見出し画像

オールデン 9751  完全ガイド サイズ選びからケア方法まで

こんにちは。齋藤です。

今回は、「オールデン 9751  完全ガイド」と題しまして、憧れのオールデン ロングウイングチップを手にいれるまでの悲喜こもごも、そして、履き下ろしてみての感想などについて語っていきたいと思います。

「完全ガイド」とは大きく出たな・・・とお思いでしょうが、単なる靴の紹介にとどまらず、替えの靴紐、メンテナンスについても言及していきますので、読んで頂くだけの価値はあるかと。

●オールデンとは

言わずもがなではございますが、まずはオールデンについておさらいをしておきます。

オールデン(英:Alden)は、オールデン(英:Alden)は、1884年に設立されたアメリカ合衆国マサチューセッツ州ミドルボローに拠点を置く革靴ブランドである。

19世紀、マサチューセッツ州には数百人の靴職人が存在し、マッケイ製法やグッドイヤーウェルト製法などの機械製法が開発された。南北戦争では、多くの軍靴が発注され、その供給元として大きく発展した。オールデンはマサチューセッツ州に残る数少ない工場の1つである。

Wikipediaより

1884年、マサチューセッツ州ミドルボロウにて創立されたオールデンは、米国の靴文化を象徴するシューメーカーです。

選りすぐられた最上級の素材を用い、コンフォータブルなフィット感を備えたそのシューズは、アメリカントラッドを語るうえで不可欠の存在。

1970年代には、特殊な形状の医療用矯正靴がファッションシーンでも高く評価され、素晴らしい履き心地とともに名声を世界へと広げました。

履き心地に革新をもたらしたオールデンのシューズは、世界中の靴を愛する人々に、他に代え難い至高の存在として親しまれています。

ALDEN | THE LAKOTA HOUSE

さらに、チャットGPTに「オールデンについて教えて」と問いますと、

オールデンの靴は、高品質な素材と職人の技術によって作られており、長く履くほどに味わいが増すと言われています。オールデンの靴は、カジュアルからフォーマルまで幅広いスタイルに合わせることができます。オールデンの靴を履くと、アメリカの伝統と文化を感じることができるでしょう。

という答えが返ってきました。

アバディーンラストのようなシュッとしたドレッシーなものよりも、バリー、トゥルーバランス、ヴァンなどの、ぼってりとしたよりカジュアルなラストのほうが人気があるイメージでしょうか。

また、オールデンといえば、コードバン(馬のお尻の革)を使った靴が有名で、コードバンを生産するタンナーであるホーウィン社と深い関係にあることが知られています。

オールデンといえばホーウィンシェルコードバン、ホーウィンシェルコードバンといえばオールデンでしょう。

基本的にボッテリとして武骨でアメリカンなデザインのものが多く、ビジネススタイルへの合わせは難しかったわけですが、コロナ禍を経たビジネスカジュアルの浸透により、むしろビジネスカジュアルにピッタリの革靴として脚光を浴び始めている?予感です!

●「9751」

「9751」は、ラストはバリーラスト、革はコードバンです。
いわゆるロングウイングチップであるところに最大の特徴があります。

色が黒のものが「9751」
色がバーガンディのものが「975」です。

また、バリーラスト、コードバンでプレーントゥのモデルが「9901」です。

基本的に、バーガンディに「1」がつくと黒になるようです。

とまぁ、このような話は、この記事を読んで頂いている靴好きの方であればどなたも言うまでもなくご存知の内容かと存じます。

ネットでしか見ていなくて、購入をお考えの方は要注意です。
実物は写真よりも5割増しで迫力があります…
画像で見るよりはるかにゴツく、はるかにパンチがあり、はるかに合わせにくい… それが975/9751です…

ブローグがゴテゴテしています。このクドさがなんとなくペイズリー柄を思わせます。
ウイングが横に落ちるのではなくカカトにまで届きます。通常のウイングチップとは異なるこの意匠はアメリカ靴特有であり、故にアメリカンロングウイングチップと呼ばれます。
また、360℃ステッチと張り出したコバにより、ゴツく感じます。
ストームウェルト+ダブルソール
これまたゴツく感じさせる仕様です。

⚫購入の経緯

この記事をご覧の皆様も、近年の革靴の価格高騰に頭を悩ませておられることと存じます。革はそもそも輸入品、ましてインポートの革靴ともなると円安の影響もありお値段爆上がりの状況です。

オールデンのコードバンモデルなど、数年前は10万円弱で、それでも高嶺の花だったものが、今では消費税込20万円を超える(2024年6月現在で9751はラコタハウスだと214,500円)ものとなってしまっております…

もちろん、そんな高い革靴を買う価値があるのか、と言われればそれまででして、日本製のもっと作りがしっかりしている革靴がより低価格で手に入るわけですが、他方で、そこはオールデンにしかない雰囲気、オールデンにしかない履き心地があるわけで、その価値をいくらと見積もるかは人それぞれになってくるのだと思います。

そんなわけで、このクソ高くなってしまったオールデンのコードバンモデルを求めて日々さまよっていた(しかも、コロナ禍では需給が安定せず、ラコタハウスに行ってもマイサイズが無い、という状況が続いていました…)わけですが、今般、あまりの価格上昇に怯え、このままでは手の届かない高みまで昇っていってしまうのではとの強迫観念のもと、ついに購入を決断したわけでして…

ちなみに、コロナ禍で購入したオールデン99162ペニーローファーについてはこちらです。

上記のように正規品には手が出ませんので、フリマアプリで探します。
メルカリ、ラクマ、ヤフーフリマあたりを巡回する感じです。

経験則ですが、商品の状態として、「新品」あるいは「未使用に近い」くらいは書いてくれていないと安心はできません… 
「新品」と書いてありつつ、外で履いたとこはないだけでガッツリ履きジワが入ってる、くらいのことは織り込んでおくべきかと…
また、かなりの期間タンスの肥やしになっていた可能性もあります…

となると、たとえば正規品が定価20万円だとすると、10万円弱くらいでの購入をひとつの目安としたいところではないでしょうか…

基本的にNCNRですので、たとえば16万円で新品未使用という謳い文句で購入してガッツリ履きジワが入っていたらなんともガッカリしてしまいますが、これが10万円であれば、私なら多少のことには目を潰れます… 

まぁ、一度は他人の手に渡った革靴を10万円も出して購入するとは正気の沙汰じゃない、というご意見ももっともではございますが…

●コーディネート

さて、靴を買う前に、まずはどのようなシチュエーションで使うのか、自分のワードローブのどの服と組み合わせるのか、を考えなければなりません。

この記事は、基本的に、オンタイムで使用する前提ですので、ジーンズなどに合わせるのではなく、ビジネスカジュアルの一環として考えていきたいと思います。

みなさまもお感じになられている通り、コロナ前とはオンタイムの服装に明らかに変化が見られるようになってきたように思われます。

具体的には、よりカジュアルな装いがビジネスにおいても許されるようになってきた。

もはや、スーツに黒スニーカーであっても見咎められることはないでしょう・・・(もちろん、場にもよりますが)

というわけで、一般的にはカジュアル寄りとされているオールデンのコードバン靴を使っても、ビジネスカジュアルは立派に成立するはず、というのが現在の私の考えです。

バーンストーマ―P1001 ドレスチノを合わせました。バーンストーマ―のようなアメカジスタイルにはバチバチに合う・・・

他方で、スーツとの合わせは、アウトなのかセーフなのか・・・

たとえば、フランネルのスーツのように、そもそもカントリーテイストのものであれば問題なくマッチするようには思われます。

他方で光沢感のあるいかにもなネイビースーツに合わせるのは難しいかもしれません。9751のようなバリーラストのものはボッテリとしたデザインのため、いかにもなネイビースーツに合わせますと、どうしても靴の重たさ、野暮ったさが際立ってしまいます…
やはりジャケパンスタイルに合わせるのが無難なように思われます。

●サイズ選び

言うまでもなく、まずは試着できればいいのですが、近くにラコタハウスがなかったりとそうそう気軽に試着できるわけでもありません。またラコタにマイサイズが無い…ということも良くあります。というわけで、試着なしでネットでポチッといかなきゃな場面もよくあるわけで…

そんなときに私が参考にしているのはこのあたりのサイト。本当に細かく記載されていますので、参考になることが必ず書いてある。特に他ブランドの革靴のサイズ感との比較は参考になります。

オールデンのサイズ選びが難しいのは、他人の話が参考になりにくいこと。
たとえばチャーチやジョン・ロブ、エドワードグリーンのようなイギリス靴では、タイト目に履く以外の選択肢はなく、好みの個人差が入る余地が少ないように思われます。

ですので、チャーチを店頭で試着する際に、マイサイズの6ハーフ以外を店員さんに勧められることはまずありません。

他方でオールデンは私の感覚からすると大き目のサイズ感をラコタハウスの店員さんに勧められがちです。
ローファー(ヴァンラスト)は8
Vチップ(モディファイドラスト)は7.5
バリーラストは7.5あるいは7
というように、店員さんによっても勧めるサイズ感はバラバラです(在庫の加減で薦めるサイズも変わるでしょうし)。

オールデンはややブカブカにリラックスしたフィッティングで履くものだ、という革靴にしてはルーズな気分が、マイサイズの特定を難しくさせます…

ちなみに、私の足のサイズですが、裸足だと、右25.2 左25.8 という感じです。

オールデン以外の革靴のサイズ感ですが、
●チャーチ(173ラスト)6ハーフF
●チーニー(125ラスト)6ハーフF
●エドワードグリーン(202ラスト)6ハーフE
●JMウェストン180ローファー 5/D (小指痛くてカカトが緩く手放しました…)
●ビルケンシュトック 41
●trippen 41
という感じで履いております。

他人のサイズ感を参考にするときは、特にイギリス靴をどんなサイズ感で履いているのかを確認するのがよろしいかと。

私はチャーチ、チーニー、エドグリそれぞれジャストサイズ(タイト目、痛くない程度にピタッと)で履いており、そんな私のオールデンマイサイズは、
●スウェードローファー(ヴァンラスト) 7D
●9751(バリーラスト) 7D
●54321(モディファイドラスト) 7D
という感じです。

結局全部同じ7Dじゃねーか、と思われるかも知れませんが、人によって、
・ローファーはバリーのハーフ下げ
・モディファイドはバリーのハーフ下げ
とか言いますので、全部同じサイズというのもそれはそれで私なりの考えが反映されているわけでございます。

いずれにせよ、当たり前のことですが、値が張るものですので購入前に絶対に試着すべきで、理想を言えば、一足目はラコタハウスや百貨店で店員さんとしっかり会話しながら買うのがベストだと思います。

他方で、マイサイズが店頭になくて履いてないけどどうしても欲しいモデルがある、Eウィズをどうしても試してみたい、などの方は、最悪足に合わないことを覚悟の上で、ポチッとやるしかないでしょう…

どこまでいっても革靴ですので、人によって合う合わないは確実にございます。バリーラストは万人に合いやすいとか、モディファイドラストは幅広だから日本人にも合いやすい、などという字ヅラにだまされてはいけません。
誰かがオールデンをベタ褒めしていたとしても、それはあくまでその人の足には合っているという話であって、「良い靴」=万人の足に合うわけではありません。既製靴というのは、ラストに合った足に履かれてはじめてその真価を発揮できるものだと思います。

●Eウィズという選択肢

今回私が購入したサイズは6ハーフEです。
上述のように、店頭で試着してみたところ、バリーラストは7Dが良いのではないかというのが私の結論だったのですが、あえてメルカリでの6ハーフE購入を断行したわけです。

左が9751、右がチーニー125ラストです。
見よ、このカカトのデカさ…

なぜかと言いますと、バリーラストに常々感じていた、捨て寸多すぎ問題というのがあり、他の革靴に比べてバリーラストの7では全長が長すぎるように感じていたのです。

さりとて、店員さんからは7Dもちょっとタイト目で本来のオールデンのサイズ感ではないとして7ハーフや店員さんによっては8を薦められたりする中で、6ハーフDというのはさすがにありえないわけで、それなら7Dからハーフ下げ+ウィズ上げの6ハーフEはどうかと思っていたところ、都合よく6ハーフEを見つけてしまい、ポチッた次第です。

やはり国内に流通しているのは圧倒的にDウィズが多く、Eウィズで気になるサイズというのは一期一会のように思われます…

Eウィズのサイズ感ですが、7Dと6ハーフEを履き比べますと、以下のような感じです。
横幅:7D=6ハーフE
カカト:7D<6ハーフE
カカトに関しては、7D=6ハーフEになるのかなと思っていたのですが、6ハーフEがまだデカいように思われます(あくまで感覚ですが…)。

カカトのフィット感を重視したい方にはDウィズをお勧めしたいです。

●履いてみた

さて、9751 6ハーフEを履いてみての感想を述べていきたいと思います。

あえて、シワ入れはせず、生のままに、生のままに、育ててみたいと思います。パンツのプレスが甘くなってるのはご愛嬌ということでお許しを…

良い点

しばらく歩いてみますと、まず感じるのはダブルソールによる抜群のクッション性です。
一見返りが悪そうに見えますが、全くそのようなことはありません(ウェストンの180ローファーなど、履き始めはほとんど返りません・・・)。
カカト周りの安定感、コンフォート感は通常の革靴では味わえないレベル。

また、思いのほか土踏まずがシッカリ突き上げてくるのを感じます。
モディファイドラストの突き上げほどではないものの、チャーチやウェストンに比べると明らかに土踏まずがしっかりある印象です。

気になる点

・捨て寸が長い…
他方で、感じるのは捨て寸の長さ・・・
足長の実寸約25.3cmで、普段UK6.5をタイト気味のジャストで履いている私がこのバリーラストではUS6.5E(JP24.5相当)を選んだわけですが、それでも捨て寸が長く感じられ、つま先付近にスペースがあるように思われます。普段タイトなイギリス靴に慣れているとどうしても気になってしまいます。

・カカトがデカい…
そして、やはりカカトもデカい…
ただ、カカトに関しては、靴紐をキッチリしめてしまえば問題はなく、気になるほどではありません。
しっかりカカトはついて来ますので、さらなるフィット感は欲しいものの、要求が高すぎるだけと言われればそれまでとも思えます。
ビルケンシュトックやトリッペンといったドイツコンフォート系革靴のカカトのフィット感と同程度です。
ウェストンなどにも同じことが言えますが、一部のものを除いて欧米の革靴は我々アジア人にとってはカカトのつくりが大きく、オールデンもその例にもれずカカトはデカく作られており、ましてEウィズであればなおさらのように思われます。

そもそも、オールデンはビタビタフィッティングを求める靴でもありませんし…

・革がカタい…
はじめて履いた時には感じなかったのですが、二度目に履いてみて… あれ?…小指…革に噛まれてる?…
あれほど念入りにサイズを調べたのに…
ファーストインプレッションは問題なかったのに… やはり革靴は難しい…
親指の第一関節等を噛まれまくり、履くたびに出血したため友人に譲ったレッドウィングの悪夢を思い出しました…(タイトなフィッティングを求めすぎて失敗した思い出です。)

とはいえ、5回くらい履いた後には噛まれる感覚は無くなりました。
コードバンであるところに価値があるはずなのですが、コードバンであることは履き心地の上ではマイナスに働くことは認めざるを得ないところです…

⚫メンテナンス

コードバンはデリケート、とはよく言われますが、さりとてアメリカ靴はガシガシワイルドに使い倒すもの。あくまで実用品なのですら。
というわけで、最低限の手入れくらいでいきましょうというのが私の考えです。

コロニル ウォーターストップカラーズ 
楽チンなので一度試してみてほしい。保革×防水のスグレモノ
コードバンまで対応できるこの包容力…
ベタベタに塗りたくります。
ベタベタに塗って、布切れで乾拭きするだけでギラギラに仕上がります。
コードバンが固く感じる…そんなときはコロニル シュープリームクリーム。
コロニル シュープリームクリームを塗った後。マットな感じになります。間違いなく柔らかくなったと感じます。

●ヒモにこだわる

せっかくのお気に入りの革靴、靴紐をグレードアップしてカスタマイズを図るのはどうでしょう。

購入する際は、ハトメの数を基準に長さを決めます。決してテキトーに買ってはいけません。購入した替え紐が長くてもなんとかなりますが、短いと使いモノにならない場合すらあります…

色々な替え紐を試したのですが、「さのはたくつひも」の具合が良いです。
ロウがしっかり入っているのにベタつかず、しかもほどけにくい。
丸紐と平紐があるのですが、オールデンに合わせるなら断然丸紐。

先端はメタルパーツでコーティングされていてカッコイイ… メタルパーツはアンティークゴールドというべき色味で悪目立ちは一切しません。
もともとの純正の靴紐だとこんな感じ。
普通の蠟引きの丸紐。なんかちょっと短い?
「さのはたくつひも」換装後。
編み目がしっかり見えて無骨さマシマシ。

以上、オールデン9751について、徒然なるままに記載してみました。購入を検討されている方の参考になるような内容を目指したつもりですので、購入前の道しるべとしてご一読を頂けるような記事となっておりましたら大変嬉しく存じます。

7000字を超える長文をここまでお読み下さり誠にありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?