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しつれん

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どんな過去もあなたを作る道* 苦くて甘くて切なくて辛くて 感情をたくさん味わって”あなた”を作ろう
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#私の作品紹介

波紋の中に

終業式の帰り道、昨日ふった雨の水たまり。 照り返して映る二人の姿からは、少年のような笑顔が輝いている。ちょっと大きめの水たまりの前で二人は立ち止まる。 「なぁ、もしこの水たまり飛び越えれたら好きな人を教えるゲームな」 なんの脈略があっていってるのかわかんなかったから 「飛び越えても飛び越えれんくれても、最悪じゃん」って鼻で笑った あいつはじゃぁ俺からーって、明るい眼差しで無邪気な笑顔が口角に浮かび上がる。スラっと伸びた手足が羨ましい。そして彼は、軽々と飛び越える。 「3組の

始まりの海

一人きりのホテルは、私には広すぎた マグカップにコーヒーを注ぐ時間さえ、長く感じた 潮の香りに涙を引き連れて 孤独が部屋を包み込む、 静寂が心を満たす中で、 希望の灯りがゆっくりと揺らめく。 失恋の痛みが、胸をえぐり 彼との思い出を抱きしめて 私は眠りにつく 波のリズムが過去の痛みをやわらげ 空の青さが未来への道しるべとなる 新たな旅が幕を開ける この場所で 喪ったものよりも 手に入れるべきものがあることを知った 一人きりのホテルで 私は再び生まれ変わる 静けさの

長い長い坂を もう一緒に歩くことはない あなたは新しい道へとダイブする また僕は置いてけぼりで あなたの後ろ姿をただ眺める もうあの頃とは違うんだと言い聞かせ 振り返ることなく前へ進む後ろ姿は美しい やっぱり行ってしまうんだね ただ僕は自分の見つけた道を あとは君のように信じて進むだけ あとがき 別れと新しい始まり。 長い坂道を登る人々は、それぞれの道を選び、新しい未来に向かって進んでいく。置いてけぼりに感じてしまうこともあるが、過去を振り返らずに前を向いて進む決意