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4月チェロレッスン2回目:キャパオーバー?

「チェロセクションでロビコンすることになりました。」

レッスンの準備をしながら先生に報告した。

「ロビーコンサート?定演のときにやるの?
曲目は?」
と先生。

「えっと、ゴルターマンのセレナーデとロマンス、アヴェ・ヴェルム・コルプスです。」

「2曲はお前やってるな。弦六やるっていうのに、よくそんな余裕あるなー。」
先生呆れる。

「全員って訳じゃないですよ?数人のチェロの人たちです。」
「夜も入ってるんだよね?」
「…入ってますね。」
「大丈夫なの?」
「先週チェロトレーナーのM先生にパート練習でご指導いただいたんですけれど、M先生も心配していました。本当に弦六やるの?って。」
「それはそうだよ。弦六を6人じゃなく合奏でやるなんて、聞いたことない。」
「ネットで弦六合奏検索しましたが、見つかりませんでした。」
「ほらー。やったことある楽団ないんだよ。」
「もう宣伝してしまいましたから、今更メインプロ変更はできませんね…私は諦めて練習してますよ。」

★★★★

「再来週のコンサートチケット、取りました。」
先日先生から、先生のチェロ仲間Mさんがちょうど弦六をやると聞いた。
「取れたか。良かったな。席はどこ?」
「前から4列目。」

前だと音は悪いが、今回は聴いて楽しむのが目的ではない。Mさんの演奏技術を盗むのだ。

「いいところ取れたね。録画を見るよりは生演奏を体感した方が勉強になる。」
と先生。
「はい。どうせなら、パート譜広げて赤ペン持って聴きたいです。」
「おいおい、周りが迷惑だ。」
「もちろん、そんなことしませんよ。」
パート譜はほとんど頭の中に入っている。

「オケ曲目の練習の進み具合はどうなの。」
「やってますけど、芳しくないですね。時間の確保が難しいです。パート練習では自信がないからトップとベテランRさんに挟んでもらいました。」
「末席でコッソリ弾かせて貰えればいいのにね。」
「それはなさそうですね…。」

楽団の中では私は新人なので、居住まいを正して
「不束者ですが、末席で十分ですので座らせていただけますか?お仲間に入れていただけるなど、身に余る光栄と存じます…。」
という心境である。

ところが。

トップ(首席)のMさんは寂しがりやであることが最近私にもわかってきた。
トップサイドが欠席だと、私を隣に座らせたがる。
Mさん自身が欠席だと、私をトップに指名する。
もちろん私は「そんな、滅相もない!」
と遠慮するが、Mさんは「いいからいいから。」と私の椅子を隣に移動させる。

先生は「課題できないならオケ辞めろ」と言いつつも、私のそんな活躍(?)を喜んでいる様子。
3月にあったプロオケとの合同コンサートで私が前列で弾いたのも
「恐れ多いなぁ。」
と口では言いながら、ご機嫌だった。

「何とか頑張りなさい。」と先生。

★★★★

レッスンはバッハ無伴奏5番プレリュードが続いている。

序奏を終えてテーマに入ったのだが、オケ癖のついた私が1ポジションを避けて4ポジで弾いているのを前回注意された。
複雑な弾き方で暗譜してしまったので、シンプルな弾き方に直すのに苦労した。

今日注意されたのは
①出だしはpだが、スタッカートで音の粒をハッキリさせること。
②音階スラーで走ってしまっている。
③アコードで慌ててしまい、綺麗な音が出せていない。
④アコードを弾く際、弓を弦に押し付けないこと。力でなく、テクニック。
⑤低音を響かせて迫力を出しなさい。
⑥シ♭ミ♭ラ♭が甘い(音程)。

①分かりました。
②テンポに乗ってしまうと、一緒に走っちゃうヤツですね…。
③指が短くて届きにくいのです。頑張って広げるようにしないとね…。
④「序奏でできているのに、何故ここで出来ないの!?」というご指摘。ごもっともです…。慣れればできると思います。

⑤「無伴奏なんだからさぁ、お前が音出さないで誰が音出すの!?自信なさげに弾くんじゃないッ。低音は朗々と、うるさいぐらいに音を出す!」
とのこと。
自信なさげに聞こえるんですね…どうやったら先生みたいに「僕の音を聴けッ!」というように弾けるのでしょう?気持ちの問題ですかね?

⑥③と同じ理由ですね。

「…という点に注意して練習してきなさい。」
と言われて、本日終了。

★★★★

「8月に4年ぶりに大学のOBオケで演奏会やるそうなんですよ。誘われました。」
片付けながら先生に報告した。

「大学オケ?どっちの?」
私は一度編入している。二つの出身大学がある。
「金沢のほう。」
「そっちか。ヴィオラで出るの?」
「まさか。」

以前はヴィオラ弾きだった。
今ヴィオラは持っていない。
実は今の楽団のヴィオラ首席とチェロ首席の間で
「弦六はヴィオラも2パートに分かれるのに人が足りない。夜さんをヴィオラにくれないか。」
というやりとりがあった。
Mさんがキッパリ
「夜さんはチェロのものです。」
と言ってくれたので良かった。

「チェロ担いで金沢かー。新幹線乗り継ぎだな。結構大変だよ。」
しょっちゅう演奏旅行している先生から楽器運びの苦労は聞かされている。
「ですよね…。」
その点、ヴィオラは運ぶのまだ楽なのだが(夜行バスでも抱えて行ける)。
「荷物は先に現地へ送って、当日は楽器だけ運ぶようにするといい。」
そうします。

「レッスンと定演にロビコン、上司の演奏依頼にOB演奏…お前、どう考えてもキャパオーバーだと思うんだけど。」
先生、指折り数えてそんなことを言う。
「OBは6曲全部弾くんじゃなく、入団年度で担当分けると思います。楽なのを選べるといいのですが。」
「弦はさぁ、木管金管と違って人数欲しいよ?
参加者少なければ、出ずっぱりになるよ?」
先生の言うとおりだ…実はそこは私も心配していた。
「もう少し詳しいことが分かったら、考えます…。」

OBで弾きたいというより、現地の同期生に会いたいのだ。
演奏会参加やめることになっても行ってみようかな、と思っている。





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