2022/07/02(土)

とめどなく流れる蛇口からの水は、いくら放っておいてもぬるいままだった。グラスに入れて飲む。浄水器越しの澄んだ味。そして少し、都会の味。

喉を通りずぎる水は冷たさが足りずに、若干のストレスを僕に与える。これだけ暑いんだから、もっと冷たくないと足りない。

シャワーを浴びる。

僕は気付く。

さっき飲んだ水と同じ温度の水なのに、体に浴びるとそれは鋭い冷たさを見せつけてくることに。

「人間、絶対なんてないんだぜ。」

と、誰かが言った。

僕の体は絶対ではなかった。水の方が強固な絶対だった。

変わらない水の冷たさに、皮膚一枚しか隔てていない僕の体は、ただ中から外へその暖簾をめくっただけで、もう耐えきれなくなる。

なのに、浴びた後、汗だくでひねった蛇口をまた口にすると、

「ぬるい。」

と、言う。

クーラーの効いた部屋に飛び込んで、扇風機にむしゃぶりつくようにしてしゃがむ。

動かない雲を窓越しに見ると、昼間の暑さがもっと汗をかけと僕に訴えてくるようだ。

ぬるい水を飲む。

「故郷?そんなの、生まれた場所でも、育った場所でも、今住んでう場所でもないよ。」

「じゃあ、どこだよ?」

「貢献したい、と思った場所さ。」

もう一杯、ぬるい水を飲む。

汗はまだ引かない。

・・・

今日も夜が来ました。

Good night.


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