見出し画像

暗闇の中でわたしは障害者になり、そして細胞が組み替えられた。


暗闇が大好きだ。


わたしがそう呟くと、変人とまではいかないまでも、ちょっと変わった人扱いされる。意味が分からないとゆるりと流されることもよくある。

通常イメージされる「暗闇」とは、恐ろしいものだったり、不安なものという人が多いからかもしれない。


だけど、あえて重ねて言いたい。

わたしは暗闇が大好きなのだ。


画像1

あ、熱量だけが先走ってしまいました。
何が話したいのかは順を追って説明するのでもうしばしお付き合い願います。

誤解のないように言っておくと、ここでの"暗闇"とは別にジャングルの山奥で危険と隣り合わせの暗闇にいたいと言っているのではなくて
あくまで最低限の安全が保障されている暗闇だと思ってもらえると。


暗闇が好きになったきっかけはいくつかあるのだけど
その中の一つ、そしてわたしの「見えない」ことへの概念がガラリと変わったのは間違いなくダイアログ・イン・ザ・ダーク(DID)の暗闇体験だった。


目以外のなにかでものを見たことがありますか?
ダイアログ・イン・ザ・ダークは、視覚障害者の案内により、完全に光を遮断した”純度100%の暗闇”の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメント

(ホームページより:現在はコロナ対策でダイアログ・イン・ザ・ライトとして特別開催されているようです。)


詳細はホームページで解説されている通り。

生まれてからこれまで、ここまでのものを体験したことがあるだろうか?と言うほどのうっすらとした光も一切入ってこない純度100%の真っ暗闇。

そこへ視覚障害者のアテンドの方に案内されながらものすごく広い(と感じる)敷地内を白杖と視覚以外の感覚、そしてチームの人との対話を頼りに巡っていく。


ゆっくり、少しずつ光度が落とされながら
暗闇の世界に入っていくと・・・

そこはいつも当たり前に見て、暮らしている世界とは全くの別世界。


本当になんっにも見えない・・・!!!まじか。。


画像2

反射的にやってくる恐怖や、不安

ちょっとでも情報を得たいと焦って回転を早める脳みそ

周りの様子を探ろうと手当たり次第に腕を動かすと、周りの人や壁にぶつかってしまったり


そんな中、ものすごく安心感を与えてくれたのがアテンドの方の落ち着いた声。


そう、暗闇に入った瞬間に

見えない人(障害者)と、見える人(健常者)だったはずの立場が逆転した。


暗闇の中でわたし達は"見えない人"になった。
しかも明るい世界の中での彼らとは違って、その世界に生まれたての赤ちゃんのように。



よちよちの赤ちゃんだった私たちは

アテンドの方に促されながら少しずつ、少しずつ
この真っ暗闇の世界での感覚を味わい、生き方を体得して成長していく。


頬に触れる風

流れる水の音

物理的に触れられるモノの感触

人の気配・声・対話

場所によって異なる空気感の変化

暗闇の中で感じる飲食物の味


様々な体験を繰り返すうちに
明らかに自分の感覚が変化していくのがわかった。


いつも起きてる時は動きっぱなしの視覚神経が「静か」になり

その代わりに今まで眠っていた全身のあらゆる箇所が反応し始めている。


耳で眺め、足で探り、鼻で食べて、皮膚で感じる

画像3

まるで全身の細胞が目覚めたような。


ゾクゾクした。

気持ちよかった。


そして不思議なことに、何も見えないのにも関わらず
繊細で柔らかな安心に包まれているような気すらしてくる。



同じチームで体験した人たちの中には
ひたすら不安だったという人もいれば、人の温かさを一番に感じた人もいるし、脳が疲れたという人もいるし、同じように楽しかったという人も多かった。

もちろん感じることに一つだけの正解はなくて。


ただわたしが感じたことは

障害者は、それまで勝手に思っていたような”何かが足りない人”ではなかったということ。

そして逆に、目が見えないから特別な感覚があるのではなく、そのポテンシャルは誰ものからだの中に眠っているだけということ。

障害者かどうかというだけでなく、見ている世界は人によって全く違うものになるということ。そこには優劣はないということ。


そしてただただ、知らない世界の見え方を知るのが面白かった!!




全身の目が開いてハイパーモードになったと思ったのもつかの間、
短時間での体験は日常に戻りリアルな目を開いて生活していると徐々にその時の感覚が薄れていくのだけど

元に戻った、というよりは
わたしの感覚は「開ける」ということを知った上で閉じているように感じていたので、からだへの信頼はそれまでとは比べものにならないほど変化した。


これが2012年の初体験の時。
DIDにハマったわたしは、その後もいろんなお友達を誘って数年の間に4〜5回通い、その度に新しい発見を得て。

それと同時に様々な角度から「感じる」を深める体験を続けていくことになる。


さて、なぜこの時の体験を今、思い出したのかと言うと
たまたま出会ったこの本を読んで感銘を受けたからだ。

画像4

今やっていること・伝えていることと通じることがものすごく分かりやすく言語化してあり、同時にこの頃の感覚が原体験としてブワ〜〜〜っと蘇ってきたから。

つまり、ここまでは長い長い前置き(すみません 笑)


続きは次の記事で書きますね。

東京にいるうちにもう一度DID行きたいなぁ〜


くろかわさいこ
アメブロ:https://ameblo.jp/saisai-kiteya/
LINE公式アカウント:https://lin.ee/mNLCv8c
Instagram:https://www.instagram.com/saisaiya/


面白い!と感じたり、何かのヒントになったと思われましたら ぜひ支援をお願いします\(^o^)/