ゲームで学び、ゲームを学ぶ(14)-「3対3」のゲーム③ディフェンスの課題1
前回から引き続き、今回も「3対3」のゲームについて、ここからはディフェンス側として得られるものについて、説明していきます。
はじめに
前回の記事では、オフェンス側は攻撃参加の「選択肢」を出来る限り確保することを前提に、特に1本目で、意図的な攻撃のための十分な時間を確保することの重要性を述べてきました。一方で、ディフェンス側としては、相手の攻撃参加の「準備」を不十分にし、「選択肢」を減らすことが基本的な課題の1つになります。そのためには攻撃する側の1本目にどれだけ負荷をかけられるかが大切です。
そこで今回は「3対3」のゲームにおけるディフェンスの課題をサーブに焦点を当てて具体的な例を挙げていきます。オフェンス側の攻撃参加の「準備」を不十分にすることと「選択肢」を減らすことを念頭におくと、意図が見えてきます。
相手の攻撃参加の「準備」を不十分にし、「選択肢」を減らすには? 問1
図1はA選手とB選手が矢印の方向に攻撃参加したいと仮定した場合です。守備力は同程度、攻撃力はA選手の方が高いのでA選手に出来るだけ良い状態で攻撃されたくないという設定です。さて、どのような返球(サーブ)が効果的でしょうか。
仕掛け1 A選手に対してネットスレスレの軌道でエンドラインを狙う
A選手がオーバーハンドレセプションで対応するももの、1本目の返球が低くなり、攻撃参加が遅れるようにさせたい。もしくは、オーバーハンドレセプションが苦手で、下がってアンダーハンドで対応するしかなく、攻撃参加ができないようにするか、最悪でも遅らせたい(図2)。
仕掛け2 A選手の前方をフワリと狙う
A選手が一旦前に出る必要があるので、攻撃参加しようとしても助走がとりづらく、不十分な態勢となる。もしくは、A選手を生かすためにB選手が無理に1本目をとりにいったことで、B選手がA選手の助走したいコースを塞いでしまい、結果的にA選手の攻撃参加が不十分なものになるようにしたい(図3)。
仕掛け3 A選手とB選手の間を狙う
A選手とB選手がどちらがプレーするか迷うことで、いずれの選手も攻撃の参加が遅れるようにしたい。特にB選手が1本目が苦手であれば、なおさらA選手とB選手でどちらがプレーした方が良いかを迷い、結果的にA選手の攻撃参加が不十分なものになるようにしたい(図4)。
仕掛けを具体的に3つあげましたが、仕掛け1は単純にサーブ力で相手のオフェンス力を下げようとする試みです。一方で、仕掛け2・3はサーブのみならず、その後のオフェンス側の人の動きや判断も含めて、オフェンス力を下げようとしています。この違いが「2対2」で「3対3」で学べることが異なることを示しています。これから示唆されることは、サーブの練習において、単にサーブの数を打つことに加えて、相手プレーヤーを入れた状態で、かつ、相手が返球してくるまでの一連の流れで評価することによって、ディフェンスにおけるサーブの持つ意味が見えてくるのではないでしょうか。
次回も「3対3」のゲームにおけるディフェンスの課題(サーブのねらい)について解説します。
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