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物語のタネ その壱『お留守番ヒーロー #10』

俺の名前は、滝沢さとし。
表の顔は、高齢者向け介護士だけど、もう一つの顔は

「お留守番ヒーロー」

ヒーローの留守を預かり、出現した怪獣、怪人をもてなすのが俺の役目。
今回は、再びライダーさん関係の怪人さん「仮面ライダーストロンガー」さんのライバル

「百目タイタン」さんです。

ストロンガーさん。
ご存知の方も多いかと思いますが、電気が特徴のライダーさん。
ということで、最近EV関係の啓蒙イベントで大忙しなんです。
あのテスラ・モーターズとも何かプロジェクトを始められたという噂もあります。
さて、そんな大忙しのストロンガーさんの為、百目タイタンさんが現れた時もEV先進国・スウェーデンに出張中で。。。

百「あれ?ストロンガーいないの?」
お「はい、申し訳ございません、今日はちょっと出張中でして」
百「えー、そうなの?んで、キミ誰?」
お「申し遅れまして、私、ヒーローの留守を預かるお留守番ヒーローと申しまして、本日は私がお相手をさせて頂ければと」
百「えー、何それ?キミ、私が誰なのかわかってる?」
お「はい、ブラックサタンの大幹部の百目タイタン様です」
百「そうよ、ブラックサタンの大・幹・部の百目タイタンよ。百歩譲ってストロンガーは仕事で仕方が無いとして、その代わりに、こんな若造に私がお相手をと言われてもね。おいそれと、はいはいとは言えないよ」
お「もう、百目タイタン様のお気持ちとしてみたら、その通りだと重々承知しております。ただ、逆に私としてみたら、こんな素晴らしい機会は無いなと。百目タイタン様に直にお話をして頂けるチャンスなんて、もう貴重な、もう幸せだなと思っております」
百「あ、そう。まあ、しょうがないか」
お「ありがとうございます!」
(百目タイタン、何かゴソゴソとやっている)
お「あの、百目タイタン様。何を?」
百「え⁈ああ、あのちょっと罠をね、片していたの」
お「罠?」
百「そう。ストロンガーに仕掛けてやろうと思って」
お「さすが、すね。百目タイタン様と言えば“罠“ですものね」
百「あれ?そんなに有名?」
お「勿論ですよ。百目タイタン様と言えば“罠“。そして“人質“!」
百「おー、わかってるねー」
お「はい、ライダー史上卑劣幹部ランキング1位は、百目タイタン様か?ヨロイ元帥様か?って、もうライダー怪人の裏マニアの間では人気を二分する存在ですよ」
百「ちょちょちょ、裏人気は嬉しいんだけどさ、そのヨロイ元帥、彼とは一緒にしないで欲しいんだよな」
お「え、何か、それは?」
百「私の卑劣はさ、あくまでブラックサタンの為のものでさ。ブラックサタンの為なら手段を選ばずっていう姿勢?その結果、卑劣とか言われているだけで。そういう意味では、卑劣上等!それは逆に私の忠誠心の賜物!っていう思いなわけよ、私はね」
お「いや、はい、仰る通りだと思います」
百「だけどさあ、ヨロイの場合はあれはダメよ。あれは、自分のことばっか考えてるから」
お「そうなんですか?」
百「卑劣もね、ただの卑劣じゃダメよ。崇高な目的の為の卑劣、純粋な忠誠心の為の卑劣、清らかな思いの為の卑劣というね。そのパラドックスが無いとね。そのパラドックスがもたらす美的卑劣、ヨロイにはそれが無いんだよ」
お「となると、百目タイタン様が、常に人質をとって、かつその人質をなぶるのも」
百「もちろん、美的卑劣」
お「部下に断りもなく、一緒にロケットランチャーで吹き飛ばしてしまうのも」
百「そう、美的卑劣」
お「ストロンガーに、最後和解の握手と見せかけてマグマに引きづり込もうとしたのも」
百「まさに美的卑劣」
お「徹底されていますね」
百「そうよ」
お「ただの冷徹な卑劣幹部ではなかったんですね」
百「キミ、失礼だな、それ」
お「も、申し訳ございません!考えてみたら、百目タイタン様は体温を最高720万度まで上げられるんですと。実は熱い男だったんですね」
百「体の中、マグマだからね」
お「そう言えば、その目の玉も取り外して、ファイヤーボールとして投げつけていました。でも、目を外すと視野が狭まって危ないのではないですか?」
百「あ、これ、本当の目は一つ目タイタン時代から、この真ん中のでかいやつだけだから。あとは義眼、イミテーションというかファッション」
お「ファッション?」
百「そう。復活改造の時に、よりインパクト出していかないとな、見た目も武器もってことで一石二鳥のアイデアだったのよ。結構イケてるだろ?」
お「はい、不気味さ、かなりアップしました」
百「ふふ、嬉しいね」
お「先程は、失礼ながらヨロイ元帥様のお名前を出してしまいましたが、あのジェネラルシャドウ様は、、、」
百「えー、なんでその名前出すの?折角いい気分だったのにさ。空気読めないねー、キミ」
お「あ、申し訳ございません!ふと浮かんでしまったもので」
百「ふと、浮かんだとしてもさ、口に出す前にちょっと考えないと状況とか流れとか、特に相手の気持ちをね。まったく。。。」
お「大変申し訳ございません」
百「とにかくさ、シャドウはダメよ。あんな綺麗事ばっかり言う奴は。お前は、悪なんだからさ、と。カッコつけたいならヒーローサイドに行けよ、と。悪なら悪の美学を追求しないと。ああいう中途半端な奴、私大嫌いなんだよ」
百「はい、、、」
お「目的の為なら手段を選ばず。卑劣上等、卑劣万歳、卑劣が勲章!そういうスタンスじゃないと、悪は。キミも、わかった?」


いやはや、地雷を踏んでしまいました。
あのあと2時間ほどお説教が続きまして。。。

ただ「悪としての美学」と言うものを明確にお持ちなところは、ストロンガーさんが敵ながら天晴れと認めていた理由がわかるな、と思いました。
ただ、私、一応ヒーローなもので、中々「卑劣の美学」は受け入れるわけには、、、。
次は、ストロンガーさん、必ずいて下さい!



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