Mitsuhiro Saito

組織づくりや人の成長、コーチングについての記事を!合同会社あまね舎代表。M&A…

Mitsuhiro Saito

組織づくりや人の成長、コーチングについての記事を!合同会社あまね舎代表。M&Aのコンサルティング業務に従事。東京大学大学院中原研究室にて、組織開発/人材開発を研究した後、あまね舎を起業。組織の変革の実践・研究・教育に取り組む。 Web: www.amaneya.net

最近の記事

【研究メモ】「シンボリック相互作用論」と言ってみたいお年頃~プシュカラ・プラサド(2018)『質的研究のための理論入門-ポスト実証主義の諸系譜』 第2章「シンボリック相互作用論」からの学び

番匠さん・松井さん・今井さんと一緒に、質的研究を進める上で重要となる理論についての学びを進めています。 今、扱っている書籍は、プシュカラ・プラサド(2018)『質的研究のための理論入門-ポスト実証主義の諸系譜』です。 初回は、番匠さんが、第2章「シンボリック相互作用論 自己と意味を求めて」について発表してくださいました。 シンボリック相互作用論、用語を知っているくらいで、「シンボリック相互作用論ですね!」と口ずさむものなら何かかっこいい!!という浅はかさが過ぎる自分でし

    • 先代経営者の”手放せない想い”が事業承継にもたらす影響とは?~Umans et al.(2018)「ファミリービジネスにおける後継者計画」からの学び

      円滑な事業承継を進める上で、後継者の育成は重要なテーマですが、それと同時に、先代経営者(現経営者)が、自らの”経営者としての役割”を手放し、次の代に渡せるかどうか? ということも、とても大きな要素だと思います。 実際にインタビューをさせていただいたり、統計資料を見ても、先代経営者が、なかなか役割を手放せないことが、経営陣の平均年齢を押し上げ、事業承継を遅らせている側面もあると確認できています。 確かに、起業し、苦楽をともにした会社なので、”自分”と”会社”の境界が非常に曖

      • 【研究メモ】 質的研究の分析を進める上で重要になる“ニュアンスへの感性”をどう高めるか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第5章 「質的研究における文献の利用」[後編] の整理

        昨日に続き、新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第5章 「質的研究における文献の利用」の整理 後編です。 昨日は、研究を進める上で調査が必要な文献についての体系的な整理でした。 今回は、特に、実証的な先行研究へのレビューをやることが、質的研究において、どの様に重要なのか?について、論じられています。 ストラウスとコービン(Strauss and Corbin 1998:49‐52)が提唱する実証的な先行研究の活方法についての紹介の中で、 「関連する文献に

        • 【研究メモ】 質的研究を進める際に、理論に関する文献や先行研究の調査が必要ないって本当!?まじですか!?いいんですか!?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第5章 「第5章 質的研究における文献の利用」[前半] の整理

          久しぶりに『質的研究入門』のまとめです。 今回は、「第5章 質的研究における文献の利用」についてです。 過去、質的研究を進める上で、理論に関する文献や先行研究の調査が必要ない!という論調があったみたいですね。 そんな意見が、グレイザーとストラウスの発信が起点になって広まったという話も書かれており、びっくりしました。 本章で、質的研究を進める上で、参照が必要な研究群が全体感を持ちながら整理されています。今後、質的研究を進めて行く上で、どの様な文献に当たる必要があるかのガイ

        【研究メモ】「シンボリック相互作用論」と言ってみたいお年頃~プシュカラ・プラサド(2018)『質的研究のための理論入門-ポスト実証主義の諸系譜』 第2章「シンボリック相互作用論」からの学び

        • 先代経営者の”手放せない想い”が事業承継にもたらす影響とは?~Umans et al.(2018)「ファミリービジネスにおける後継者計画」からの学び

        • 【研究メモ】 質的研究の分析を進める上で重要になる“ニュアンスへの感性”をどう高めるか?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第5章 「質的研究における文献の利用」[後編] の整理

        • 【研究メモ】 質的研究を進める際に、理論に関する文献や先行研究の調査が必要ないって本当!?まじですか!?いいんですか!?~フリック(2011) 新版 質的研究入門 <人間の科学>のための方法論:第5章 「第5章 質的研究における文献の利用」[前半] の整理

          【研究/ 実践メモ】 理想に向けての変化を持続させるために、何に留意して取り組む必要があるのか? ~『成長支援するということ』 対話型読書会からの学び

          2024年4月に『成長支援するということ』という書籍が出版されました。 著者は、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学で、感情知性やコーチングについて研究を続けているリチャード・ボヤツィスと同僚のメルヴィン・スミス、エレン・ヴァン・オーステンです。 本書では、50年にわたる研究成果がまとめられ、人の成長に必要な要素について、生物学的な側面(ホルモンや脳科学)から、心理学的側面まで、多面的に語られています。 今回、監訳を担当された、合同会社Unlockの和田さん・内山さんに

          【研究/ 実践メモ】 理想に向けての変化を持続させるために、何に留意して取り組む必要があるのか? ~『成長支援するということ』 対話型読書会からの学び

          【研究メモ】 「創業者の影」をどう乗り越えていくか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [後編]

          昨日の[前編]は、研究概要・仮説等のご紹介でした。 今日の[後編]は、発見事項を中心にメモしていこうと思います。 仮説(分析の観点)が多かったので、下記、発見事項や理論的・実践的示唆について、特に気になったポイントの抜粋です。 事業承継をイベントではなく、中長期的な時間軸を伴うプロセスとして捉えること。 世代は変われど、個人、家族、組織、リソースといった様々な要因から影響を受け、後継者選定の広範性(取り組みの広さ)が決まってくること。 ファミリービジネスというだけあ

          【研究メモ】 「創業者の影」をどう乗り越えていくか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [後編]

          【研究メモ】事業承継の計画(後継者選定)に、影響を与える要素は何なのか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [前編]

          Davis and Harveston(1998)は、ファミリービジネスの承継準備(後継者選定)に影響を与える要因について、定量的な分析を行いました。 モデルでは、個人・グループ(家族)、組織、重要な経営資源提供者といった複数のレイヤーを設定するとともに、承継の世代間[何代目の承継にあたるか]の違いによる調整効果も加味しました。 その結果、特に「家族」の影響が、後継者計画の程度にプラスの影響を与えるることが明らかになりました。 1990年代の論文なので、オンラインによる

          【研究メモ】事業承継の計画(後継者選定)に、影響を与える要素は何なのか?~Davis and Harveston(1998) ファミリービジネスの事業承継プロセスにおける家族の影響:多世代の視点から の学び [前編]

          組織診断を通じて“会社の現状”に直面するとき、人はどんな感情を抱くのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第4章「組織開発(OD)の理論と実践:診断フェーズ」 からの学び

          本章は、ODプロセスにおける、診断フェーズの重要なポイントについてまとめられています。 そして本フェーズは、①データ収集、 ②データ分析、 ③データフィードバック、 ④アクション計画の4段階に分けられるとのことです。 ※本章は、一緒に読書会を企画・運営してくれた東南さんが発表してくださいました。本ブログも、発表資料をかなり参考にさせていただきました! ありがとうございました!! ーーー 引用開始 ーーー (1)データフィードバックの目的 データフィードバックの目的は

          組織診断を通じて“会社の現状”に直面するとき、人はどんな感情を抱くのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第4章「組織開発(OD)の理論と実践:診断フェーズ」 からの学び

          【研究メモ】ODにおいてクライアントと何を“握る”のか?~Cheung-Judge&Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [後編] からの学び

          本章は、ODに関するコンサルティングを進めていく上での重要なポイントについて、ODマップを下敷きに、まずはフェーズ1:参入、フェーズ2:契約を中心に記載されています。 本章からの学び[前編]では、ODにおけるクライアントの捉え方について、まとめました。 今回の[後編]では、ODの初期段階で結ぶ”契約”について、カウンターパートと、何を握る必要があるのか?について、まとめてみたいと思います。 本書の第3章では、Weisbord(1973: 108)を引きながら、プロジェク

          【研究メモ】ODにおいてクライアントと何を“握る”のか?~Cheung-Judge&Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [後編] からの学び

          【研究メモ】ODにおいて”クライアント”とは誰のことを指すのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [前編] からの学び

          本章は、ODに関するコンサルティングを進めていく上での重要なポイントについて、ODマップを下敷きに、まずはフェーズ1:参入、フェーズ2:契約を中心に記載されています。 改めて読み直してみると、学びになることが多かったです。 特に、なるほど!と思ったのが、ODにおける、”クライアント”をどう定義するかという問いです。 本書では、 Burke(1997)の ODのクライアントの定義と、Argyris(1970)の介入の定義について下記を引用しています。 ”私は、OD コン

          【研究メモ】ODにおいて”クライアント”とは誰のことを指すのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) 第3章「OD の理論と実践: OD サイクルと参入・契約段階」 [前編] からの学び

          OD領域における、実践と理論化の乖離をどう埋めていくのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」

          Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」 本章では、ODの背景にある理論についてまとめられています。 クルト・レヴィンから始まり、2000年代に入って大きな影響力を持つ様になった「対話型組織開発理論」や「社会的言説理論」についても言及されています。 1940年代から1970年代までは、

          OD領域における、実践と理論化の乖離をどう埋めていくのか?~Cheung-Judge & Holbeche(2021) Organization Development: A practitioner's guide for OD and HR 「第2章 OD の理論と実践:理論の概観」

          ODは手段なのか、目的なのか?~ Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit 第1章 「ODとは何か? 歴史的変遷の概要」からの学び

          この数年、あまりブログを書けていませんでした。 その間にも、読書会等々、海外文献の論文やHandbookを読む会の企画には、いろいろ取り組んでいたので、かなり時間は立っていますが、それをまとめることもやっていきたいなと思います。 2年前の2022年8月2日は、Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit をみんなで読ん

          ODは手段なのか、目的なのか?~ Cheung-Judge & Holbeche(2021)_Organization Development_A practitioner's guide for OD and HR 3rd Edit 第1章 「ODとは何か? 歴史的変遷の概要」からの学び

          【研究メモ】ファミリービジネスにおける”再生機会”としての事業承継とは? SECIモデル・場の概念から見た、後継者の革新性~Mojca Duh(2015) 事業承継:ファミリービジネスにおける再生の機会、または失敗 からの学び

          Duh(2015)は、後継者の革新性を活かすことで、事業承継がファミリービジネスにおける“再生の機会”になると考えています。その際、Nonaka・Konno(1998)のSECIモデルや、“場”の概念にフォーカスし、事業承継における知識創造の新たなモデルを提案しています。 野中先生・竹内先生・紺野先生が提唱・精緻化されたSECI(セキ モデル)と、ナレッジ・マネジメントの領域に導入された「場」の概念は、組織開発や人材開発について書かれた海外の論文や書籍を読んでいても出てきま

          【研究メモ】ファミリービジネスにおける”再生機会”としての事業承継とは? SECIモデル・場の概念から見た、後継者の革新性~Mojca Duh(2015) 事業承継:ファミリービジネスにおける再生の機会、または失敗 からの学び

          【研究メモ】一言で”変化”と言っても、どんな種類があるのか?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [後編]

          Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Changeの最終回です。 読み進める中で、TransformationとChangeをどう訳出すればいいのか? 概念をどう整理すればいいのか問題で、頭がグルグルしています(笑) 今日のブログでもう少し綺麗に整理ができるかと思ったのですが、ちょっとやりきれなかったかも・・・ 改めてトライしたいと思います! ただ、

          【研究メモ】一言で”変化”と言っても、どんな種類があるのか?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [後編]

          【研究メモ】ODがあるなら、not OD はどう表現される? ~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [中編]

          前回は、ODを学び始める前に、準備運動的に、まずは理解を確かめるための「10の問いかけ」や、代表的な定義から見えてくるODの特徴についてお伝えしました。 今回は、not OD 的な行動がどういうものなのかについて、Rothwell 他の整理を確認していきたいと思います。 ある事象を捉えるときに、例えば、Aという物事自体への理解を深めるとともに、not A への理解を同時に深めておくの大事だなと思いました。 To Do Listの作成と同時に、Not To Do List

          【研究メモ】ODがあるなら、not OD はどう表現される? ~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [中編]

          【研究メモ】ODについて学び始める前の10個の準備運動的質問とは?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [前編]

          Rothwell et al. (2015) Practicing Organization Development: Leading Transformation and Changeの第1章、Organization Development, Transformation, and Changeのまとめ[ 前編 ] です。 本章は、ODや関連する概念のTransformation, Changeといった言葉の定義や、今後、頻出する重要な用語の定義が中心的に記述されていま

          【研究メモ】ODについて学び始める前の10個の準備運動的質問とは?~Rothwell at al. (2015) Chapter 1 Organization Development, Transformation, and Change からの学び [前編]