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1月チェロレッスン2回目:毎日楽しく過ごしたい。

「ごめん、モツレクのスコア、貸しっぱなしだったみたいで、家になかったんだよ。」

レッスン開始前に準備をしていたときに、先生にそう言われた。
前回のレッスンで、モーツァルトレクイエムのスコアを貸してほしいとお願いしていたのだった。

「貸しっぱなしって、ソレ、いつの話ですか?」
「うーん、T先生がモツレク乗ったときだから…ものすごく前だねぇ。」

借りっぱなしの犯人は、T先生(師匠の師匠)ですか!

「じゃあ、ブラームス弦六のスコアはありますか?」                                        
「あるよ。フルスコアだからデカいけどいい?…あ、コレもT先生に貸しっぱなしだったかも。」

コラー、T先生!弟子のものはオレのもの、ですか!?K先生にキチンと返しなさい!
…って、師匠をアテにする私もいかがなものか?

★★★★

引き続き、無伴奏5番プレリュードの序奏のレッスン。

先生の指示で序奏を一通り弾いた。
「うーん、17から20小節の音程とリズムがイマイチだな.」
17小節1拍目の重音の取り方がとても難しい上に、続く18小節目からのポジション移動が激しいのだ。
だから、5番は難しい。

音取りが難しいからテンポも狂う。

「2ポジションのFisが合ってないから、以降が狂うんだよ。正確に取れるようにしなさい。」

先生の演奏お手本に合わせて繰り返し同じフレーズを弾いた。
その後、もう一度最初から序奏を弾く。

「今日はコレくらいにしておこう。」
と先生。
「次回、序奏以降も譜読みしてきて。」

軽く驚いた。

「え?センセ、いいんですか?この間『序奏だけで何ヶ月もかかるかも』って言ってたじゃないですか。まだ3回しかレッスンしてないですよ。次に進んでいいんですか?」

先生、楽器床に置きながら「まあね。」と言う。
「そう思ったんだけど。割と出来ているよ。」

おお〜!マジか!

実はモツレクばかり練習していて、今日のレッスンのための練習はあまりしていなかった。
毎回モツレク練習前に2回ほどさらったくらいだ。

レッスン前に先生に「あまり練習しませんでした」と白状しようかとも思ったが、練習不足は言わずとも演奏すればわかることなので、言わずにいた。
なので、意外だった。

少しは上達したのだろうか?
練習方法は変えていない。変わったことといえば、オーケストラに入ったくらいだ。
オケに入っても技量の上達にはならない、と言われていたし、実際入ってみてそう思った。
技術を教え合う場ではないからだ。
ただ、オケのために練習時間は格段に増えた。トレーナーのM先生に教わる機会もある。
毎日音を出しているのがいいのかもしれない。

★★★★

「モツレクの練習はどうだ?」
珍しく先生からオケの練習の進捗具合を聞いてきた。先生はモツレクが好きなのだ。

「3曲目の“Dies irae”はセンセに沢山教わったので大丈夫になりました。実は9曲目の“Domine Jesu”のほうが難しいです。」

先生に楽譜を開いて見せる。
先生、うなずく。

「あー、気づいた?コレ結構厄介なんだよ。一つつまずくと落ちるでしょ。」

そのとおりです…(泣)。

「なのに、明日の練習会は私がトップに座ることになってるんです。トップお休みなんだそうで。
オケに入ったら、上手い先輩たちの後ろでもっとのんびり隠れるように弾けるかな、と思ってたんですけど、全然違いましたね…。」

「そのようだね。お前も大変だなぁ。」

「センセも大変な思いしたことがあるんですか?」

「もちろん。今も大変なことはあるよ。」

先生は飄々とやっているイメージがあるけどな。そうじゃない、という。ふーん…。

★★★★

2月のレッスン日について打ち合わせた。先生と私の予定がなかなか合わない。
「1日だけ、平日の晩に僕の家でのレッスンでいい?」
と先生。
「ああ、お互い仕事の後にってことですね。いいですよ。
ただ、19時くらいなら、夕飯付きだと嬉しいんですけど…。」

先生のご飯は懐かしくておいしい。

「何食べたいの?」
「オムライス。ケチャップのでなく、センセがウイーンで覚えたっていうビーフシチュー?のやつ。」
「ああ、グラーシュね。
それにしても、お前まだオムライスとかハンバーグとかナポリタンとかのお子様ランチメニューが好きなのか。」
「…好きですよ。いけないですか?」
「いけなくはないけど。変わってないなぁと思って。」
と言って、先生は笑う。

ダンナは
「お前は俺の精気を吸い取ってるから年を重ねたように見えないんだ。おかげで俺はどんどん年を取っているように見える。」
と言う。
私はどこかでストップしているそうだ。
確かにこの年にありがちな身体の衰えは全く感じない。

好きなことをして毎日楽しくしているからだと思う。

ただし、チェロは楽しいことばかりではないので、複数の趣味を持った方がいいように思う。
そうなると、1日が24時間じゃ足りないんだけどね。