2022/06/21(火)

バスが揺れて、濡れた傘がジーンズに小さなシミを作った夕方。

歩道は傘に占拠されてしまったかのように、窮屈そうに身を屈めて見えた。シャーシャーと車が音を立てる。信号が変わるたびに雨脚が強まっていく気がして、いや、実際そうだったかもしれない。

「今日はうまくいかなかったなぁ。」

水滴でぼやけた街並みを眺めながら、誰にも気付かれないのをいいことに、小さい声で言ってみた。

今日の僕を、あの時の君が見ていたら、どう思うだろう。君はあの時の僕のままで、今の僕もいると思うかい。そんなわけないだろう。だって、君だってそうだろう。あの時のままの君でいるなんて、それこそおかしな話なんだから。

暗い画面に映った僕の上半分の顔。すぐにアルバムアートワークに変わる。

「こんな日もあるさ。」

「そんなこと言ったってさ、僕も完璧じゃないんだよ。」

心に沸いた黒いスモッグ。少しでも換気しようと、慰めるように窓を開ける。

帰りの長い電車の旅は、逃げ込むように文庫本を読んでいた。

さ、今日は雨で涼しいから、休もう。

どうしたって、また明日は来る。

・・・

今日も夜が来ました。

Good night.

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