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キアンティ・クラシコ・グラン・セレッツィオーネのスモーキーさに酔う

このところ飲酒頻度が極端に減っていて、最後にアルコールを口にしたのは2週間前。古い友人は私がかなりの飲兵衛で毎日酔っ払っていると思っている節があるので、実は週一しか飲まないと言っても信じてもらえないだろう。そりゃ20代の頃なんて酒に浸かってたようなもんだけど、もう体調に影響を及ぼさない程度しか飲まなくなってる。量より質。コンディションの良い時に美味しいものを楽しみたい、それだけ。

というわけでこちら、少し前に開けた「キアンティ・クラシコ・グラン・セレッツィオーネ」。ちょっと舌を噛みそう。キアンティ・クラシコなら多少馴染みはあってもグラン・セレッツィオーネとは何ぞや。

キアンティ・クラシコの上位格付けで、2013年に制定、2014年リリースから適用された新しいDOCG。自社畑の最高のブドウを使用し、熟成期間は最低30ヶ月(うち瓶内熟成3ヶ月以上)、アルコール分13%以上、その他官能検査にクリアする必要があるなど、非常に厳しい基準となっている。

つまりキアンティ・クラシコの最高峰というもの。普段あまりキアンティ系は飲む機会がないが、せっかくなので開けてみようということになった。ヴィンテージは2016。これだけ熟成期間があるということはまあまあ重めの食事を合わせた方が良さそう。

本当はビーフシチューとか赤身のステーキを合わせた方が良いのだろうがそこまで重いものは食べたくないので、ひそかにリスペクトしている料理研究家リュウジさんのレシピ「豚肉のビール煮」を作ることにした。豚ロースかたまり肉をざっくり切って焼き目を付けて、たっぷりの玉ねぎスライスを炒め、コンソメ、缶ビール1本と一緒に1時間ほど煮込むだけ。これが簡単で美味しいうえにワイン泥棒という、我が家のお気に入りメニューのひとつ。

さて、ワインを抜栓してみよう。その前に我が家のグラス事情を。

スクールの教材として入手したリーデルグラスが4種(ソーヴィニヨンブラン、樽熟成シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨンにそれぞれ適したもの)×2セットがあり、それらはここぞという時に使う。他には国際規格テイスティンググラス。泡はそれ用のフルートグラスで飲むわけだが、リーデルグラスは洗うのに気を遣うので滅多に使っていない。余程気に入ったワインを開けるのでなければテイスティンググラスで飲んでいる。ちなみに飲んだ後はその日のうちに洗わない。軽くゆすいで水だけ張って、おく。洗わないと気持ちが悪いのは承知だが、多分もれなく割るので……

テイスティンググラスに注ぐと、黒にも近い深いガーネット色。香りを取るとカシスジャムのような熟した黒果実香。それに重ねて樽、というより木や落ち葉を焦がしたようなスモーク香が際立った。葉巻に例えるのが一番しっくりくるかな。葉巻吸ったことないけど。

煮込んだ豚肉との相性とも悪くなかった。本当は牛肉とかデミグラス系の方が合ったんだろうけど。とにかくスモーキーさに酔う1本、という印象。少し重たいのかと思いきや、口当たりは意外にさらっとしている。普段なかなか手が出ないタイプのワイン、とても勉強になる。



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