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カフェラテ星に願いを

古民家の2階にある物静かなカフェの窓際
最近はここの手作りケーキと器、そして心地よく響く店内BGMと一体化する瞬間がたまらなく好きだ

五感で空間ごと味わい
脳内飽きるまで1人での会話を楽しんでいる


先端まで続く真っ直ぐなフォークで
もぐもぐもぐ
もくもくもく
モンブランを食べながら
わたしは宇宙と繋がっていた


フォークの先端をじっと眺めながら
あなたの上と下はどっち?私はフォークのどっち側でこのモンブランをすくえば正しい?と疑問を投げかけた


どっちだっていいのよ
わたしには上も下もないの
どれを選んでも正解なの
あなたの人生はどう?



なんてフォークにアテレコして
勝手に味方につけてみたりして

胃と心が少し満たされてきたそのあとに
眼鏡をはずして外を眺めた

マスクを外すと空気が美味しく感じられるように眼鏡をはずすと見たいものだけが見えるような気がする

木の種類はよくわからないが
四方に伸びる枝が窓の外で
視界いっぱいにゆらゆらと揺れていた

無数のつぼみからはどんな花が咲くのだろう
芽吹くのって成長を感じられて良いなぁ

花粉は嫌いだが春は嫌いじゃない
虫は苦手だが春の陽の光は待ち遠しい
ほんの少し先のあたたかい希望に想いを馳せた

視線を落とすときめ細やな泡がたっぷり入った
あたたかいカフェラテが目に入った

カップをそっと持ち上げて顔の近くに寄せる
弾けてもはじけても無数に残って見える泡に
言葉を投げかけた

私もこの小さな泡の一つなんでしょう?


控えめに飛び込んでみた社会
馴染めなくて弾き出された
泡のように消えてなくなった自信と
見失った自分の存在価値
いつのまにか繋がれなくなったと
勝手に思い込んだわたしの世界


無数に残って見える泡は社会のそれに見えた

ため息を吐くとカップの泡が揺れて
一つの泡がはじけてまた小さな泡が誕生した


まるで小宇宙
夜空の星を見ているような感覚にとらわれた

ねぇ、もう1度繋がれると思う?
今度は自分を見失わず
楽しみたいんだ社会を
繋がりたいんだ世界と

どっちだっていいのよ
わたしには上も下もないの
どれを選んでも正解なの
あなたの人生もそう


泡が応えるより先に声が聞こえた

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