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明日も頑張ろ

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大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
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#眠れない夜に

溶けてわたあめ(仮)

あの空の雲はわたあめのようにおいしそう ふわふわと浮かぶその姿に 疲れた体をゆだねてみたら きっと甘さに包まれて、私は溶けてしまう 雲の中は温かくて、柔らかくて ふわりと抱かれるその瞬間に 重さを忘れて、空へと溶け込む 甘さに染まる心と体 すべての疲れが溶け出して ただ軽やかに漂うだけ 風に運ばれて、どこまでも ふわりと広がるわたあめのように 私は空と一つになり、 無重力の夢の中へ 太陽の光が差し込むと 光の粒がきらきらと踊り わたあめの雲は虹色

もしも、

もしも空が飛べたなら 僕はどこまで行けるだろうか 雲を追い越し、星に手を伸ばして 夜空の向こう側へ、翼を広げる もしも水中で息ができたなら 僕はどれほど深く潜れるだろうか 青い静寂の底、サンゴの隙間を抜け 深海の秘密に耳を傾け、魚たちと踊る もしも一つ願いが叶うとすれば 僕は何を望むだろうか 時間を止め、瞬間を永遠にするか それとも、全ての痛みを消し去るのか 翼を持つこともできる イルカになって海を渡ることもできる けれど、僕が選ぶのは クラゲのように、ただ漂うことかも

左手のドーナツ

左手をドーナツのように丸くして 左目から覗く彼女は 僕の心を読んでるんだって そんなので見えたら苦労しないよって 言い返すんだけど それでも彼女は 見える、見えるよーと言っては 僕を笑わせる そして必ず、明日も大丈夫って見える そう言ってなんの分析力もない言葉を 投げかけて微笑む彼女は 僕を笑わせる それはいつしか僕の中で おまじないのようなものになって 知らない間に、癖になっていた 今日も大丈夫 そうやって鏡の自分へ声をかける あとがき 彼女の癖が彼にも伝わり、日常

夢の灯を持つリリイと夢を食べるドリアン

夢の灯を持つ妖精リリイと、夢を食べる魔法使いのドリアンがいました。リリイは美しい夢を人々に与える存在として崇められ、ドリアンはその夢を食べてしまう存在として嫌われていました。リリイはいい夢を見させて人々へ希望を配りつづけていましたが、ドリアンはそんなリリイのことをよく思いませんでした。 世界ではリリイのように人に夢を与えられるのが正義です。 人の夢を食べるドリアンは誰からも好かれず、一人彷徨っていました。ある日、リリイの作った夢を見ている一人の少女がいました。その夢は、白馬

何度も消えた夢を、また今

綺麗で鮮やかな、花を見るたびに夏を思い出す。 ラムネの清涼感が喉を潤わせ、永遠に時間が止まるような感覚。 行くべき道を見つけるまで、夢中になって生きた時間を。 儚く何度も消えた夢を、また今追いかける。 消えてしまいたいほどの思いが、今まで何度あっただろう。 何度も諦めて、また夢見ては押しつぶされて。 それでもあきらめきれない夢を見たくって、あがいている。 夢を見た時、初めてみる空は、ほのかに明るく穏やかで美しかった。 枯れずに残っていた思いは、ずっと頭の隅に残っていて あ

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

夜の01:08、魔法のライブ

春の風がそよそよと吹く夜、窓辺に佇む彼女はスマートフォンを手に01:08を待つ。今宵も、彼女の日課が始まる。その世界には顔も知らない、どこかの誰かの何気ない日常が小さな花を咲かす。 毎晩01:08から始まるライブ。たった一人か二人のファンのため、彼は歌い、語りかける。彼の優しい声が、寂しい夜を包み込む。彼女は居場所を求め、その時間に思いを浸す。 今日もやってくるいつもの時間。ささいな日常の話しから始まり、心の奥底に触れる言葉を綴る。時間はゆっくりと流れ、彼女はその音色に耳

ふわふわの葛藤

朝からずっとふわふわする 集中力も持たなければ 頭も回転しない それはそうか普段から回転していないから ならなぜだろう このふわふわは 風邪か夢か、はたまた恋か どれも当てはまらない そんな日もあるよと私の中の天使が囁く それでも頑張れよと私の中の悪魔が囁く いや、逆かどっちが悪魔だ もぅそれさえもどうでもよくて いや、本当は考えて考えて儚い答えを 求めたいがそれすら叶わない それほどにふわふわする自分を 憎んだり憎めなかったり おやすみ、神様。

絶望からの抗い

あなたとなら不幸になってもいいと思っていた 今あるものがいつか壊れてしまうくらいなら 今のうちに全部 壊しておこう 全てなかったことにして そうすれば傷つくこともない 永遠なんて最初からなくて 約束なんて初めからしなければいい 記憶も記録も全て消し去って これでもう傷つかないことが約束できる もうそれしか残ってないから 私の柔い心がつぶれる前に あとがき 過去からの解放と新しい始まりへ

背中合わせ

夜更けのトイレへ小さな足が進む 双子の兄弟、手を取り合い、勇気を出す 「今日の映画、怖かったね」と小声でつぶやく 「うん、でも大丈夫。僕が背中を守るから、僕の背中守ってね」と返す 背中合わせ、暗闇に立ち向かう 見えない敵に、心臓はドキドキと高鳴る けれども、二人がいれば怖くない 背中合わせ、勇気がふたりを強くする トイレの灯りが、ほっと息をつかせる 「大丈夫だよ、何もいないよ」と兄が言う 「ねえ、また明日も一緒に行こうね」と弟が願う 背中合わせ、手を取り合って 闇を追い払

月夜のドライブ

目的なんてないけどドライブ 理由なんてないけど窓を開け 音楽と満月を一つ 普段聞かないラップなんて聞いて ちょっと気分上げちゃって どこに行くのかどこまで行けるのか いつもつけるピアスもネックレスも 時計も全部全部置いてきた 何もない私、最強 今日あったいい事を満月に語って 〇と△シリーズ 好きな言葉をお題として組み合わせ詩を作る 今日は 満月 × ドライブ

仮面舞踏会

ピエロの仮面をかぶり 彼女はオフィスの中で踊る 窓辺に並ぶ無機質な灰色のオフィス 彼女の周りには冷たい蛍光灯の光が舞う 書類の山が彼女の机を囲む 彼女は笑顔で耐える 偉い人の前では誰もが仮面をかぶり ピエロのように振る舞う 無情な期待と厳しい眼差しが刺さる 彼女の心は重く、疲れ果てているが 「はい」という言葉で舞い踊る 会議のテーブルに映る彼女たちの姿 ピエロたちの仮面の下の涙の滴 仮面の下には同じ感情が隠されている しかし、それを誰も見抜けない 胸の中で泣き叫ぶ声

誇り高き背中

君の背中には 見えない重みがある 世界が乗せた荷物は 想像を絶するほどの重さ くじけそうになっても 倒れそうになっても 君は前へ進む その姿勢は誇り高く 前だけを見て進んでいけ その決意は力に変わる 俺たちはここにいる 君の背中を支えるために 絶え間なく君の後ろに立ち 強さと勇気を君へ 闇の中で迷う時も 星が導くように 君の背中が照らし 進むべき道を示す どんな困難も乗り越え やがて君は届くだろう 背中に乗せた夢へと 俺たちは共に歩む 君の背中を守ってやる その約束

私はだんごむし

心が弱い僕は すぐに逃げ出す キツイ言葉を僕じゃない人に言っていたとしても 辛くて悲しい気持ちになる そんなことが続くと、自分の弱さを隠すために どこか遠くに行きたくなる 3月はいつも心が乱れるから 決まってこの時期になると人里離れた場所へ行く 山々に囲まれた古びた旅館 何十年も変わらない存在感ある風貌に圧倒された 静かな山の中で、鳥や猿の声が響く 露天風呂は広くて 贅沢な時間だった リフレッシュ、まさにこのことだと感じた 3泊した僕は生きてきた至上最高な時間だったと言