見出し画像

好き嫌いあれこれ

年齢を重ねると好き嫌いが減る、とよく耳にする。大人の味がわかるようになる、といえば聞こえは良いけれど前にテレビか何かで「味覚が加齢により鈍くなるから」と見聞きしてしまってからは少々複雑な気分になる。本当かどうかは知らんけど。

子供の頃はそこそこ好き嫌いは多かった気はする。今でこそ野菜がないと生きていけない身体になってしまったが、好んで野菜を食べるようになったのは10代くらいからだったかも知れない。これは母が料理好きだったのと同時に、学校給食のおかげで食の引き出しが増えていったのだろうと思う。成人する頃には所謂「嫌いな食べ物(頑張れば食べられる、ではなくどうしても駄目なレベル)」は4つだけになり、自分で勝手に「四天王」と呼んでいた。

その「四天王」は納豆、梅干し、ラッキョウ、セロリ。これらは一生無理だと思っていたけれど、年齢と共に四天王から「ツートップ」に変わっていった。つまり4つのうち2つを克服したことになる。まずはセロリ。SMAPの「セロリ」という曲が流行っていた頃「セロリが好きだったりするよね」という歌詞に共感できなかったので少なくともそれ以降に克服したことになるが、どういうわけか今では大好物になってしまった。何がきっかけだったか不明だが、よくランチセットで出てくるサラダにスライスされて入っているセロリに後で気付いて「あれ、食べれるかも」と思ったことはあった。ともあれ今では大好物になり、特にマリネはしょっちゅう作っている。

次に「梅干し」。身体にいいとは聞いていたので食べられたらいいとは常々思っていたけれど、こちらはつい最近までダメだった。面白いことに、駅弁とか崎陽軒のシウマイ弁当の梅干しの周りのご飯を、おっかなびっくり食べるのが好きだったのは今でも謎。たまに梅おにぎりを買ったり、出されたら食べる程度なのでものすごく好き、というわけでもないけれど、これでも親兄弟が見たら驚くと思う。本当に苦手でどうしようもなかったので。

さて残りは2つ。これは無理だろうなと思う。偏食するわけでなし、これくらいの好き嫌いは許されたい。ある時、納豆を食べなければだめだと説教してきたり、どうすれば食べられるようになるか考えてくれたりした人もいたが押しつけはご勘弁願いたい。とりあえず夫も納豆嫌いなので食卓バトルは起きずに済んでいる(納豆消費量トップ県出身同士なのにね)。

好き嫌いというのとはちょっと違うかもしれないけれど、ある特定の形態だと食べられない、というものがある。私の場合は「チューブに入った食べ物」。出来ればマヨネーズは瓶入りを選びたいし、わさびやからしは粉末を使用し、しょうがやにんにくは都度すりおろしている。面倒だけど、チューブから出てくるのを見るのがどうも苦手なのだ。ちなみに歯磨きチューブは全く嫌悪感なく喜んで使っている位なので、チューブから出てくる物体がどうしても歯磨きを連想してしまい、食べ物と認識されないのかもしれない。とはいえ使う機会もゼロではないので、にゅるっと出てくるところから目をそらして、食材に混ぜてしまう。これなら平気という、自分でも面倒くさい「癖(ヘキ)」に少々困っている。

いわゆる「珍味」とか「クセのある食べ物」についてはまあまあ平気な方だとは思う。例えばシュールストレミングとか韓国のホンオフェなどは食べたことがないので省いておくが「くさや」は喜んでいただく。ブルーチーズも若い頃は苦手だったが今は平気。シェーブルなど山羊のチーズも初めは受け入れられなかったけれど、ワインと合わせていくうちに逆にクセになってしまった。パクチーは以前書いた通り大好物。香味野菜も大歓迎。大学の頃に通ったホルモン焼き屋ではそりゃもういろんな部位を口にした。今はレバ刺しも食べられない時代になったが、あの頃食べた、塩とごま油、青唐辛子を添えたぷるぷるの生レバーが懐かしい。

コロナが終息して安心して旅行に行けるようになったら、沖縄に行って「山羊汁」を食べようと夫と話している。夫は好きらしいが私は未経験。こちらも好き嫌いが分かれる料理らしく、山羊チーズに慣れるまで時間のかかった私、果たして大丈夫かどうか。その日が待たれる。

読んでいただきありがとうございます。いただいたサポートは記事を書くための燃料とさせていただきます。