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「腋臭大国に移住したい!」という腋臭足臭野郎な私の夢

1.いんとろだくしょん(前置き)

 猛暑日が続いておりますが、皆さま如何お過ごしでしょうか。
 私はといいますと、今年の夏はマイスウィートホーム(橋の下)で、無期限のさまぁばけぇしょんを送り続けると思っていました。実家に送還されてからは、海釣りやら夏祭りやら海水浴やらへ、あちらこちらへとフラフラと行ってみるなどして、何やかんやで夏を満喫しております。あとは花火と水着のオネーサンを拝められたら言うこたぁありません。あ、スイカも食べたいナ。 
 そんなこんなで、ここ最近、今年の夏は、毎日お気楽モードで過ごしております。昨年の夏は、本格的にメンタルが闇落ちし始めた頃だったんですけどね――ここ数年、春にヤラかし、夏に闇落ち、秋に蟄居し、冬に失踪、そして翌夏に舞い戻ってくるという周期的行動を繰り返しています――。
 浮かれている時期もあれば闇落ちしている時期もあるように、これと同じように、私にとって、夏はいいことばかりではありません。  
 動くだけで汗ダラダラ、
 拭けども拭けども大量噴出する汗汗汗、
 そしてこうなったがサイゴ、形成される地獄空間――、
 ――腋 が 超 絶 最 凶 圧 倒 的 に 臭 ぇ――。

2.私の腋臭

 夏場は生ごみが臭いを発しやすくなるように、私の腋もまた、夏場は刺激臭を放ちます――"夏場は"と表現すると、私の腋臭が、まるで期間限定的なものであるかのように解釈されるかもしれません。いいえ、残念ながら、春夏秋冬、四六時中、隙あらば、臭いを放っています――。 
 刺激臭が具体的にどんな臭いかというと、
 ある時は「酸っぱい」を濃縮したような強烈な臭さ、
 ある時は夏場に放置された腐った玉葱のような臭さ、
 ある時は洗わず酷使し続けた雑巾のようなカビ臭さ、 
――とでも言ったところでしょうか。どれも最悪ですね。もっとこう、ラベンダーとか、お花畑とかの香りみたいな、まともな香りはないのでしょうか。ないです。断言即答します。夏場の密室空間に充満するこれらの臭いは、まさにバイオテロです。
 風呂入って毎日着替えろよ、と言われるかもしれません――この至極ご尤もなご指摘に対して、確かに私は強く反論できるほど清潔感を保ってはいません。ダメじゃん。臭ッ。一応ほぼ毎日着替えも入浴もしてるんだどナ――が、それだけで解決するような、一筋縄でいってくれるような、そんな生易しい奴らではないのです、マイスメルスは。

3.腋臭の正体

 解ってくれとは言わないが、そんなに俺が臭いのか。どうして俺は臭いのか。どうにかならないものかと、「腋 臭い」と、率直にグーグルで調べてみたところ、腋臭と書いて「ワキガ」と読む症状があると知りました。知ったのは中学生の頃にまで遡ります。当時の私は、ワキガの友人を馬鹿にしていました。その自分自身もまた、実はワキガであると判明したのです。因果応報とでも言いますか、滑稽とでも言いますか、私自身は天罰を受けたのだと認識しています。
 ワキガのメカニズムですが、人の腋などごく限られた部分にのみ存在する「アポクリン汗腺」から分泌される汗が、腋の常在菌によって分解されると、臭いが生じます。このアポクリン汗腺こそが、バイオテロの元凶なのです。日本人、中国人、韓国人は、このアポクリン汗腺の保有数が少ない傾向にあります。日本人のワキガ率は僅か10%、中国人・韓国人はさらに少なく3~5%です――余談ですが、ワキガ臭は、太古にはフェロモンの役割を果たしていたそうです。私がもし縄文時代に生きていたのならば、毎日モテモテのウハウハだったのでしょうか――。
 セルフワキガチェックをするには、耳垢が湿っているかどうか、調べればよいです。私の耳垢ですが、ハイ、見事に湿っていました。そうです、私は日本で少数派の「選ばれし者」だったのです。全然嬉しくないです。

4.腋臭の弊害

 ワキガの何がキツイかというと――周りの人たちこそスメルハラスメントという理不尽を一方的に受ける立場にある被害者ですので、臭いの発生源であり加害者である私が"キツイ"と言うのは大変おこがましいのですが――、自分自身では臭さに気づかない点にあります。常時間近で異臭に晒されるため、鼻が麻痺してしまっているのです。鼻を近づけりゃ、流石に気付きますけどね。
 自分がキツイ臭いを感じずに済むのに、いったい何がキツイのか、「選ばれし者」ではない人々にとっては、理解不能であるかもしれません。勿体ぶらんでえぇから何がキツイか早よ言え。
 ――自分の臭さが人と関わるのを大いに妨げます――。

 臭い(におい)そのものに気づかないくせに、臭い(くさい)という自覚はあるものですから、人と会うのを極度に恐れるのです。
 私がもし人をランチに誘ったならば、自分の臭いによって折角の料理が飯まずゲロまずになり、誘いを受けてくれた人を激しく後悔させてしまうだろうと考えます。私がもしヒッチハイクをしたならば、自分の臭いが車内に充満し、厚意で乗せてくれた人を激しく後悔させてしまうだろうと考えます。私がもし人の家に訪問したならば、自分の臭いが室内の様々なものを汚染し、中に招いてくれた人を激しく後悔させてしまうだろうと考えます。
 ――このような後ろ向きな考えを持っていますので、私がどれだけ尊敬し、興味深く面白いと思う人たちであったとしても、私自らその人たちに向けて、個人的に時間を頂戴するなどといったアプローチが出来ないのです。私が興味を持つ人たちの様々なイベントや活動に直に参加することが、私に出来る精一杯のアプローチです。その結果として、相手の方から私に向けた個人的なお誘いがあった時に初めて、私はその人と個人的に会うことが許されたのだと認識出来るのです。
 それでもやはり、私のスメハラに対する我慢を強いている事実に変わりはありません――イベントに参加する方が、寧ろ被害は拡大しているとも言えるでしょう――ので、心苦しさを感じるのです。嘗て、図々しくも、様々なコミュニティに参加していましたので、説得力に欠けているとは思いますけれども。

5.腋臭を解決するには

 先述した通り、ワキガ対策を弄しても弄しても、奴らマイスメルスはあまりにも強大です。ワキガ手術というアポクリン汗腺を除去する根源治療もあるのですが、これは費用が掛かりますし、必ずしも完治するわけではなく再発の恐れもあるらしいのです。そして何より手術童貞は出来る限り保ちたいという変な意地があります。本当にスメハラを心苦しく感じてるのか怪しいですね、こいつ。ここ最近は足も臭いし、嗚呼いったい私はどうすればよいのか。
 ――全 員 が 俺 と 同 じ く 腋 が 臭 い 奴 ば か り の と こ ろ に 移 住 す れ ば よ く ね ?――

 日本人のワキガ率が僅か10%であるのに対し、欧米人のワキガ率は約80%~90%、黒人については、ほぼ100%です。グローバルな視点から見れば、「選ばれし者」は多数派なのです――世界の約5人に1人が中国人なのだから違うのでは?という指摘は野暮ってもんです――。
 腋臭大国であれば、「俺も臭いが君も臭い、皆臭くて皆いい」という気持ちで、堂々と前向きに生きていける気がするのです。腋臭大国の住人から、あの忌々しい刺激臭を、野性的で魅惑的なスメルへと昇華出来るような香水を、その用法を、紹介してもらえる気がするのです――何もお花畑の香りになりたいとまで、贅沢は言いません――。
 ――腋臭(ワキガ)大国――。そこは私にとっての、心のユートピアなのです。

6.こんくるーじょん(結び)

 腋臭大国への移住――。これが、マイスメルスによる公害問題の解決策として、私が導き出した答えであり、私の夢です。このような、実にしょうもない理由による国際交流があっても、別にいいんじゃねぇかなーっと、私は思いますが、如何でしょう。まぁ、8割ジョークで2割マジって感じですけどネ。
 それでも、夢は言葉にして語れば実現に近づくと言われていますので、このようにして文章化してみた次第です――夢語りというよりは、私の腋は臭いという周知の事実の告白ですけれども――。
 というわけで、どこかオススメの腋臭大国をご存知の方は、私に教えてください。出来れば、毎日お気楽にのんびり暮らせるところがいいです。
 そして、最後に、ここまで読んでくださった皆さん。本当にありがとうございます。お礼として、私の腋の臭い、嗅いでもいいヨ♥(嫌ニ決マッテンダロ!!)
 おわり。 #エッセイ #コンプレックス #夢 #夏 #ワキガ  
 

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