Mitsuhiro Saito

組織づくりや人の成長、コーチングについての記事を!合同会社あまね舎代表。M&A…

Mitsuhiro Saito

組織づくりや人の成長、コーチングについての記事を!合同会社あまね舎代表。M&Aのコンサルティング業務に従事。東京大学大学院中原研究室にて、組織開発/人材開発を研究した後、あまね舎を起業。組織の変革の実践・研究・教育に取り組む。 Web: www.amaneya.net

最近の記事

【研究メモ】事業承継の計画(後継者選定)に、影響を与える要素は何なのか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [前編]

Davis and Harveston(1998)は、ファミリービジネスの承継準備(後継者選定)に影響を与える要因について、定量的な分析を行いました。 モデルでは、個人・グループ(家族)、組織、重要な経営資源提供者といった複数のレイヤーを設定するとともに、承継の世代間[何代目の承継にあたるか]の違いによる調整効果も加味しました。 その結果、特に「家族」の影響が、後継者計画の程度にプラスの影響を与えるることが明らかになりました。 1990年代の論文なので、オンラインによる

    • 組織診断を通じて“会社の現状”に直面するとき、人はどんな感情を抱くのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第4章「組織開発(OD)の理論と実践:診断フェーズ」 からの学び

      本章は、ODプロセスにおける、診断フェーズの重要なポイントについてまとめられています。 そして本フェーズは、①データ収集、 ②データ分析、 ③データフィードバック、 ④アクション計画の4段階に分けられるとのことです。 ※本章は、一緒に読書会を企画・運営してくれた東南さんが発表してくださいました。本ブログも、発表資料をかなり参考にさせていただきました! ありがとうございました!! ーーー 引用開始 ーーー (1)データフィードバックの目的 データフィードバックの目的は

      • 【研究メモ】ODにおいてクライアントと何を“握る”のか?~Cheung-Judge&Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [後編] からの学び

        本章は、ODに関するコンサルティングを進めていく上での重要なポイントについて、ODマップを下敷きに、まずはフェーズ1:参入、フェーズ2:契約を中心に記載されています。 本章からの学び[前編]では、ODにおけるクライアントの捉え方について、まとめました。 今回の[後編]では、ODの初期段階で結ぶ”契約”について、カウンターパートと、何を握る必要があるのか?について、まとめてみたいと思います。 本書の第3章では、Weisbord(1973: 108)を引きながら、プロジェク

        • 【研究メモ】ODにおいて”クライアント”とは誰のことを指すのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [前編] からの学び

          本章は、ODに関するコンサルティングを進めていく上での重要なポイントについて、ODマップを下敷きに、まずはフェーズ1:参入、フェーズ2:契約を中心に記載されています。 改めて読み直してみると、学びになることが多かったです。 特に、なるほど!と思ったのが、ODにおける、”クライアント”をどう定義するかという問いです。 本書では、 Burke(1997)の ODのクライアントの定義と、Argyris(1970)の介入の定義について下記を引用しています。 ”私は、OD コン

        【研究メモ】事業承継の計画(後継者選定)に、影響を与える要素は何なのか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [前編]

        • 組織診断を通じて“会社の現状”に直面するとき、人はどんな感情を抱くのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第4章「組織開発(OD)の理論と実践:診断フェーズ」 からの学び

        • 【研究メモ】ODにおいてクライアントと何を“握る”のか?~Cheung-Judge&Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [後編] からの学び

        • 【研究メモ】ODにおいて”クライアント”とは誰のことを指すのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [前編] からの学び

          OD領域における、実践と理論化の乖離をどう埋めていくのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」

          Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」 本章では、ODの背景にある理論についてまとめられています。 クルト・レヴィンから始まり、2000年代に入って大きな影響力を持つ様になった「対話型組織開発理論」や「社会的言説理論」についても言及されています。 1940年代から1970年代までは、

          OD領域における、実践と理論化の乖離をどう埋めていくのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」

          ODは手段なのか、目的なのか?~ Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit 第1章 「ODとは何か? 歴史的変遷の概要」からの学び

          この数年、あまりブログを書けていませんでした。 その間にも、読書会等々、海外文献の論文やHandbookを読む会の企画には、いろいろ取り組んでいたので、かなり時間は立っていますが、それをまとめることもやっていきたいなと思います。 2年前の2022年8月2日は、Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit をみんなで読ん

          ODは手段なのか、目的なのか?~ Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit 第1章 「ODとは何か? 歴史的変遷の概要」からの学び

          【研究メモ】ファミリービジネスにおける”再生機会”としての事業承継とは? SECIモデル・場の概念から見た、後継者の革新性~Mojca Duh(2015) 事業承継:ファミリービジネスにおける再生の機会、または失敗 からの学び

          Duh(2015)は、後継者の革新性を活かすことで、事業承継がファミリービジネスにおける“再生の機会”になると考えています。その際、Nonaka・Konno(1998)のSECIモデルや、“場”の概念にフォーカスし、事業承継における知識創造の新たなモデルを提案しています。 野中先生・竹内先生・紺野先生が提唱・精緻化されたSECI(セキ モデル)と、ナレッジ・マネジメントの領域に導入された「場」の概念は、組織開発や人材開発について書かれた海外の論文や書籍を読んでいても出てきま

          【研究メモ】ファミリービジネスにおける”再生機会”としての事業承継とは? SECIモデル・場の概念から見た、後継者の革新性~Mojca Duh(2015) 事業承継:ファミリービジネスにおける再生の機会、または失敗 からの学び

          【研究メモ】一言で”変化”と言っても、どんな種類があるのか?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [後編]

          Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Changeの最終回です。 読み進める中で、TransformationとChangeをどう訳出すればいいのか? 概念をどう整理すればいいのか問題で、頭がグルグルしています(笑) 今日のブログでもう少し綺麗に整理ができるかと思ったのですが、ちょっとやりきれなかったかも・・・ 改めてトライしたいと思います! ただ、

          【研究メモ】一言で”変化”と言っても、どんな種類があるのか?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [後編]

          【研究メモ】ODがあるなら、not OD はどう表現される? ~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [中編]

          前回は、ODを学び始める前に、準備運動的に、まずは理解を確かめるための「10の問いかけ」や、代表的な定義から見えてくるODの特徴についてお伝えしました。 今回は、not OD 的な行動がどういうものなのかについて、Rothwell 他の整理を確認していきたいと思います。 ある事象を捉えるときに、例えば、Aという物事自体への理解を深めるとともに、not A への理解を同時に深めておくの大事だなと思いました。 To Do Listの作成と同時に、Not To Do List

          【研究メモ】ODがあるなら、not OD はどう表現される? ~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [中編]

          【研究メモ】ODについて学び始める前の10個の準備運動的質問とは?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [前編]

          Rothwell et al. (2015) Practicing Organization Development: Leading Transformation and Changeの第1章、Organization Development, Transformation, and Changeのまとめ[ 前編 ] です。 本章は、ODや関連する概念のTransformation, Changeといった言葉の定義や、今後、頻出する重要な用語の定義が中心的に記述されていま

          【研究メモ】ODについて学び始める前の10個の準備運動的質問とは?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [前編]

          【研究メモ】“母の影”は乗り越えれるのか?~Ferrari (2019) 「母の影:ファミリービジネスの事業承継におけるパワーダイナミックスを探る」 からの学び

          Ferrari (2019)は、イタリアにおいて先代経営者と後継者がともに女性であ る、母親と娘の間の事業承継に焦点を当て、研究を進めました。 創業者が持つ存在感を”創業者の影”(Davis and Harveston, 1998)と言ったりもするようですが、それを母親と娘に限定して分析した場合に、どの様な影響があるか? を明らかにしました。 分析の結果、母親のパワーは、家庭と会社の両方の場面で、娘に行使されており、引退後も、適切な移譲がなされない事例が見られました。

          【研究メモ】“母の影”は乗り越えれるのか?~Ferrari (2019) 「母の影:ファミリービジネスの事業承継におけるパワーダイナミックスを探る」 からの学び

          【研究メモ】研究という行為が潜在的にもつ”暴力性”をどう回避・最小化するか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第4章 「質的研究の倫理」[後半] の整理

          前回に続き、フリック(2011)『質的研究入門』の第4章 「質的研究の倫理」 の後半パートのご紹介です。 量的研究において倫理が軽んじられているという話ではまったくないですが、質的な研究は、分析対象となるサンプル数が少なく、より深い内面に踏み込んだインタビューをする機会も多く、特定個人/ グループが特定され、影響を受けるリスクも、相対的に大きいのかなとも感じます。 本章を読んで、研究という行為が潜在的に持つ”暴力性”への感度を高めて行きたいなと改めて思いました。 絶対の

          【研究メモ】研究という行為が潜在的にもつ”暴力性”をどう回避・最小化するか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第4章 「質的研究の倫理」[後半] の整理

          【研究メモ】質的研究においてなぜ・どの様に倫理に配慮する必要があるのか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第4章 「質的研究の倫理」[前半] の整理

          フリック(2011)『質的研究入門』の第4章は、「質的研究の倫理」です。 質的研究においてなぜ・どの様に倫理に配慮する必要があるのか?が主なテーマとなっています。 量であれ、質であれ、経営学的な研究であっても、医学的・臨床心理学的な領域に近いテーマを扱う際は、倫理審査が求められますし、今後、ますます、分析対象者の利益を損なわないということは、大事なテーマになっていきますね。 少し観点は異なりますが、分析に協力してくださった方々に、間接的であれ、研究を通じて見いだされた知見

          【研究メモ】質的研究においてなぜ・どの様に倫理に配慮する必要があるのか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第4章 「質的研究の倫理」[前半] の整理

          【研究メモ】組織開発が持つ“世界観”のどこに惹かれるのか?~Rothwell et al. (2015) Practicing Organization Development: Leading Transformation and Change; Introduction からの学び

          Penn State Universityの Rothwell教授<https://ed.psu.edu/directory/dr-william-rothwell>ら編著の、Practicing Organization Development: Leading Transformation and Changeという書籍があります。 長らく積読になっていたのですが(データですが・・・TB級の積読 苦笑)、機会があって改めて見てみると、豊富な研究と実践の経験を持つ、Rot

          【研究メモ】組織開発が持つ“世界観”のどこに惹かれるのか?~Rothwell et al. (2015) Practicing Organization Development: Leading Transformation and Change; Introduction からの学び

          【研究メモ】一夫多妻の国で、事業承継を進めるために留意することとは?~ Ugoani(2014) 「ファミリー企業の成功における事業承継の課題ーキッチン・モデル」 からの学び

          キッチン・モデル? というのはありつつも、ストレートな論文のタイトルに惹かれて読み始めたのですが、いろんな意味で面白い? 不思議な論文に出会ってしまいました。 著者のUgoaniさんは、ナイジェリアのRhema Universityの講師の方で、HRMや産業心理学を研究されています。 その方が、ナイジェリアの事業承継について書かれた論文です。 ナイジェリアって、一夫多妻制が取られている国なのですね! なので、「長子が承継する」と言っても、複数の奥さんがいると、長子(長男)

          【研究メモ】一夫多妻の国で、事業承継を進めるために留意することとは?~ Ugoani(2014) 「ファミリー企業の成功における事業承継の課題ーキッチン・モデル」 からの学び

          【研究メモ】定性研究と定量研究、どう選択、もしくは組み合わせるのか?ウヴェ(2011)『質的研究入門 <人間の科学>のための方法論』 「第3章 質的研究と量的研究」からの学び

          ウヴェ(2011)『質的研究入門 <人間の科学>のための方法論』 、先日の第2章に続き、今回は、「第3章 質的研究と量的研究」のご紹介です。 質的研究と量的研究については、個人的には、補完し合っており、両方大事な観点の様にも思えるのですが、未だに”信念対立”が起き、相互を敵視しているような話を伺う機会もあります。 組織開発のアプローチ自体が”全体性”を大事にしているからかもしれませんが、アプローチが違えば、見えてくるものも違うので、それぞれの観点からの発見事項をどう統合し

          【研究メモ】定性研究と定量研究、どう選択、もしくは組み合わせるのか?ウヴェ(2011)『質的研究入門 <人間の科学>のための方法論』 「第3章 質的研究と量的研究」からの学び