯の結果が出るまでACL出場有無がわからないから編成が進められない、とか言ってる場合じゃない。
改めて「攻守に圧倒する」を目指すのであれば
そのために何をするのかを決めなければならない。

チームとは同じ目的のために集まった集団である。
目的のない集団はただのグループだ。
フロンターレは高みを目指すチームであってほしいと思う。

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