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ボードゲーム制作プロジェクトレポート#9:試作期編最終回

福岡のアフタースクールび場で行っていた、ボードゲーム制作の連続ワークショップ、先日最終回を迎えました。前回までの様子はこちらでご覧ください。

このワークショップでは、模倣期(ボードゲームをプレイして、ゲームの構造について学ぶ)と試作期(ボードゲーム制作のプロセスを経ながら試作を完成させる)に分けて行ってきました。

今回の報告はその最終回となる体験会の様子と、1つ前に行ったテストプレイの様子を中心にレポートします。今回は写真中心です。


1、体験会に向けて最後の追い込み

3月の下旬にアフタースクールにきている他の子どもたちや保護者の方に制作したボードゲームを体験してもらう会を設定しました。そこに向けて、最後の追い込みをしている様子です。

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び場の山里さんも含めて、積極的に意見が交わされました。体験してもらった後に、「感想」と「意見」をもらい、「意見」については、取り入れるかどうかをその場で吟味して、次のテストプレイに反映していきます。モノを作っていく、この感じがたまらなくいいです!

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こちらのゲームはリアルタイムで進行するゲームです。途中で手に入るアイテムが使える条件など細かい変更点を加えて何度かプレイをしていました。

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写真はまた別の子どものゲーム制作風景です。プレイヤーごとの能力で地形を入れ替えて行って、いち早くゴールに到達したプレイヤーが勝利になるゲームです。面白そう!

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こちらもテストプレイをしてもらいました。本人が思っていた=本人が面白いと考えていたポイントと、他の人がそう思うかどうかが違っていたという感想。どうやって改善していくか、山里さんと一緒に話し合います。

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各ゲームのテストプレイの前には、もちろん前回書いてもらったようなテストプレイシートを準備しました。チェックリストの項目も子どもならでは!

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こちらは、複数人のチームでゲームを制作しているグループです。「属性」を登場させるゲームなので、本から情報収集をしています。

先んじてゲーム制作を進めていた子どももいれば、初めてテストプレイをやってみて気づきを得た子ども、具体的な改善点をもらってどんどんよくなっていく子ども、それぞれですがなんとか体験会を前に「プレイする」というところまで到達できました。


2、体験会!その前に

日を改めて、いよいよ体験会の日です。子どもたちは、び場に着くとすぐに自分のゲームを遊んでもらえるように準備を始めます。

はやる気持ちを抑えつつ、体験会に向けて最後に子どもたちにしてもらいたいことを伝えます。それは、「プレイしてもらうためにゲームを伝えること」、つまりインストについて考えてもらうことです。

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子どもたちが自分たちのゲームをスムーズに説明できるようにインストシートを書いてもらう活動をまずは行ってもらいました。

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自分の作ったゲームがどんなゲームか(概要)、何人・何歳くらいの人がプレイできて、大体何分で終わるゲームなのか、どうやったら勝ちになるのか(勝利条件)、どのように遊ぶのか(進め方)などを書いてもらいます。子どもたちには今一度自分のゲームを客観的に見る時間になったのではないかと思います。


3、いざ、ゲームプレイ!

満を辞して、いよいよゲームプレイの時間です。2つのテーブルに分かれて子どもたちが考えたゲームを、テストプレイも含めて初めてゲームをプレイする子どもにやってもらいました。

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写真ではなかなか伝わりづらいと思いますが、本当に市販のボードゲームをしている時と同じように歓声が上がったり、悲鳴が上がったり、とってもいい風景でした。

ゲームを作った子どもが説明するときには、じっくりと説明を聞いて、わからないところは後から質問してプレイをしていました。プレイの後には、プレイした感想を作者にフィードバック!色々な感想を聞いて、子どもたちは嬉しそうでもあり、照れ臭そうでもありました。

とても素直で率直で、思いやりのあるやりとりがなされていました。


4、ゲーム制作プロジェクトワークショップを通した感想

最終回ということで、最後の最後に子どもたちに感想を聞きました。

「初めはできるかなと思ったけど」

「なんとかできてよかった」

「自分の好きなものが作れた」

子どもたちにとって大切な体験になったと実感できてよかったです。ワークショップを始める段階で子どもたちに「ゲームを作ることに対する自信・不安」を点数で表してもらったときには、多くの子どもたちは「10点」や「20点」と低かったのですが、今回同じ質問を尋ねたところ、「80点」「65点」中には「120点」と答えてくれた子どももいて、「何かを生み出すことに対する自信」=クリエイティブ・コンフィデンスを得てくれたと思います。

子どもたちの様子を見守ってくださっていた保護者の方からも、初めはワークショップ自体どのように展開していくか不安な中で子どもたちが楽しそうに参加し、作るという体験をしたことに対してとても良い体験をしたということ意見をいただきました。

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5、ボードゲーム制作プロジェクトワークショップ総括

全部で十数回に渡ってボードゲーム制作プロジェクトのワークショップを実施してきました。

初めからずっと参加し続けてくれた子どももいれば、途中で離脱してしまった子どももいます。それでも、最終的には子どもたちが自分たちのオリジナルのボードゲームを制作し、それを形にしたということには大きな価値があったと思います。

正直、ワークショップを始めた時点では、模倣期にすることこそ決まっていたものの、試作期の進め方は決まっていませんでしたし、子どもたちの様子をみながら、一緒にワークショップのパッケージングを作ってきたかなと思います。

僕にとっても、自分がボードゲームを作る、その作り方を振り返る機会にもなりましたし、誰かが「ボードゲームを作る」のをサポートするという新しい体験をすることになりました。

その中で、途中にも書きましたが、このワークショップの大きな狙いの1つである「作ることに対する自信」を子どもたちがつけていってくれたのは大きな収穫です。これは決して数値で表現できるものではありませんし、これからの子どもたちの日常の様子において初めて表現されるものでもあると思います。

とはいえ、「ボードゲームを作って学ぶ」という方法論の1つの事例として、本プロジェクトを終結まで進めてこられて本当によかったです。ここまでレポートを追いかけて、読んできてくださった方ありがとうございました。

2020年度のこのプロジェクト自体は一旦終結ということになりますが、2021年度にはまたグレードアップして実施していく予定です。また、その様子を報告できる時を楽しみにしています。


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