2022年参議院選挙公約比較(エネルギー・環境政策編)

 どうも、来月7月10日に投開票を迎える第26回参議院通常選挙。今回はエネルギー・環境政策について比較していきます。今年3月東京電力管内で発生した電力需要逼迫危機から東日本大震災から転換したエネルギー政策が正しいものだったのか、更には原油価格の高騰から発した電気代の価格高騰も誘発。欧米を中心とした脱炭素社会も進められ、資源量が元々少ない日本にとって岐路に立たされています。各党はどの様な政策でこの難局を乗り越えていくのか見ていきましょう。

各党はどのようにエネルギー環境問題を取り組むのか

 2011年の東日本大震災から原発政策は推進から規制方向に向かいました。東日本大震災以前の2009年度の電源構成は、原子力29.2%、火力が57.2%(石炭24.7%、LNG29.4%、石油等7.6%)、水力 8.1%となってました[1]。
 大震災以降の2019年度の電源構成は火力75.7%(LNG37.1%、石炭31.8%、石油等6.8%)、新エネ等10.3%、水力7.8%、原子力6.2%となりました[2]。
 この10年で大きくエネルギー環境は変化しました。化石燃料に依存する態勢へ変化したことは明らかになっています。さてこの局面に対して各党はどのような政策を掲げているのか見てみましょう

自由民主党

・2030 年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減
・再エネや原子力の最大限活用
・洋上発電の導入拡大
・火力発電の次世代化・高効率化を推進
・メタンハイドレートの商業化を目指す 
 自民党は新技術を導入しながらも原子力発電も電源として重要な位置を占める、また新エネルギーも開発する意志を示した公約となっています。

立憲民主党

・2030年に温室効果ガス排出を55%以上削減(2013年比)
・再エネ事業は要件(ゾーニング・地元合意など)にして乱開発を防ぐ
・原子力発電所の新増設は認めない
・プラスチック廃棄物による環境汚染を食い止める
・食品ロス対策として生ごみの資源化やフードバンク等の推進、商慣習の見直しで環境負荷低減や低所得者等への支援する
 原発政策に関しては新設は認めないが、原発自体は使うかどうかは明言はしていません。温室効果ガスは自民党よりも厳しい目標を定めています。

日本維新の会

・2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減目標
・国際的観点、市場原理活用の観点に基づいた排出量削減のためのルール策定に向けて議論をリードする
・電力市場改革は市場と需要供給バランスの観点から見直しを行う
・環境負荷が低くエネルギー安全保障に有効な火力発電の技術開発も推進
・安全性の高い次世代型原子炉の実用化に向けて研究開発推進
・原発再稼働では地域住民との合意形成やセキュリティクリアランスを設けて安心できる運営体制を作る
 維新の会は原発に関しては再稼働を目指し、また原発・火力新技術を押し進める方針を示しています。

公明党

・原発再稼働は原子力規制委員会のチェックを受けた上で地元住民との理解を得ながら再稼働を取り組む
・CO₂などの温室効果ガス削減努力を加味した指標である「グリーンGDP(仮称)」を創設
・「カーボンニュートラルポート」(脱炭素型湾港)の形成の全国展開
・石炭火力からバイオマス等への転換を推進
 公明党は公約集を見ていると環境政策は強い党だと感じました。この他にも様々な環境政策を並べていますので見てみると勉強になります。

国民民主党

・代替エネルギーが確立されるまでは原発は利用
・原発の建て替えを中心とし、技術力を上げる
・蓄電池や新燃料(水素・合成燃料)の開発促進
・マイクロプラスチック拡散防止為の規制を作る
 明確に原発を利用し、建て替えも必要だと原発政策には踏み込んだ内容を明示しています。

日本共産党

・再稼働反対、「原発ゼロ」
・核燃料サイクルからただちに撤退
・再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画
・2030年度までに、CO₂を50~60%削減する(2010年度比)
 日本共産党はこれまで通りの主張を繰り返しています。

社会民主党

・脱炭素は脱原発とセット
・2030年に原発ゼロ・石炭火力ゼロ、2050年に自然エネルギー100%を実現
 そもそも欧米は原子力発電も回しながら脱炭素も実行していますし、期限が早急過ぎて、敢えて言いますと無茶苦茶な印象を受けてしまいました。

れいわ新選組

・2030年の石炭火力ゼロ(温室効果ガス排出量は50%以上削減)
・「自然エネルギー」(太陽、風力、地熱、水力)地域分散型の普及
・自然エネ100%達成まではつなぎのエネルギー源の主力はガス火力
・原発は即時禁止。原発を国有化
 れいわもエネルギー政策は急進的な印象を受けます。

NHK党

・原発再稼働の検討を政府に積極的に求める
・日本製の高性能な石炭火力発電所を海外に輸出する
・再エネは普及させるが、主要エネルギーにはならない事実を直視するべき
・太陽光についてはパネルの大量廃棄問題などの解決策を模索する
 NHK党はエネルギー問題に対してシビアな問題意識を掲げているのが見える公約となっています。

まとめ

 さてここまでエネルギー環境政策に関して各政党の政策見ていきましたが、エネルギー環境問題は私達の生活に直結するような政策になります。エネルギーが供給されなければ、電気は来ないということは経済活動が出来ないということになり、私達の生活が危機に陥ってしまいます。
 またエネルギーだけを重視しすぎても環境が疎かになって、人体に影響を及ぼす、それもリスクになります。どちらの政策もバランス良く考えている政党を選ぶのもいいのかと思います。

参考資料
[1]「平成21年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2010)参考資料

 [2]令和2年度エネルギーに関する年次報告 (エネルギー白書2021)


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