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6月チェロレッスン2回目:ツキなのか?運命なのか?

今回はレッスンというよりは、話中心だった。
まず、2日前のチェロ試奏の話から始まる。

先生に「試奏どうだった?」と聞かれる。
「楽しかったー😆♪♪」
「教室の生徒は皆初心者だし、周りに楽器買い替えの人いないから、僕も久し振りにいろんなチェロ触れて楽しかったよ。」

私が帰った後、先生と工房のお兄さんとで、私が気に入ったモダンチェロの話をしたそう。
前回なかったモダンチェロ、しかも今市場にあまり出回っていないものが急に出て来たので、先生は不思議に思ったのだそうだ。
お兄さんは先生に真相を語った。


先月、夜がこんなチェロが欲しいんだけど、って言ってきたときに、オレの頭にピンと来たのが実はこの100年チェロだったの。

ホントのこと言うと、このチェロ少し前に買い付けてたの。
珍しいでしょ、フルサイズなのに若干小さいのって。そして、この音。かなりしっかりした造りだよ。

で、夜が今のチェロ大きい、指が届かないポジションがある、低音に迫力が欲しいって。ピッタリだと思ったの。

でもほら、大修理が必要でしょ。ちょっと億劫だったんだよね。

夜には試しに新作持ってってもらったけど、結局うんって言わなかった。欲しい音じゃないって。
新作って若い音するでしょ。それが違う、自分の音じゃないって言うんだから、たくさん新作並べても夜はうんって言わないよね。

それで、今回コレ出したの。
案の定気に入られちゃったね。

ちゃんと直したらもっと良いものになるはずだから、手元に置いておきたかったというのもあったんだけど。

このチェロ、小柄なのにパワーのあるトコロとか、出自がわからないっていうトコロも夜に似てると思わない?


と言ったそうだ。
そうだったのか。

「君には今より少しだけグレードの高い、手ごろな価格の楽器勧めようと思ってたんだけどねぇ。出会っちゃったもんは仕方ないね。こういうのは出会いだから。」
と先生。

修理終わってもう一度弾いてみて考えよう、ということになった。

「Kさんのことだから、きっともっと良い楽器に仕上げてくれると思うけどね。」
今度は先生、楽器職人Kさんの話を始めた。


あの人、商売人としては下手でね。
今なかなか楽器の市場が厳しいの、夜も知ってるよね。

この前、Kさんのとこに珍しくトルテの弓が入ったんだよ。1千万くらいするやつ。
ところがKさん、『作りが悪い』って突っ返したんだよ。トルテだよ。名前だけで高値が付くのに。ホントこだわり強くてね。造りと値段のバランスに納得いかないと、有名製作者のものでも買わないの。商売下手でしょ。

でも、それだけ目利きだってこと。
今回のチェロだって無名なのに仕入れたのは、Kさんに何かピンとくるものがあったんだよ。

僕のチェロだって、倉庫に眠ってた酷い状態の楽器だったのに、これ君にぴったりだよ、いい楽器探してたんでしょ、修理したら弾いてごらん、って。

裏板開けたら、酷い修理跡もあったらしいけれど(修理職人の名前ラベルがでかでかと貼ってあったそう。『酷い修理して名前残すなんて同じ職人として恥ずかしい!どんなにいい仕事しても、オレは絶対しない』と言っていたと…)それも全部直して。
直ったチェロはもう見違えるようでね。弾いてみたら、もうこれ僕のだって思ったよ。

値段?酷い状態だったから業者に100万くらい値引きしてもらったみたいだけど。150年ほど前の名のあるものだし、それでもかなり高くてねぇ…借金したよ。
でも、Kさんの手にかかったから、価値は今のほうがずいぶん上がってるはずだよ。


値段、はっきりとは教えてもらえなかったけど…ホント、弦楽器の世界って、値段が天井知らずだわ…😓😓😓💸💸💸

長くなったので、つづく。