ゲーム作りで壁にぶつかった時に使える魔法の言葉(あるいは呪い)
未来の私へ。
ゲーム作りで壁にぶつかった時に使える魔法の言葉を教えます。
「ゲーム作りは楽しい!」
ひらめきは楽しい(でも一生は続けられない)
ひらめく方法について、私が知っているのは2つです。
・ひらめきの正体は記憶の結びつけ
・記憶は脳内のシナプス伝達で生じる
つまり、様々な記憶を組み合わせれば自ずとひらめきます。
そして記憶の山をシャッフルするには、まずぼーっとすることです。
頭を「考えない状態」にする方法は人それぞれでしょう。
私の場合はアウトドアです。山や海にロードバイクで出かけます。
もちろん組み合わせの母数が少ない時は大したひらめきは出ません。
大事なのは言語化です。本を読み、話を聞き、体験し、頭にインプットしたことを言葉にしましょう。口頭でも良いし、文章でも良いです。
ひらめいた時は暗闇に一筋の光を見つけた時のような安心を得ます。
あるいは、いたずらを思いついた子供のようにわくわくします。
脳はいずれ生活のために最適化し、ひらめきを必要としなくなります。
いつかくる才能の終わりに備えてもしょうがないので、これから出てくる若い才覚を摘んでしまわぬよう余計な一言に気をつけてください。
試行錯誤は楽しい(でも時間が足りない)
ゲーム作りはできるだけ少ない試行回数で効率的に行わなければなりません。何通りもあるケースの一つ一つをチェックする時間は無いからです。
今の私が実践しているゲーム制作のプロセスを下に記します。
ベーステストはゲームの基本ルールに破綻が無いか調べる工程です。
ルールは複雑でないか、最後まで遊べるか、遊べたとして時間が掛かり過ぎていないか等のゲームを成り立たせる最低限の部分だけ確かめます。
バニラテストはテキストのないカードのみで遊ぶ工程です。
アブストラクトゲームなら特殊な動かし方(チェスで言うキャスリング)やマーダーミステリーなら個別目標と言った部分が無い状態で遊び、その状態での最適解を導き出します。
アーキタイプテストはゲームにゆるやかな三すくみを作る工程です。
バニラテストで出た最適解に対する解答を持つカードや動かし方を制作し、さらにその解答の解答になるものを作ります。こうすると出来るだけ基本ルールをいじらずに三すくみが出来るので楽です。
マネジメントテストはゲームの寿命を伸ばす工程です。
アーキタイプテストの状態で、プレイヤーが最終的な結論プレイ(その人がそれが最適解だと感じて落とし所とすること)に到達するまでのプレイ時間を予測します。寿命があまりに短い場合は研究が必要な効果を持ったカードやルールを追加します。
個人的に、そのゲームを買った人が結論プレイに至るまでの時間は、
ゲームの値段÷遊んだ時間(h)=200円くらいが良いです。
告知は楽しい(でも後戻りできない)
ゲームが出来たら告知しましょう。
プレスリリースを出したりTwitterを使ったり、とにかく知ってもらえるようにしないと、いざゲームを出しても誰も遊んでくれません。
形だけの告知は意味がないので、効果が出てないと感じたならお金を出してでも告知した方が良いです。
告知に協力してくれる人も探しましょう。
ステマではないので、必ずPRを明記してもらってください。
自分自身が宣伝塔になるのはオススメしません。
人には得手不得手があります。すでに知名度がある人なら良いでしょうけど、そうでないならやめた時の揺り戻しがキツいです。
どんな告知でもそうですが、告知をしたら後戻りできません。
「やっぱナシ」を多用すると信用を失います。有言実行だけが正義です。
失敗は楽しい(でも繰り返せない)
ここまで念入りに準備しても転ぶ時は転びます。
ゲーム作りは失敗しても構いません。
ゲームの中身がつまらないことは失敗の中でも三番目だと思います。
よく聞きませんか? 一番の失敗はゲームが完成しないことだと。
個人的にこれは二番目の失敗だと思います。
別にゲームが完成してなくても、遊べるなら問題ないからです。
一番の失敗はゲームが遊んでもらえないことだと思います。
ゲームは遊んでもらうために作るものです。
それは大勢にそうであっても良いし、小規模な友人同士の中で遊ぶためだけにゲームを作っても良いです。
ゲームが遊んでもらえないって失敗の根深さは侮れません。
何のフィードバックも得られず、最後は人望の無さに絶望するからです。
そうなったら人間は終わり。身近な人を大切にしてください。
なお、同じ失敗を繰り返してしまうと、後がなくなります。
自分でそれが苦手だと感じるようになってしまい、今後その物事に挑戦するのをためらうからです。
最初は既存のゲームをアレンジする程度にとどめておきましょう。
あと、作るのが難しくないジャンルから挑戦してください。
tips「失敗したら笑う」
試遊は楽しい(でも遊び続けてもらえない)
ゲームができたら多くの人にインストを行います。
インストとはルール説明のことです。
実際にはどうすれば楽しめるのかまで話すのが多いと思います。
ボードゲーム会に行けば頻繁に目にするインストですが、千差万別。
新しいゲームを持ち込む時は新作だと言って試遊してもらいます。
テストプレイって言うと未完成だと思われるので「試遊」と言いましょう。
これは偏見ですが、少人数のボドゲ会ほど排他的な内輪ノリがあるので、持ち込みは大人数のボドゲ会がオススメです。
地域によってはテストプレイ専門のボドゲ会もあります。
ほぼ同業者の集まりは多くの知見を得られるので参加し得です。
生の意見を求めたいなら学校や児童館、公民館に行きましょう。
小中学生は遊びが本業なので忖度のない感想をもらえます。
いきなり話しかけると不審者になるので家族や友人を介してください。
オンラインの試遊も良いですが、あんまり人が集まりません。
Vtuberのトイリスさんや、きたこしさんが新作ゲームの試遊や紹介配信をしているので、バーチャルの力を借りましょう。
どのシーンでも共通して試遊は1度きりです。
2度目を遊びたいと言う人は居ますが、実際に遊ぶ人はあまり居ません。
頒布するのは楽しい(でも人が足りない)
ゲームマーケットではいつもたくさんの方がお求めになるので楽しいです。また、全捌けはできるだけしないように努めています。
逆に人が来なかった時も経験しました。
これは漫画をコミケで出した時ですが、人が来ないとマジで飽きます。
客引きするのは疲れるし、周囲の目が気になるのでやりません。
ゲームや読書で暇潰すのも印象悪いので地蔵のように待ちました。
その時は1部もお求め頂けなかったですが、特に感情は無かったです。
頒布できてもできてなくても、すべて人次第だと思います。
楽しくないのも含めて頒布です。
お金儲けでやってないので、頒布できないと赤字になります。
それは趣味への出費だと思っているので大丈夫です。
黒字を考えて活動する人は黒字にする作戦を考えた方が良いです。
感想を見るのは楽しい(でも話しかけられない)
頒布した後はSNSで感想を眺めます。
検索しやすいゲーム名にすると良いです。
Twitterの感想は短文も長文もゲームの中身に対する批評が多いです。
Instagramの感想は短文が大半で誰と遊んでどう楽しかったかが多いです。
Facebookの感想はゲーム名の羅列ばかりで、感想という感想は少ないです。
いずれも見かけはしてもこちらから話しかけて良いのか分からなくて、結局なにも反応できずに終わってしまいました。
作者が出しゃばるのもアレだしな……と思っちゃうんですよね。
好意的な意見も否定的な意見もどちらもありがたく思います。
ルールが分からない等のコメントには反応しているのですが、それ以外のコメントは「そう思われたのであればそうなんだと思います」としか作者としては言えないです。
感想はサークルのDiscordにどんどん共有して、メンバー内でフィードバックしています。ドカンと笑うようなメンツではないので、花見をする時のような盛り上がり方です。至福の時間の一つだと思います。
大会は楽しい(でも予定合わせが難しい)
ゲームを頒布した後はそのゲームのイベントを開催します。
SNSでの反応を見ながらですが、いくつかのイベントに同席させていただいて、そのイベント内でゲームのミニ大会を開催しました。
大会を開催するのは、いち早くゲームを遊んだプレイヤーほど強くなっており、そうした方が先行者特権を堂々と感じられるようにしたいからです。
大会参加は無料にしています。
イベントに同席させていただいているので試遊も兼ねて一石二鳥です。
特に同席させていただいて印象深いのは東大駒場祭で、親子ペアのミニ大会を開催できたのが有意義でした。
木製コンポーネント(手作り)は最終的に子供たちによってだるま落としみたいに投げ飛ばされていましたが、元々頑丈で且つ口に入れると苦いニス付きの設計にしてあったので心配は少なく済みました。
直近だとオンラインでVtuber限定大会が楽しかったです。
ちゃんと環境が機能しており、Tier1のデッキにTier2のデッキが勝つ事態が起きて非常に満足しました。
ただし、いずれもスケジュール調整に難儀しました。
ゲームの工程で最も難しいものは参加者の予定を合わせることです。
こればかりは良い方法が分かりません。どうしたらいいですか?
ゲーム作りは楽しい(だからやめられない)
結局これなんです。
それぞれの工程にそれぞれの楽しさがあります。
いずれ自ずとやらなくなってやめてしまうんですけど。
とはいえ色々と知見を得ました。noteにそれらを公開しています。
ゲーム制作者の手助けになれば良いです。
まあ、私が話していることは、本を読んで、ゲームを遊んで、実際に何個か作っていく課程で手に入るものに過ぎません。
知識だけ得てもしょうがないです。
手を動かしましょう。
作ったゲームたち
落ち込んだ時や壁にぶつかった時は成功体験を振り返りましょう。
『シフラ』
ゲームマーケット初参加時の作品です。
4ページの宣伝マンガを自分で描きました。
まさかここでマンガスキルが役立つとは思わなかったです。
『トランプTRPG ループ&デジャヴ ザ・ホラー』
トランプを使うオリジナルシステムのTRPGです。
マーダーミステリーのアクションが好きで、それに特化しています。
準備が面倒だったりシナリオが作りづらかったり課題はあります。
オンライン頒布はしていますが、出来がいまいちなので100円です。
『狐狗狸忌憚 -七不思議の章-』
ウィジャ盤をゲームで使うマーダーミステリーです。
もちろん狐役がわざとコインを動かします。
オンラインで遊べるようにリビルド予定です。
なぜって実際にコインが動き出すと悲鳴を上げる人が居ましたから……
『ひょーいドン!』
Vtuberのサトミくんが誕生日だったのでサトミくん用に作ったRPGです。
期間7日のゲーム版ハッカソンとして制作しました。
ゲームのプレイ画面はサトミくんのYou Tubeを見てください。
また、ゲーム内容はnoteに投稿しているので興味がある方はどうぞ。
『東方リキャストリフト』
東方Projectの二次創作オンラインカードゲームです。
2019年7月から開始したので、もうすぐ2周年になります。
2ヶ月に1度のペースで新カードを追加中です。
公式ブログのメニューに対戦広場へ案内するDiscordがあります。
まとめ
ひらめきは記憶の組み合わせ
記憶は言語化しておく
試行錯誤はプロセスを決めて効率化する
形だけの告知は意味なし
試遊は大人数のボドゲ会へ
失敗は繰り返すな
頒布の結果にこだわらない
感想を検索しやすいタイトルにする
大会は予定合わせに時間がかかる
手を動かそう
ゲーム制作の依頼やお手伝いがあれば、ぜひご連絡ください。