見出し画像

アラブ首長国連邦でのECビジネスの始め方、必須ツール

起業経験から語る、Eコマース構築について記します。


ウェブサイト構築

Eコマース構築には、Shopifyを利用しました。Shopify サイト構築は、Fiverr(ファイバー)を利用し、好みのデザインのポートフォリオが多い方にお願いしました。

Fiverr は相手に高評価を付けなければいけない雰囲気があり、それをFiverr 運営も分かっているのか、公開評価後、Fiverrからメールが届き、実際の成果物を秘密に評価することができます。一度お気に入りの方を見つけることができれば、リピートでお願いすることができます。

※ウェブサイト作成までは、国外サービス 兼 サイト作成のみのため、UAE のトレードライセンスがなくて作成を進めて問題ありません。サービス名やブランド名は最初に必要ですが、その間に会社名は以下の方法で調査を行います。
UAEには一つとして同じ会社名がありません。また使用可否の確認のため、Business Name検索や予約することで決めておくことも一手です。自分で行うのが不安な方はフリーゾーンやDEDに直接問い合わせることで回答を得ることも可能です。

Payment Gateway ペイメントゲイトウェイ

ウェブサイト完成後、決済処理会社をサイトに紐づける必要があります。日本では、ペイメントまでシームレスに用意された、BASE や STORES といったサービスの他に、Shopifyでは、Shopify ペイメントが使用できる対象国になっていますが、UAEはリストには入っていませんでした。国際的にサービスを提供している Stripe は最初に導入したサービスで、ライセンスやID情報などをアップロードして短期間に簡単に利用開始することが出来ました。

当時、1パーセントの手数料の差が数万円になる高額商品を扱っていたこともあり、他に一社、手数料が低い UAEの決済処理サービスプロバイダー Telr (テラー)と契約をしました。 月額手数料が掛かりますが、UAE で利用可能な他社サービスよりわずかに手数料が低く設定されています。
Telr は決済ツールを提供する会社で単体では使うことが出来ず、Telr を通じて銀行と契約をします。利用銀行ごとに手数料が変動しますが、当時は FAB (First Abu Dhabi Bank)と、Mashreq Bank の選択肢があり、FABを選択しました。FABは アブダビロイヤルも利用する UAE最大手銀行です。Telr を通じて FABMagnati へ申し込みし、プロセス促進のため Telr からもプッシュしてもらいましたが、許可後(マーチャントID発行)、利用開始可能になり、実際に最初の取引をテスト決済して出金の処理をしてみたところ、数か月掛かりました。。その間も、Telr の月額利用料が発生するため不満はありました。他の決済サービスを利用しながら、気長に待てる場合は利用するのも一手です。

最後に PayTabsは、個人的には利用していませんが決済サービスプロバイダーとしてよく聞かれるようになりましたので言及しておきます。

BNPL サービス (後払い決済)

後払い・分割決済をオプションに追加することで顧客により便利なサービスを提供することが出来ます。Buy Now Pay Later サービスは、手数料は販売業者が負担します。

Eコマースに適した法人銀行口座、スタートアップに優しいUAEの銀行リスト

  • ADCB (Abu Dhabi Commercial Bank)

  • Emirates NBD

  • Commercial Bank of Dubai

  • RAK Bank

  • Emirates Development Bank

  • Dubai Islamic Bank

  • Wio Bank → スタートアップ SME 特化、持っていて損はない法人口座

  • Mashreq Neo

Global Neo Banks グローバル ネオバンク

世界中に購入者や顧客が点在し、USDでの取引が好ましい場合、以下の米・フィンテック企業も検討に値します。

IDnow Middle East 2022 の調査では、UAEの回答者10人中9人が、現地の銀行口座を開設するのに時間がかかりすぎると考えていること、UAEの非銀行口座保有者の約86%は、申請を開始したものの、手続きが面倒すぎるため断念したと答えています。

2017年にサンフランシスコで設立されたマーキュリーは、米国の提携銀行である Choice Financial Group と Evolve Bank & Trust を通じて、スタートアップ企業が銀行サービスにアクセスできるよう支援しています。UAE、英領バージン諸島、ケイマン諸島を含む新しい法人からの銀行口座開設の申し込みを受け付けています。

また UAEを拠点とする投資家の支援を受ける、中小企業や新興企業向けの米国のデジタル専用銀行である Truly Financial の新規顧客口座は20パーセント増加し、SVBの顧客からの預金が40パーセント増加したと報じています。

どの銀行で口座を開設するかを決める際に考慮すべき要素

  • 必要な最低残高はいくらですか?

  • どのような場合に手数料や罰金を支払う必要がありますか?

  • 銀行はどのようなオンライン機能を提供していますか?

  • 銀行はどのような法人カード機能を提供していますか?

  • 毎月何回引き出しできますか?

  • 新しい小切手帳やデビットカード、ATM カードにはどのような手数料がかかりますか?

  • 海外に送金する必要がありますか? その場合、送金先はどこですか? 対象国への送金にはどのくらいの時間がかかりますか?

  • 潜在的な顧客や競合他社はこれらの銀行を利用していますか?

  • どのような場合に銀行は口座を凍結できますか?

マーケティング方法

文化的配慮、ローカライゼーション

  • ローカライズされたコンテンツ: UAEではアラビア語と英語が公用語になっており、道路標識や広告、カスタマーサポートなど多くの場面で二つの言語が使用されています。ドバイに輸入される商品の再輸出率の高さを考量すれば(半分は湾岸諸国内)中東全体を顧客と捉え、両方の言語でメッセージを伝えることが重要です。また、UAEの文化や宗教的価値観に合った内容にすることで、信頼感を築くことができます。

  • ビジュアルの選定: UAEではトレンドをとらえたデザイン、洗練されたデザインやビジュアルやポップなデザインが好まれています。純日本風の商品やアイデアをお持ちの方は、日本好きな特定の顧客にしか受け入れられない可能性があり、要再考・要注意です。また地域の伝統や慣習を尊重したビジュアルやデザインのミックスアップも有効です。

デジタルマーケティング

UAEで人気のソーシャルメディアランキングは以下の通りです。
Digital 2023 Global Overview Report

  1. Whatsapp - 79.6%

  2. Facebook - 78.7%

  3. Instagram - 73.4%

  4. TikTok - 67.4%

  5. FB Messenger - 63.2%

  6. Twitter - 55.0%

  7. LinkedIn - 48.1%

  8. Telegram - 44.5%

  9. Snapchat - 41.2%

  10. Pinterest - 31.9%

  11. Skype - 24.9%

  12. iMessage - 19.8%

  13. Reddit - 14.9%

  14. WeChat - 12.7%

  15. Viber - 12.3 %

UAEの企業は複数のチャネルを利用しています。最近小規模店舗で頻繁に見かけるのはTiktokライブやInstagramライブでのライブコマースです。ソーシャルメディアからのWhatsApp連携も必須です。

1回のデジタルキャンペーンに1万ドル以上の予算がある場合は、Oracle Bluekaiを利用したマーケティングが出来るBoopin社をお薦めします。属性を絞った効果的なデジタルキャンペーンツールを利用することが可能です。

インフルエンサーマーケティング

湾岸諸国ではインフルエンサーの起用は他地域より高額であると言われています。インスタグラムで、100万フォロワーの方に1投稿お願いするとしたらいくらと伺ったら、55000 AED と回答がありました。別の、インスタグラムフォロワー55万人程の有名インフルエンサーも自信たっぷりで 60000 AED と回答がありました。また湾岸諸国全体で活躍するインフルエンサーも少なくありません。マイクロインフルエンサーを多数起用したい場合はインフルエンサーマーケティング会社を起用すると良いでしょう。

イベントマーケティング

UAEでは、真夏とラマダンを除き、年間を通して沢山のイベントが行われています、湾岸諸国・アラブ諸国からの来場が期待できます。代表例として、食品は Gulfood、化粧品は BeautyWorld Middle East、子供用品は Baby Expo 旅行関連は Arabian Travel Market、建設関係はBig 5 などが挙げられます。


ロイヤリティプログラム

日本のポイ活のように活発なロイヤリティプログラムはありません。一部の大手リテーラーがポイントを提供しているに留まっています。例としてMajid Al Futtaim の Share Rewards, Blue Rewardsなどです。ポイントに代わるものとして、即座に割引や特典が受けられるクーポンコードの発行が頻繁に行われています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?