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大統領の代役になれるのか? 「デーヴ」

「デーヴ(Dave)」(1993年 アメリカ 110分)
監督:アイバン・ライトマン
出演:ケビン・クライン、シガニー・ウィーバー、フランク・ランジェラ


出典元:https://movies.yahoo.co.jp/movie/15095/photo/?page=5

正直言って、あまり知られていない映画だと思います。
10年ほど前にツタヤの店員さんのおすすめということで見たのが最初でした。
しかし、様々の映画サイトでは軒並み高評価の隠れた名作です。
監督はゴーストバスターズのアイバン・ライトマンで、彼の監督作の中では、評価が最も高い作品と言われています。

あらすじ
アメリカ大統領のそっくりさんとしてローカルに活躍していたコメディアンのデーヴはある日、大統領の一時的な代役を大統領補佐官から依頼される。その間に大統領は脳卒中で倒れてしまい、植物状態となってしまう。デーヴは代役のまま、影武者を演じることになるのだが、操り人形だったデーヴは持ち前の誠実さで、周囲の人たちを巻き込んで政治をいい方向に変えていく。
次第に大統領は人が変わったようだと支持率が向上するが、植物状態だった本物の大統領が亡くなってしまう。
代役だったデーヴが取った選択は…


出典元:https://www.charliessalon.com/dave-1993/

現実にはこうはいかないのは百も承知だが…
あらすじを書いていても、「ありがちな話だな」とか「外部の人が入ってもそんな簡単じゃない」という声が聞こえてくるようです。
確かに現実の政治の世界はしがらみも多く、そんなに簡単ではなく、誠実な人間が利用されるようなこともあります。
しかし、ここに高評価の映画の真髄があります。
あまりに現実離れした内容では見る側が白けてしまうこともあるのですが、映画の中でならこうした希望に満ちた世界があってもいいんじゃないかなと思うぐらい一つの世界を作り上げています。
登場人物たちと一緒に笑って泣いて、そのあとによかったねと言えるような見終わった後の後味の良さは、ほかの作品にはない大きな特徴です。
ずる賢い人間が得をするようなことが多い現実において、世界はこうあるべきなんじゃないか?という一つの指標を掲げているようにも見えます。

地味な映画だが、映画好きな人がおすすめにすることが多い
私自身もツタヤの店員さんがレコメンドしているまで全く知らない作品でした。出演者も知っていた人はシガニー・ウィーバーぐらいで有名な人がそこまで多くなく、派手なアクションもないため、地味な映画として埋もれてしまうのは納得できます。
率直に感じた感想は、ドイツでナチスが台頭していた時代に、ナチス批判を正々堂々と行ったチャップリンの「独裁者」に通じるものがあるというものでした。
世界をよくしたいという想いがあり、映画にできることはこういうことなのかなという普遍的なメッセージを感じました。
最近の作品では三谷幸喜の「記憶にございません」なども同じメッセージを発信していると考えます。
時代を超えて伝えたいメッセージは、どうしても似てきてしまうものではありますが、それぞれの作品の監督や俳優の持ち味がいいスパイスになって、メッセージは後世に残っていくのでしょう。

映画にできることは、スクリーンの中に世界を作って、その世界で夢を見させることです。
その世界が素晴らしいもので、少しでも現実になる可能性があるのであれば、映画を作る人はこれからも映画を作り続けて、映画が好きな人はこれからも見続けるのではないでしょうか。

映画中毒者からの一言
エイリアンシリーズのイメージが強いシガニー・ウィーバーは、損をしている。


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