経産省が考える人(材)と学校現場が考える人

以前参加したセミナー(ウェビナー)である経産省の資料が提示された。

その名も「未来人材ビジョン」
作成されたのは令和4年5月なので新しめの資料だ。

経済産業省「未来人材ビジョン」(令和4年5月)
https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf

問題意識としては、DX、脱炭素を背景とした社会変化から
VUCA時代を生き抜くためにはどうしたらいいかを出発点とし、
雇用・人材育成と教育システムをつなげて議論していかなくては
という思いがある。

そこで若い世代に以下の姿勢や行動を求める。

「常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す能力」
「夢中を手放さず一つのことを掘り下げていく姿勢」
「グローバルな社会課題を解決する意欲」
「多様性を受容し他者と協働する能力」

経済産業省「未来人材ビジョン」(令和4年5月)p.17

そして「現在(2015年)必要とされている能力」と、「今後(2050年)必要とされるであろう能力」を対比する。
ここまでくると察しのいい方々は、「多分あのあたりの対比かな」と
思い浮かべるものがあるのではないだろうか。

現在は「注意深さ・ミスがないこと」「責任感・まじめさ」「信頼感・誠実さ」、今後は「問題発見力」「的確な予測」「革新性(イノベーション的な)」である。

ちなみに上位10の能力は、ほぼ総入れ替えである(「柔軟性」はどちらにも入っている)。

さあ、それでは学校現場で重視している力は何だろうと考えてみると、新学習指導要領として経産省的な感覚を学校現場に持ち込みたいという気持ちはよくわかる。それでも、やはり「一体感」「所属感」「正しさ」「まじめ」「誠実」といった価値観が教職員間では共有されているのでないだろうか。

それを「あるべきもの」と捉えるか「息苦しいもの」と捉えるか、世代間でもかなりギャップが出始めている。

本資料の「教育」に言及する箇所では、「新しい解」を自ら導き、「自ら育つ」人の育成の必要性を説く。では、我々教職員にその経験がどれほどあるのか。私自身、ここに書き込むことであたかも分かった風を装っているが、それをどれだけ子どもに還元できているのであろう。

先ほど挙げた「将来必要となる能力」も漠然とした(VUCAなので当然だが)将来を生き抜くには・・・という視点の能力という気がしてならず、では今日、明日を生活するには、やはり「注意深さ」「責任」「まじめ」「誠実」といった価値観が大切なのではないだろうか。
※将来的には「量子コンピュータ」の技術も考えていかなきゃ!だけど、それは今の技術を無価値にするものではない。

とにもかくにも必要なのは、教育に携わる人々が自分たちの頭や体で考え抜き、本当に大事なものを共有していくことだと思うのだが、じゃあ、それがどうしたらできるのだろう・・・。

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