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「個別最適な学び」というバズワード

「個別最適な学び」といえばGIGAスクール構想の次に学校現場を席巻しているバズワードだろう。研修でもとりあえず「個別最適」といっておけば間違いないというくらいストライクゾーンも広い。

文科が「個別最適な学び」と「協働的な学び」をまとめたよく知られたイラストがある。

文部化科学省(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/senseiouen/mext_01542.html)

「個別最適な学び」は「指導の個別化」と「学習の個性化」に分かれ、さらにその学習環境を担保するのは「協働的な学び」を成立させる心理的安全性が整った集団であることが知られている。

そして、ICTとの親和性が高い・・・ように思わされてしまっている。

このあたりはかなり政治的文脈もあると思うのだが、コロナ禍で加速したGIGAスクール構想と同時期に「令和の日本型学校教育」で提唱されたことにより、ICTありきでこうした実践を強めようという気配がかなり強い。

全国学力・学習状況調査のアンケートもかなりざっくりとしており、いかにICTが効果的かを数字として残すのに躍起になっている感がある。以下のアンケートだが、調査書的には「傾向」と表現しているが、暗に示すのは「ICT機器使った方が、主体的・対話的で深い学びが捗るでしょ?」というプレッシャーだ。たとえば学力困難校では、プラスアルファの学習が難しかったり、ICT機器を制限せざるを得ないこともあるから、このアンケートは学習方法の違いではなく、構成員の違いが学習に影響することを浮き彫りにした可能性だってある。

国立教育政策研究所『令和5年度 全国学力・学習状況調査の結果』31ページ(https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/report/data/23summary_zentai.pdf)

とにもかくにも、みんなが言い出すバズワードは少し斜に構えて受け取った方がいいだろう。見るべきはバズワードではなく、目の前の子どもたち。子どもたち。

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