見出し画像

【研究/ 実践メモ】 理想に向けての変化を持続させるために、何に留意して取り組む必要があるのか? ~『成長支援するということ』 対話型読書会からの学び

2024年4月に『成長支援するということ』という書籍が出版されました。


著者は、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学で、感情知性やコーチングについて研究を続けているリチャード・ボヤツィスと同僚のメルヴィン・スミス、エレン・ヴァン・オーステンです。

本書では、50年にわたる研究成果がまとめられ、人の成長に必要な要素について、生物学的な側面(ホルモンや脳科学)から、心理学的側面まで、多面的に語られています。

今回、監訳を担当された、合同会社Unlockの和田さん・内山さんにもご参加いただき、総勢14名で、8時間かけて

・担当者が章ごとにレジュメを作成し、プレゼンとQ&A
・ときおりダイアログ
・美味しいランチ(笑)
・本書の中で中心的に語られる「意図的変革理論(Intentional Change Theory:ICT)」を活用した、ICTコーチングのデモセッション
・和田さん・内山さんのスペシャルレクチャー(Q&Aの深堀り)

という濃密な時間で、学びを深めました。


素晴らしい書籍を世に産み出してくださった、和田さん・内山さん
一緒に企画をしてくれた & デモコーチングセッションのコーチを担当してくれた、小畑さん
会場をセッティングしてくださった茂木さん
一緒に場を創ってくださったみなさま

楽しくも、学びがいっぱいの時間をご一緒してくださって、ありがとうございました!!

読書会を開催するときいつも思いますが、想いも経験もスキルも知識も、豊富なみなさんが集まってくださるので、対話やQ&A・コメントの時間の学びが半端ないです。

今回は、プロコーチから、コーチング研究者、企業内で人材開発や組織開発を担当されている方々、ビジネスだけでなく、教育セクターの方々も!と、幅広い観点からの気づきや学びが、”集合知”的に生まれていた気がします。

あっという間でした^^

さっきまで朝だったはずなのに(笑)

▽▽▽

本書のメインメッセージとしては、著者たちは、「思いやりのコーチング」というアプローチを提唱し、「欠点を修正したりギャップを埋めたりすることだけが目的であるとき、人は持続的な変化に必要な努力をあまりしない。反対に、長期的な夢やビジョンがあるとき、人はそのビジョンからエネルギーを引き出し、困難があっても変化のための努力を続けることができる」と、人のポジティブな側面に着目し、可能性を拡げることの重要性について語っています。

それが具体的な形となったのは、脳科学的にも裏付けされた前述のICTコーチングです。

フレームワークとしても整理されていて、コーチングを通じた成果の再現性を高める工夫がされているとのことです。

Discovery 1: 理想の自分の発見
Discovery 2: 現実の自分の強み(や課題)の再確認
Discovery 3: 学習アジェンダの設定
Discovery 4: 新しい行動の実験と実践
Discovery 5: 共鳴する関係性(繋がり)の活用




本書の中では、ポジティブな感情を誘因する因子である”PEA:Positive Emotional Attractor”と、ネガ比ぶな感情を誘因する因子である”NEA:Negative Emotional Attractor”のどちらが優位であるかを、常に意識しながら、怖れや不安、義務感ではなく、理想の自分にフォーカスし続けながら、内発的なモチベーションを保ち続ける、コーチングセッションやその後の取り組みの重要性を訴えます(NEAも、迅速な問題解決においては、重要なものなので、どちらが重要というより、自分の状態に自覚的になった上で、バランスをどう取るか?という話です)。

著者の、ボヤツィスが、感情知性(Emotional Intelligence)研究の大家でもあるので、その研究知見からの影響も非常に大きいというか、そこからの知見が、ICTの土台になっていると、和田さん・内山さんからも伺いました。

実際、身体的な反応を調査すると、夢やビジョンに関する問いかけ、30分程度語るとをすることは、ポジティブな感情を誘因するPEAを呼び起こし、畏敬の念や喜び、感謝、好奇心といった感情と関連する脳の部位が活性化することが本書でも紹介されています。

ICTコーチングのセッションを通じて、夢やビジョンを文言化した、パーソナルビジョンを明らかにし、繰り返し繰り返し触れることで、ポジティブな感情が高まり、変化に向けての持続力が高まると言われています。

アクションを明確にした後に、「共鳴する関係」と呼ばれる、サポートグループ(コーチ以外のサポートしてくれるメンバーも含む)を意識的に活用していくのも、理想の自分に近づいていく上で、かなり実践的なアプローチだなと思いました。

私は、意志がこんにゃくなみに弱いので、一人じゃ無理だ・・・と最近、ようやく気が付きました(笑)

各章の学びはまた時間を見つけて整理できればと思います。

ICTコーチングの導入を日本でも支援されている和田さん・内山さんから、その可能性と留意点についてもお話を伺えたことで、現場実践していく上での解像度がさらに高まりました。

コーチングの領域に限らず対人支援に関わる方々は、読まれると、取り組んでいるアプローチにも変化が生まれてくるのではと思います。

折に触れて、繰り返し読むことで、外部支援者としての自分のマインドセットを整えてくれる一冊になるなと思いました。

和田さん・内山さん、ご参加くださった皆さん、貴重な機会をありがとうございました!


いいなと思ったら応援しよう!