画像生成AI利用者の”立場の違い”の分類(議論が並行線になる原因)

はじめに


 イラスト,画像生成AIの利用者を呼称する時
・「生成AI利用者
・規制派に対して「推進派
・2024年には聞かなくなった「AI絵師
などいろいろ言い方がある。

 今までのデジタルイラストで行われていた「筆を持って描く」ということから離れていった結果、かなり“立場の違う”生成AI利用者がたくさん出てきた。
 彼ら彼女らを一緒くたに「生成AI利用者」として話を進めると、”立場の違い“から話が拗れるな、と思う場面がかなりあるのです。

 そのため、以下立場の分類をしていきます。


※この記事は以下の生成AI記事シリーズの一部ですが、単独で読んでいただいても大丈夫です(全記事通していただけるのが理想ですが)。

生成AIにクリエイターはどう向き合うか【「絵師」とイラスト生成AIの不和を考える】

分類


①.生成AIで(いくつかの)文字入力で出力した結果を投稿し創作者になった気になってる人。
→この立場の人を"創作者"とするかの議論はまた別の記事で書きたい(2024/8/11現在未記載)


②.自身の画力とAIの"合作"。


③.イラスト以外の創作者が著作権に目を逸らして挿絵としてAIを使う。
→もしくは上記①②の"AI創作者"に依頼したり動画編集ツールのAI項目に責任を渡して自分は別の創作をする


④. 自身はユーザで欲しいイラスト求めてるだけ、それを投稿サイトに"共有"してる。
→スクリーンショットで他者のポストでバズったり、権利元未記載の切り抜きに似たものを感じる


⑤.ビジネスの"商材"として生成物を使っている。
→他の項目全てにこの⑤と両立してるタイプの人が一定数いる


⑥."将来"情報の整合性,真実性が無くなるという在り方を受け入れて「周りの人間も受け入れればいいのに」と思ってる人。
→実際には"人間の営み"として「技術的には可能でも規制する」という歴史が何十年も前からある事実には顔を背けてる場合が少なくない


⑦.上記⑥の矢印部分も受け入れて解放すべきという人
→例:スポーツのドーピング,将棋のAI利用,ゲームのチート,クローン生物,デザイナーベイビー


⑧.もはや著作物に作家の"影"は必要ではなく創作された"物体"がそこにあるだけ。という派閥。開発者気質の人とかでこの立場も多そう。
→……という体でいながら創作物の"所有名"は自分にしたくてそれを軸に活動している人も多い(「先行利権」と宣言してビジネスでやってる人も多い。)


※もちろん上記パターンが全部な訳ではないし、きっちり区切られるものでは無く、グラデーションだと思います。

これらの立場の判断をせず議論するとすれ違いが起こる


 例えば「規制派のテンプレートな立場」になったと"仮定"します。
 AI利用者を批判する時に、①~⑧の立場の違いをせずに批判しはじめると、どうなるでしょうか。

 ①~④をまとめて「お前らクリエイターじゃねえから」というと、②,③の人たちは"自身を創作者だと言う前提"の立場持ってるのでその時点で主張が崩壊してしまいます。
 とくに④の人は「うんそうだね」と言って話を流しますね。


 ⑥,⑦の立場の人は「将来の情報社会の在り方全体」という切り口じゃないと話に聞く耳を持たないことが多い気がします。


 ⑧は、さらに3パターンが考えられているイメージです

Ⅰ.ほんとに「生身の人間性」がいやでAI的なものこそいいじゃないかと思ってる人

Ⅱ.創作論などで時折話題に上がる「作品と作者は別」を曲解している人。
これ、おそらく出自はロラン・バルトの『作者の死』という構造主義の批評だと思うのですが(文学の分野です)……実はこれ、大学の教授レベルの人が内容を「誤解」して授業で学生に講義していることがあるんです。びっくりですよね。
詳細は別記事で書きたいなと思うのですが、いつ書けるか分からないので、私の記事を待たずに知りたい方は『ナラトロジー入門』(橋本陽介著)をおすすめします。

Ⅲ.先にあげたⅠ,Ⅱを"言い訳"にして、ビジネスしたい人。
ビジネス化してるとまた立場の"変異"があって、上記①~⑧全てにビジネス優先の人がいるのですが、noteで
『生成AIを使ってこれだけ儲かった!』
『これからのビジネスは生成AIの時代!』
のように言ってる人が創作論に"おべっか"する際の記述に使ってるのは⑧が多いかなあという印象。

noteで生成AIを議題にする時


 僕自身も過去の記事で生成AIの考察をしてきたのですが、あえて上記分類をぼかした書き方をした部分がありました。

 "規制派"にしろ"推進派"にしろ、上記分類(※)を把握せずに議論をしてしまうと、かなり話が相手に通じなかったり悲しいすれ違いを起こしてしまったりします。
 良ければ話相手と知識の前提共有するのに本記事を使ったりしてくださいね。

※再度注意ですが、本記事の分類は絶対なものではなく、筆者自身が生成AIを取り巻く状況を理解しやすくするために用いた"便宜的"な分類です。ご了承ください。

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