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10月チェロレッスン1回目:もしかして間に合わない⁈

〈先週末の出来事です〉

職場からレッスンへ向かったので、また時間ギリギリ到着になってしまった。

先週のハグ事件(?)は、よくよく思い返してみれば、先生は昔っから悪気のないボディタッチが多かった。
ウィーンで音楽の勉強をしていた人だから、そちらの文化からなのだろう。

私のダンナはスキンシップが苦手な人である。
先生とはしばらく離れていたせいもあり、すっかり忘れていた。

そうは言っても、イヤなときはキチンとイヤと言おう。
うん、そうしよう。


レッスン室に入って楽器を準備していたところ、先生が私の左手のでっかい絆創膏に気がついた。

「ソレ、どうした!?」
「あー、これは…人差し指の付け根を切りました。」

1週間前の日曜日、夕飯後に皿を洗っていたところ、皿が割れて指を切ってしまった。

私は両ききなので、きき手が使えなくて困る、ということはない。
しかし、チェロは右手で弓を持ち、左手で弦をおさえるので、左手が特に大事である。
左手の怪我には注意していたのに…。

「止血して一旦出血が止まったので絆創膏を貼っていたのですが。
その後チェロ弾いていたらまた開いちゃって、指板血だらけにしてしまいました。
今度はなかなか止まらないから、そのまま職場行って、自分で縫いました。」

「自分で!?」

「部分麻酔するから痛くないですよ。2針だけだし、自分の手だから適当でいいです。くっつけばいいので。」

「弾けるの!?」

「もう大丈夫ですよ。怪我した次の日も弾いてましたから。この後抜糸しますし。」

というようなことを、もうちょっと詳しく話していたところ、先生に「夜、ストップ!」と言われた。

「そういうことを楽しそうに話すなよ。
お前は仕事だから慣れてるんだろうけど、聞いているコッチは気分が悪くなるよ。
だいたい“適当に”って何なの!?
そんな大ケガした後の数日くらいは安静にするものではないの!?
貧血だって、ちゃんと治したのか?
人を助ける仕事しているのに、お前は自分大事にしなさすぎ。」

しまった、またお説教モードに入ってしまった…。
医療専門家が音楽専門家に医療の基礎を説かれるとは…我ながら情けない。
10分くらい、くどくどと言われた。

私は体が丈夫で、病気らしい病気をしたことがない。親がこの世にいた幼少期に看病してもらった記憶もない(というか、覚えていない)。

「私が病気になろうが、けがをしようが、困るのは自身であって、ほかに困る人もいない」と無意識に思っていたと思う。
自分以外の誰かが私のことを心配する、という感覚が理解出来なかった。

そのようなことで、学生時代チェロ先生と暮らしていた頃、私が無茶をしたときに先生が叱った意味がわからず、しばらく戸惑った。

本当の意味で理解したのは、自分自身が子を持ってからだ。

「…わかりました。
貧血は薬で治します。今度切ったら同僚にきれいに縫ってもらいます。」

「もうケガはやめてもらいたいけどね。もしものときはキチンと手当てしなさい。」

はい…。


やっとレッスン。
発表会で弾くサラバンド、3回目。

テクニック的なものは前回教えてもらったので、それはできるようにしてきた。
しかし、それ以前の、根本的な問題に直面している。

"音程"

致命的すぎる😂

「弾けるのはわかった。楽器替えて2か月か。こう、音がビタっとハマらないなぁ。前回も言ったけど、全体的に高めなんだよ。
10年近く弾いて身に付いたクセを2か月で何とかしようというのが難しいんだと思うけどね。そうは言っても何とかならないものかなぁ...」

以前の楽器よりもネックが1cm短い分、以前より左手の指の幅を狭くする必要がある。その感覚がなかなか掴めない。

「スケールはパターンを変えて繰り返しやるようにはしてるのですが...あとはエチュードも。」

「うん、わかる。ちゃんとやってるのは。
この曲自体、音程にシビアなんだよ。コードが多いし、ポジション移動も激しい。」

「2ポジションが苦手です。2ポジ移動が入ると、以降の音程がズレやすいです。」

「ああ、2ポジね。僕も苦手。」

「ええ!?先生に苦手ってあるんですか?!」

「そりゃあるよ。そして、結構誰でも2ポジは苦手なものだよ。取りにくいの。」

でも、ぜんぜん苦手そうには見えない。

「本番までのレッスンは…あと2回か。最後の1回はリハーサル。夜は無伴奏だからピアノ合わせがない分、ほかの生徒より1回少ない。
うーん、間に合うかなぁ。」

あのぅ…先生がソレ言わないでください。
私が一番思っていることです。
先生の求めるレベルにまで持っていけるかどうか、かなりアヤシイです💧

「12月のオケの定演のほうはほかのメンバーに任せて、夜は発表会に専念しなさい。」

ああ、言われてしまった…中途半端な仕上がりでオケの本番に乗るのはイヤなのだけど。
このままじゃやむなし、だなぁ…。
どちらも頑張れる力量と時間がないのが悔しい。

本番まで、約2か月である。