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第21回再生医療学会総会

今回は、第21回再生医療学会総会に参加させて頂きました。今回も興味深い内容が多かったので何回かに分けて投稿させて頂きたいと思います。

亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞移植

今回は、注目度が高い【亜急性期脊髄損傷に対するiPS細胞移植】の進捗状況をわかりやすく記載させて頂きたいと思います。

これまでの流れ

昨年、慶応義塾大学病院から亜急性期脊髄損傷者に対するiPS細胞移植の開始されると報道されました。
私が最初に聞いた治験開始の目安が2019~2020年頃と聞いていたためコロナの影響により2年も遅れてのスタートとなります。
そして、2021年12月中旬頃に中村雅也先生自ら、執刀医となり手術され移植が無事に成功したとのことです。

治験の条件

現在、明確になっている治験条件として。
・受傷後24日以内であること。
・ASIAがA判定
・脊髄損傷受傷後14~28日に細胞移植が可能
・慶應義塾大学病院への入院して、移植後6か月間の村山医療センター入院が可能な方
・移植後、1年1か月間慶應義塾大学病院の通院可能な方。
・年齢18歳以上
・除外基準として、脊髄断裂・硬膜損傷・脊髄疾患の既往・全身状態不良となっております。
受傷後24日以内の縛りは、医療保険の関係であったり、グリア瘢痕形成など二次障害の及ばない期間に移植を行なうためと考えられます。

手術方法

今回の学会にて、移植手術方法も初めて発表されました。
全身麻酔にて、損傷した脊髄部分を露出。露出した脊髄に直接、約200万個のiPS細胞を直接移植したとのことでした。
現在、再生医療の投与方法には静脈投与・髄腔内投与・直接投与などの投与方法があります。今回、中村先生の研究結果から細胞を直接投与を行なったやり方が効果が高かった研究結果をもとに直接投与となったとのこと。

移植後

その後の経過として、術後目立った異常はなし。
術後翌日からベッド上にてリハビリ開始された。
手術6日目から離床して、リハビリを実施。
術後3周目のMRIは異状なく、経過は良好とのことでした。

今回の学会では、どれぐらい回復したのか。腫瘍化などはなかったのかなど細かな身体状況の変化に関して発表はありませんでした。

また、この初症例を長期的に経過観察を行ってから2症例目を行なうとのことでした。そのため、亜急性期の治験はもう少しかかりそうな印象でした。

中村先生・岡野先生らは、慢性期の治験に関しては2023年頃の実施を目指しているとのことですがコロナの影響や亜急性期の治験の結果によっては伸びる事も十分に考えられるため今後の動向を注意深く見ていかなければならないと感じた発表でした。

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