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メンバー全員がリーダーシップを発揮するために、オフィシャルなリーダーはどの様な働きかけを行う必要があるのか?

今期も、立教大学中原先生のゼミにオブザーブ参加させていただいてます。

論文を読んだり、その後のみなさんとの対話の時間は、本当に貴重な学びの時間です。素晴らしい機会をありがとうございます!

昨日は、博士課程に在籍されている辻さんが、Julia Hoch カリフォルニア州立大学准教授の「シェアドリーダーシップとイノベーション:垂直型リーダーシップとメンバーの誠実さ」(Journal of Business and Psychology, 28(2), 159-174)について、発表してくれました。

学びの多い発表、ありがとうございました!!!

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本論とはやや逸れるのですが、個人的に興味深かったのが、シェアドリーダーシップと他のリーダーシップとの相互補完的な関係です。

シェアドリーダーシップは、「職場のメンバーが必要時に必要なリーダーシップを発揮し、誰かがリーダーシップを発揮しているときには、他のメンバーはフォロワーシップに徹するような職場の状態」(石川 2016)であるとされ、先行研究の中でも、組織のパフォーマンスやチームの効果を高め、チームの成果は、公式的にリーダーが発揮するリーダーシップよりも高いと言われています。

今回、Hoch准教授が、2つの会社、43のチーム、184のメンバーをサンプルとし、統計的な分析を行ったところ、公式的に置かれたリーダーが、「変革型リーダーシップ」や「エンパワーリング・リ―ダーシップ」のスタイルで、リーダーシップを発揮した時に、シェアドリーダーシップが高まるということがわかりました。

変革型リーダーシップは、「フォロワーの目標を高め、明示的もしくは暗黙的な交換関係に基づいた期待を超えた業績を上げることができる、という自信を彼らに与えることにより、彼らに対して影響を及ぼすリーダーシップ」であるとされます(石川 2013)

また、エンパワーリング・リーダーシップは、「従業員が自律的に行動できるように、上司が従業員を支援するリーダーシップ」です(青木 2014)。

つまり、分析の結果から見えてきたのは、リーダーが、部下の自信を高め、自律性を促す様なリーダーシップのスタイルを取る方が、シェアドリーダーシップが高まるということです。

これまで、シェアドリーダーシップという場合に、“職場のメンバーがそれぞれの立場でそのリーダーシップを発揮する”という点に目がいき、割とフラットな関係性やチームのあり方をイメージしていたのですが、よりシェアドリーダーシップを高めていくためには、明示的なリーダーを置き、そのリーダーがどの様に振る舞うかが重要という示唆が見えてきました。

全員発揮といいながら、公式的なリーダーを置くことは、やや逆説的な感じもしますが、従来のヒエラルキー型の組織マネジメントのスタイルに慣れている状況だと、ある程度上位者からのお墨付きがある方が、メンバーは主体性が発揮しやすくなる部分はあるよなと感じました。

メンバーに対して「主体的にリーダーシップ発揮を発揮しろ!」と叫ぶだけでなく、上位者がどの様なサポートができるか?も意識してみることが重要かもしれません。

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