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ブロックの構えで「ハンズアップ」すべきか?

まず、サイドに移動するときに「ハンズアップ」していると、動きにくくなるというのは言うまでもないと思います。「移動するときに手を挙げておけば、『ジャンプするときに』早く手を出せる」と考える人がいるかもしれませんが、『移動するときに』は手を挙げておかない方が速く動けるでしょう。

では、その場でクイックに跳ぶときはどうでしょうか?
手を挙げておいた方が早く高さを出せるのかもしれませんね?
ブロックタッチする位置に少しでも近づけておいた方が、その位置に早く手が届くということでしょうか?

以前にも紹介した動画ですが、クイックに跳ぶときの動きを見てみたいと思います。クイックに跳ぶのは3つ目のプレーになります。

ハンズアップしている選手もいますが動きをよく見てみると、ブロックジャンプの前の(わずかな)沈み込みの時に腕を下げているのが分かると思います。もしここで手を挙げたままでいるとジャンプがしづらくなり、それはかなり大きなマイナスになるでしょう。

ハンズアップは「ジャンプすること」にはマイナスです。
しかし、「間に合うため」には意味のあることなら、プラスの方が大きい可能性はあるでしょう。動画の選手の場合について、メリット・デメリットを考えてみたいと思います。

動画の3つ目のブロック動作の1コマです。

1人は軽くハンズアップしていますが、2人は手を下げています。
(もちろん、手を挙げて構えられると、相手はプレッシャーを感じるでしょうね)

次は、ハンズアップしていた選手が沈み込んだタイミング。

3人とも肘はしっかり下がり、手はかなり低い位置にあります
真ん中の選手は膝が伸び始めています。
ジャンプするには肘を下げておいた方がいいことが分かる1コマだと思います。

次のコマは、真ん中の選手の離陸の瞬間。

真ん中の選手の手はかなり高い位置にありますが、白帯よりはかなり低い位置で、この状態では有効なブロックにはなり得ないでしょう。

次は、画面右側の選手の離陸の瞬間。

真ん中の選手の手は白帯辺りで、ようやく有効なブロックになる可能性が出てくるのがこのタイミングだと考えられます。このタイミングで最大のハンズアップができているので、手を挙げる動作は十分間に合っており、(この選手の場合)この動作よりも早く手を挙げていることには全くメリットはないと考えられます。

極端な場合、ジャンプしなくても有効なブロックになるほど背が高くてネットから手が出ているのであれば、ハンズアップしていた方が有利かもしれません。背伸びに毛の生えたようなほんのわずかなジャンプしかしない場合でも、ある程度まではハンズアップが有効に働くかもしれません。

しかし、ジャンプしなくてもネットから手が出るような選手が戦っているところでは、相手もさらに高いところでクイックを打つことができるので、相手が「ネットすれすれでもいいからとにかく早く打つ」ことにこだわっていない限り、ジャンプしなくてもネットから手が出る選手でも、ジャンプして高さを得る必要があり、ハンズアップにあまりメリットはないと言えると思います。

・ジャンプしようと思ったら手は上げておかない方が有利
・離陸の瞬間には手は上がってくるが、そのタイミングではまだ有効なブロックにはならない可能性が高く、それまでに高い位置にあってもメリットはない

以上の理由で、「ハンズアップはスクリーンと相手にプレッシャーをかける以外にメリットはない」と考えています。

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▶︎布村忠弘のプロフィール


バレーボールに関する記事を執筆しています。バレーボーラーにとって有益な情報を提供することをコンセプトにしています。