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春の気配とサンセール

サンセール。ワインを学んでなかったらこの名前を知ることはきっとなかった。フランス・ロワール川上流に位置する、ソーヴィニヨン・ブランで知られる産地。ロワール地方を学んだ時は、1000㎞にわたるロワール川の流域をまず4つに区切ることから始まった。白地図を汚していくように、それぞれの地域の特徴を書き込んでいく。時折見返しては忘れてしまっていないか確認する(けっこう忘れている)。そんなふうに「サンセール」はワインエキスパート受験の思い出とリンクしている。フランスのワインはボルドーとブルゴーニュしか認識しておらず、シャンパーニュの定義も知らず、スパークリングワイン=シャンパン、と思い込んでいた頃もあったわけで。

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あの頃は頑張ったな~~。せっかく覚えたことを忘れないように飲まなきゃ(笑)それにしてもここに書き殴ったAOC、まだ全然飲めていないけれどいつか制覇してみたい。

そんなサンセールを開けることにする。どんな料理に合わせようかと考えると、つい机上で学んだことに引っ張られてしまいがちになる。魚介料理やシェーブルチーズは鉄板だけど、まさかのシェーブルチーズを買い忘れた。イオンのチーズ売り場まで行ったのに……。仕方ないので個人的にめちゃくちゃ推しているこの食材を使うことにした。

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葉玉ねぎ。これがもう本当に好きで、玉ねぎやキャベツ並みに「切らさない野菜」になっている。これをざくざくと粗く切って油揚げと一緒にめんつゆ(昆布つゆ)でさっと煮浸しにする。別の記事でも書いた気がするけれど、しっかりした酸をもつ白ワインにこれがとても合う。加熱したねぎの甘みと、ほんのり残る青み、油揚げのコクと昆布つゆのやさしい旨み。もちろんご飯のおかずとしても申し分ないが、酸とミネラル感が豊かな白ワインには必ずといっていいほど合わせている。

それと真鯛のカルパッチョ。レモンをたっぷり絞ると、ソーヴィニヨン・ブランのもつ柑橘系の香りとよく溶け合ってくれる。最近は養殖の真鯛がかなり安く豊富に出回っていて、真鯛を使った料理を安価に楽しむにはちょうど良い。個人的にはこの真鯛はお刺身よりもお吸い物や鯛茶漬けのようにさっと火を通したほうが好きかも知れない。

サンセールを口にしたのは久しぶりだったけれど、フレッシュな酸と果実味、ほんのりとフローラルなニュアンスがあってエレガントさを感じた。シェーブルチーズを買い忘れたのは残念だったけど、葉玉ねぎさんがまたいい仕事をしてくれた気がする。酸のしっかりした白ワインを飲む時、我が家では欠かせない一品。

2月の終わり、春の気配が聞こえる頃の家飲み。春の気配といえば聞こえはいいけれど、ちょうど花粉の大量飛散が始まった頃なので、お酒を飲む日は症状がひどく出ないことを願う日々。


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