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干しエビ作りと海鮮ラーメン

 スーパーでパナメイエビが安くで売っていた。もちろん解凍品だが、なかなかに太くて美味しそうだ。眺めているうちに、「昔」に溶けていく。

私は小さな湾のある街で育った。その小ささは「湖」に例えられるほど。校歌に登場する時も湾ではなく湖だった。小さな湾には小さな漁村があった。そこから手振り棒を担いで、漁師の奥さんが丘の上にある我が家にも売りにきた。

 祖母は目利きで、漁師の奥さんたちにも一目置かれていた。祖母とのやりとりを聞きながら朝ごはんを食べるのは楽しかった。夜の食卓に並ぶお魚を想像したりもした。

車海老は私の記憶では、真夏に獲れていたと思う。車海老と言っても、「サイマキ」と言われる大きさ。漁師さんは、大きくて立派なのは得意先の料亭とかに出していたのかもしれない。

手振り棒を担いだおばちゃんが、「今日は車海老のありますと。」と言って、祖母に見せる。キラキラの輝きながらゆっくり触覚を動かすエビが盆ざるに盛られている。
「この丘にたどり着くまでに並ぶなん軒もの家には売らずに、お宅まで持ってきたのだ。」とおばちゃんの目は言っている。

祖母が海老を見る。祖母の目は黒目が多く鼻は小さくて低かった。目と目の間は平らで、そこに目と目を結ぶように皺があり、人の良さと人を見抜くような目の光を合わせ持っていた。
「よかでしょう。買いましょう。」
商談は成立する。
海老は夏の間にいろいろな料理となって膳に並んだ。

中でも干し海老は特別だ。刺身でもいける新鮮な海老を干すのだ。
真夏のジリジリとした太陽に干されて海老は旨味が凝縮する。

パナメイエビで試さずにはおれなくなった。鮮度はない。酒で補うことにしよう。いろいろ想像していたらできそうな気がしてきた。
小さい方のパックを買って作ってみた。それが、上の写真。

3日干したが、1日目のセミドライ?の時に1尾かじってみた。美味しい、お酒のつまみだ。
3日目となると、すっかり干しエビ様の風情だ。乾燥した気候も良かった。

昆布出汁が残っていたので干しエビを1尾投入してみた。海老の出汁がしっかり出ている。
おつまみに買ったソフトベビーホタテも入れて棒ラーメンの麺だけ使って海鮮ラーメンにしてみた。

殻からもいい出汁が出るしなあと思って煮出したら、殻を剥くタイミングを逸した

中華おこわも美味しそう。まだ12尾もある!楽しみ。

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