時計の契約:第3章12時
12時:時の魔法書
【遙の世界】
ここんところ寝てもすぐに目が覚めてしまう。体が昨日より確実にだるくなっていくのを感じていた。今日もなかなか眠れなくてぼーっと天井を見つめていた。だんだん瞼が重たくなって、夢と現実の狭間で意識がふわふわしていると、遠くから誰かの声が聞こえる気がした。
「兄さん、兄さん」誰かがお兄さんを呼んでいるようだ。その声はだんだんと大きくなり、ついには耳元で
「兄さん、兄さん」と肩を叩かれた。振り返るとそこには見たことがない少年が立っていた。俺には弟はい