あなたの組織にいる「半地下の家族」は、何を伝えようとしていますか? ~『パラサイト 半地下の家族』からの示唆
ソン・ガンホ監督『パラサイト 半地下の家族』を見てきました。
< http://www.parasite-mv.jp/>
カンヌ国際映画祭では、最高賞のパルムドールに輝き、アカデミー賞国際長編映画賞の韓国代表にもなっている本作。
ブラックコメディとも称されますが、全編の明るいテーマとは裏腹にかなり重い内容で、見終わった後に、かなりお腹いっぱいで、消化しきれない感覚がありました。
132分のやや長めの映画ですが、一気に見させるストーリー展開は、ぜひ劇場で楽しんでいただければと思います!
映画を見て、組織における構造やパワーの面から、示唆があるなと思ったことを下記、まとめたいと思います。
ネタバレの部分もあると思いますので、まだ見ていない方は、ぜひ、見た後に!(笑)
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さて、舞台となっている韓国は、1997年のアジア通貨危機を発端とした財政破綻以降、IMFの指導の影響もあり、大規模なリストラが行われ、非正規雇用労働者の割合が増加し、正規雇用と非正規雇用で所得格差が広がったと言われます。超格差社会。
(日本に失業率が2.5%[2018年以降 ※1] 以下の水準なのに対して、韓国は3.8%[2018年 ※2]と、高い値を示しています)
主人公家族も、その影響を受け、全員失業中。半地下の家に住む暮らしを余儀なくされています。
パラサイト先の豪邸に住む家族とにコントラストは半端ないです。
でも、主人公家族は、嘘を重ねて行きますが、いつも明るく、悪びれもしない様子にユーモアと同時に怖さを感じます。
構造的に貧しさを強いられ、個人の力ではどうすることもできないことへのある種の諦め/ 開き直りにも似た感覚があるのかもしれません。
でも、諦め/ 開き直っているように見えたとしても、場面、場面で感じる「恥」の感覚が、発散されないまま、深く深く溜まり、大きくなっていたように感じました。
それが、最後の行動に繋がっているのかと。
▽▽▽
でも、こんな環境は映画の中だけに限らず、現実の組織でも潜在的なリスクとして隠れているのかも知れません。
硬直化した組織、メインストリームになれず、いつも冷や飯を食わされているような状況。
業務において自律性がなく、いつも言われた決定に従わざるを得ない。
そんな状況が長く続くと、いつしか、抵抗することをやめ、面従腹背、表面的には従っているフリをしつつも、深いところでは、不満のエネルギーがマグマのように貯め続けている。
何かの刺激がトリガーとなり、そのエネルギーが、爆発し、大惨事となる。
ポン・ジュノ監督はこう言いいます、
「彼らは初めから“寄生虫”であったわけではありません。
彼らは私たちの隣人で、友人で、そして同僚だったにも関わらず、
絶壁の端に押しやられてしまっただけです」(パンフレットより)
組織における多様性が高まっている今日だからこそ、マイノリティな存在にならざるを得ない人たちの、声にならない声を聴き、表に出す必要があります。
多様なステークホルダーの間で対話の場を創るといった、組織開発の民主的な哲学や手法に基づく、アプローチの有効性が増しています。
主流派/ 周縁化されている人たちとの間でできている断絶を埋め、統合していくお手伝いにも取り組んでいきたいなと思います。
【参考】
※1:Newsweek web サイト「日本の9月完全失業率は2.4%に悪化」
(2019年11月1日)
https://www.newsweekjapan.jp/headlines/business/2019/11/251858.php
※2:Newsweek web サイト「なぜ韓国の若者は失業に苦しみ続けるのか」
(2019年10月7日)https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13116.php
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