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本物の作家の掘り出し方

「作家を掘る」とか、人を芋みたく言ってんじゃねぇ!
いやいやその言い方こそ芋をバカにしてんじゃねぇか?
…なぁんて、それぞれが自分こそ正しいと信じ込んで些細な比喩にもクレームつけられやすい嫌な風潮のある昨今ですが…
皆さんはいかに創作生活をお過ごしでしょうか?

僕は毎日漫画家さんたちとの打ち合わせとその準備に忙しく追われています。
本当にありがたいことです。
なんせまだどこの出版社からのどんな具体性の話なのかさえ発表していないのですから。
なのにレベルの高い作家さんたちが僕の仕事量の限界近くまでチャレンジしてくれている…なんて幸せなんだろう…この思い、疎かにしてはならぬ!…と、日々噛み締めています。
で、…ウチではどんな打ち合わせが日々行われているか?
今回はそんな話…

まずは描き出す前に徹底的に話しています。
雑談、好きな作品、趣味、幼少期の思い出、家族、人生、信念…
作家の中に眠る作家性…本音を掘り出すためです。
ほとんどの人は自分が何者なのかの自覚はありません。
誰しも自分の行いこそ普通の行動だったり正しい行動だと信じているからです。
だから作家性は自分自身では掘り出しにくいものなのです。

自分の思う正しいことが歪であることを知り、それでも尚その行いを続けようと思っていることに気づけたら、それは作家性の目覚めです。
それは食習慣や毎日の入浴の仕方のような小さなことから人生のテーマのような大きなことまであるわけですが…
自分の思っている偽りない思いを自覚することこそが作品を描く時の根幹となります。

それは社会正義をなぞったものであってはいけません。もちろん本気で現代の社会正義こそが素晴らしいのだと思えているならそれでもいいのですが、でしたら漫画で描く意味はあんまりないですよね。
作品になって映える思いは「皆はこう思っているけれど、僕はこう思っている」という部分だからです。
それが正しいことかどうかは関係ないんです。
思いを作品として吐露した時に世の中の方がその価値は決めてくれるもんなんです。そうした価値を問い直すことこそ作家性だと言ってもいいでしょう。

創作作品は世の中の動かしにくくなった古い価値を問い直す、人類最後の切り札みたいなものです。昔自分をいじめたあんにゃろーでも、宗教でも政治でも、融通の効かない決まり事でも、自分ほど強く愛するものを振ったあの人にでも、もう今言っても仕方ないことになってしまった辛く自分に当たり続けた両親や先生が相手でも…
時を超え、場所関係なく…問い直し、戦えるのです!
さらに創作は一人一人の人間にとっては、弱さや歪さを許容してくれる癒しでもあります。歪さが自分だけでないと知る救い、同じ怒りを持つ人がいることを知る安心感、マニアックな趣味の共有、同じ方向性の苦しみや悲しみの存在を知る喜び…
そんな創作と出会ったから…僕らを救ってくれたから…今、あなたは創ろうと思っているのではないですか?
あなたがやりたいことは実はそういうことではないですか?

そしてそれは本音で描いたからこその…共感あってのものなのです!

己を知り、あなた自身を描きましょうよ!



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