2021年5月5日 日本の部活と自主性

長男が高校生になった。

部活は何にしようかと悩んでおり、いろいろな部活に仮入部していたようだ。しかし仮入部したかった時に練習がやってない部活があったりと、なかなか思ったように見学できず、そうこうしている内に仮入部期間が終了してしまった。

仕方がないので野球部にとりあえず入部した。

今まで9年間サッカーやってきたのでサッカー部に入ると思ってたが、「練習時間が長い、試験期間中も練習するので勉強が追い付かない」との理由で入部しないとのこと。

高校生ってそんな冷静だったっけ?
あまりにあっさりしていたのですげーなーと思った。
高校で野球部デビューか!!まあ長い人生で考えたら新しい挑戦はとても良いことだろうと僕は思った。

でも本人はどうも気持ちが乗らないようで1週間で辞めた。
結局生徒会をやる気になっている。

1週間という短い間だったが、練習試合があり3打席くらい試合に出させてもらっていた。
僕ら親にとってわが子が野球部に所属して試合に出ているなんて人生で超レアな出来事なので最初で最後の試合観戦に行った。

結局、1時間分位見続けたが長男が打つところはタイミング悪く見られなかった。けどとても印象的なことがあった。

「監督が終始怒鳴っており、かつ全てを仕切っている」


野球だから当然かもしれないが、特に攻撃時打者は1球1球監督を見て、サインを見てどのような戦術かを確認する。

強打か、バントか、ランナーがいればヒットエンドランか、その際はゴロを転がすのか、更には1塁方向に飛ばすのか、3塁方向にとばすのか、、、などなど。
敵のピッチャーも当然点を取られないよう工夫するのだから打ちごろの球はそうそう投げてこない。
だから戦術は戦術であっても、成功するか否かはもちろんやってみないとわからない。

点を入れるための様々な戦術があり、各戦術の成功の確率があってのサインだろうが、これって選手一人ひとりは自分で考えているのかいな?と思った。

僕は野球素人であることは重々承知の上での感想だが、あくまでも試合に出ているのは選手であって、リアルにバッターボックス立ち、ピッチャーの球や守備の様子を選手自身で確認したとき、「こういう打ち方、攻撃、戦術がいけんじゃねーか?」とグラウンド上でしか体感し得ないことを感じる事があるんじゃないかと思う。
そういうのは大事にしないといけないし、選手の勝つための嗅覚みたいなものを育むには指示ばっかりだとダメじゃないかと思う。

監督にできることはあくまでもアドバイスでしかない。
ピンチな時、チャンスな時実際にどうにかするのはグラウンドにいる選手自身なのだから。

野球だからサインプレーがあるのはわかります、よーくわかります。

でも一人ひとり考えているように思えなかった。というより考えさせているのかなあと思わせる監督だったよ。

何のための指示なのか。
何のための戦術なのか。

野球の本質って結構個人の力量が大きい競技だ。

打者は打者個人の力量。

ピッチャーはピッチャー個人の力量。

守備は守備をする個人の力量。

チームプレーは攻撃時はサインさえ間違えなければできる。あとはボールをバットにどのように当てるかだけ。要は個人の能力次第。
守備時はダブルプレーとか、外野からの返球連携とかあるけど、肩の強さとか正確さとかこちらも要は個人の能力次第。

個人の能力を最大化しチームとして最大の結果を得ることを目的とするのがサインプレーであるはずだから、怒鳴るとか余計なことはせずに自分のバッティング、ピッチング、守備他が100%発揮できるように配慮するのが監督の仕事ではないかい?それがチームの能力を最大化するのだから。だよね?


怒鳴ることが不信感を起こさせるのは、実は単に表面的なことであって、目的が共有され、かつ信頼関係が構築されているのであればどうってことないのだろう。そうであってほしいけどどうもそうでないようだった。

目的が共有されているのであれば必ず得るものはある。
ミスしても成功しても、勝っても負けてもいい。

運動部に限られるかもしれないけど、特に高校生ともなると「その部活をやる意味」を自覚しないといけないと僕は思っている。


プロになるのか?
好きだからやっているのか?
自己鍛錬、自己成長のためにやるのか?
趣味的な意味合いでやるのか?
ただやっているだけなのか?

なぜその部活に所属しているのかをしっかり言葉にできるようにしてもらいたい。

プロの道があり、優秀であれば食っていけるのであればそれを目指すのもよし。
その競技がただただ好きだから続けているならそれもよし。
できればあまり練習したくないけど、なんとなくやっているからやるもよし。

なぜならば高校生はあと数年で社会にでる年ごろなのだ。
自分の将来をしっかり考えるクセをつけないといけない年齢なのだ。
自分の行動に責任を持たないといけない。だからこそ指示待ちだけ、監督が全てを仕切る部活は生徒の成長を妨げてはいないか?
この監督は生徒の長期的な成長を見越して今現在に対応しているのかな?


生徒一人ひとりの夢や思い、現状を認識した上で監督は生徒を育ててほしい。

でも言うのは簡単だけどとても大変なことだと思う。
先生一人にすべてを押し付けるなんて毛頭ないけど、あれもやれこれもやれと言われたら

「無理だよー!!ボケー!!」

となるよね。キャパオーバーだから怒鳴って力不足をカバーしているのか?


でも高校3年間を有意義に過ごすにはやっぱり考えるクセをつけてもらいたい。

教育の一環での部活動であるなら生徒自身に考えさせる部活にしてほしいと思う。

その上で勝負にこだわることは大いに結構だろう。

自分で考えて練習して試合に臨み、勝利にこだわるチームはどんどん伸びる。


日本の部活においては、数十年前と比較すれば相当変わったと思うが、監督と選手の関係は授業における「教師と生徒」の関係がそっくりそのまま部活になっただけの形がまだまだ多いのだろう。

技術、フィジカル、戦略的アドバイスをもらえる「コーチと選手」の関係ではない。

わかりやすく言うと部活における監督は教師であり、選手はどこまで行っても生徒だから監督の言うことは絶対であり選手は監督の言う通り動いていれば間違いない、という関係がありがちのように思う。教師も生徒に「教えてしかるべき」という意識が強いんじゃないのかな。
この21世紀が21年も経っているにも関わらずこういった事が残っている部活はちょっともったいないなーと感じました。

でも本当に能力高い選手は勝手に自分で考えて、練習してどんどん上手くなっているんだろうな。監督やらチーム云々はあまり関係ないんだろうね。

そんな選手ばっかりじゃないからね。
ちょっとしたきっかけで高校3年間なんて超飛躍するからね。

たのむよ監督。
でも先生方いつもありがとうございます。
心から。


バイなら。


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