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時計の契約(コントラクト)

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5歳の時、颯空(そら)はじいちゃんを亡くし、その深い悲しみに心を閉ざしていた。しかし、一冊の不思議な本と共に彼の人生は大きく変わり始める。 失われた家族への思い、過去への後悔、そ…
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#小説

時計の契約:第1章3時

3時:悪魔の涙 太く低い、耳にまとわりつく、悪魔の途切れ途切れの声が部屋に響く。 「いただ、きまー、、、すぅ」獣のように額から突き出た大きな角と、悪魔の鋭い眼光は、まるでこの世に怖いものなんてないかのように瞬きもせずただまっすぐに見つめている。俺を喰らっているのが感覚で分かった。俺は食べられている。でも不思議とどこも痛くなかった。悪魔と目が合っているが俺を見ていない、何を見ているんだお前は・・・。 悪魔は俺の怒りと憎悪に満ちた視線を受け流し、ずっと不気味な笑みを浮かべてい

時計の契約:第2章5時

第2章:夢幻5時:深い夢の中へ 「遙、また夢をみたんか?頭痛いか?薬飲んでなかったやろ」どういうことかと思い、俺はゆっくり部屋を見渡した。リビングの部屋の隅に父さん、母さん、弟の時翔の写真が一枚ずつ並んでいた。そうか、俺は時翔と話す夢を見ていたんだ。家族は俺が5歳の時に事故で死んでしまった。断片的な記憶が蘇ってくる。家族で少し遠いところまで遊びに行った帰りだった。俺は寝ていたから何があったのか分からなかったが気付いたときには、上下さかさまの車、飛び散ったガラス、動かないおと

時計の契約:第5章24時

24時:再び 眩しい光が部屋全体を包み込む、必死で目を開くが目の前がチカチカする。ようやく目が慣れた時には、じいちゃんが目の前にいた。「よく頑張ったなぁ。えらいぞ颯空ぁ、元気でおるんじゃぞぉ」じいちゃんはそう言ってニコニコ笑っている。だけどその姿はどんどん遠くなっていき「待っていじいちゃん!!」必死にじいちゃんに手を伸ばす。もうちょっとで届く、限りなく遠くまで手を伸ばした。その瞬間、伸ばした腕は空中に浮かび、そのままソファーから転げ落ちた。 「夢か。」 腕を伸ばしたまま、深

時計の契約:最終章25時

最終章:希望の光 25時:日常 この本は小さい時にじいちゃんがくれた本だった。あまり本が好きじゃなかった俺だったが、この本に出てくる黒猫がとても気に入っていた。だから小さい時に見つけた黒猫に迷わず、本の中の猫と同じマレヴォルと名前を付けたんだ。小さい頃は難しくてよくわからなかった本だったが猫のシーンだけは大好きだった。俺は本をパラパラめくってみた。 ある双子の少女はとても裕福でしたが母を病気で亡くしました。数年後新しいお母さんがやって来ますが、双子が気に入らないのでお父