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アラブ首長国連邦 B2B 決済慣行のトレンド、売掛金の回収は100日かかる

金満都市ドバイ(きらめきドバイでしたっけ)だけではない、事実と数字に基づいたNoteを目指して…アラブ首長国連邦(UAE)の企業が直面している財務上の課題についてピックアップします。

2023年の Atradius Payment Practices Barometer Survey for the United Arab Emirates(アトラディウス社によるUAEの決済慣行バロメーター調査)によると、B2B(企業間取引)の 売掛金請求書の 33%が期日通りに支払われ、56%が遅延、11%が不良債権であることが明らかになりました。
* 調査は2023年第2四半期末から第3四半期初めにかけて行われたものです。


UAEの決済慣行レポート2023 要点

  1. 信用販売の割合: UAE企業のB2Bセールスの49%が信用取引で行われており、特に輸送セクターで顕著です。これはUAEの戦略的な地理的特性によるものと考えられます。

  2. 支払条件の緩和: 過去12ヶ月で支払条件が平均69日に延長され、昨年より10日長くなりました。

  3. B2Bトレード信用リスクの上昇:企業はキャッシュフローの課題に直面しています。特に化学および輸送部門で、代金回収に90日以上かかる企業が75%増加、企業の平均売掛金回収日数(Average Days-Sales-Outstanding=DSO)は現在100日を超えています。

  4. 不良債権の増加: 回収不能な不良債権の割合が8%から11%に増加し、企業の利益に大きな脅威をもたらしています。

  5. 支払い遅延: 調査対象企業の75%が90日以上の支払い遅延を報告しており、特に化学・輸送セクターで顕著です。これにより、企業はキャッシュフロー不足を緩和するための対策を講じています。

  6. 企業の資金調達方法: 調査対象企業の主要な資金調達方法は、55%が銀行ローン、38%が信用取引(掛け取引)、37%が株式資本(株式発行による資金調達)、26%が発行された債務証券(債務証券(例: 社債)を発行して資金調達)を利用しています。

企業の対応策

  • 内部リスク管理: 調査対象企業の78%が顧客の信用リスクを社内で管理する方法を選んでおり、特に輸送セクターでこの傾向が強い。

  • ファクタリングの利用: ファクタリングを利用してキャッシュフローを最適化する企業も多く見られます。ファクタリング(factoring)は、企業が未収の売掛金(受取手形や売掛金など)をファクタリング会社に売却し、即座に現金を手に入れる手法です。これは、特にキャッシュフローの改善や資金繰りのために利用されます。

  • 信用保険の活用: 化学セクターでは、信用保険会社と保険契約を結び、リスク緩和ツールとして利用する企業が増えています。

将来見通し

  • 楽観的な展望: 世界経済の見通しに対する不確実性があるにもかかわらず、調査対象企業の82%が製品やサービスの需要増加を見込んでおり、特に輸送セクターで強い楽観的な見方がされています。

  • 利益率の向上: 68%が今後数ヶ月で利益率の改善を期待していると述べている一方で、農食品セクターでは価格の変動、供給チェーンの問題、規制の要求などの潜在的な課題により、より否定的な見方が強い。

  • 支払い行動の改善: 今後12か月で59%の企業がB2B顧客の支払い行動の改善を予想、22%が変化なし、19%が悪化すると回答しています。


日本と比べていかがでしたか?
時々日本の企業のサイトで中東への輸出はお断りと書いているのを見かけるのはこのせいでしょうか?(^^;)


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