マガジンのカバー画像

明日も頑張ろ

64
大丈夫 あなたは素晴らしい 明日が遠く感じるあなたへ
運営しているクリエイター

#毎日更新

そして、動き出す

世界が止まった 僕の世界だけがぽんと放り投げられた 何もない場所、白い砂漠のような無の中で 時間が止まった 誰とも共有できない 永遠のような静寂の中で、感覚が麻痺していく 息が止まった 不思議と苦しくない 世界と離されて気づく 自分という何もない空っぽな存在 そして、静止した時間が動き出す あとがき 新たなスタートを切るために 一度止まって 自己を見つめなおし 前に進むための準備時間 それは、たくさんの時間を有するほどの停滞かもしれないし トイレ休憩くらいの短い時間

泣き声のない涙

涙が止まらない 涙は実際出てないけど ずっと泣いている 何が悲しいんだっけ 何が辛かったんだっけ 思い当たる節はないけど ずっと泣いている 心が下を向いて虚しい気持ちと 向き合ったまま動けないでいる 運動が足りないのか 瞑想が必要なのか 自分の時間が大事なのか 重く冷たい気持ちが渦巻いては ただひたすら眠る 前に進もうとしては 言葉にできない気持ちが覆いかぶさって 私をはなしてくれなくて 何もできなかった自分への 後悔と喪失感で空っぽだ 明日の私へ謝罪する 今日も

見えない光を掘る

安心する土の中 光は彼には眩しすぎるから そこでいい そこがいいんだ 彼の鼻先は敏感なセンサーで 心の波動を感じ取る わずかな感情の揺らぎも 手に取るようにわかってしまう 日の当たる場所は彼にとって 厳しい現実だった たまに地上に顔をだせば モグラたたきのように 出れば叩かれる世の中だ 暗闇は唯一の居場所で 土の世界は優しく 誰も彼を咎めない 彼はまるでモグラのように 土の中の自由を掴み 見えない光を頼りに 自分の世界を掘り進める 彼は決して孤独ではない 土の中の住

明日はどっちだ

明日の私は何をしますか 半年後の私は何を考えていますか 1年後の私はどこで何をしていますか 3年後の私は生きる意味を見つけましたか 何者でもない私が 人の役に立ちたいと願い 願うだけだった自分を変えるべく 挑戦し続ける けれど 何がしたいんだっけ 何になりたいんだっけ 自問自答を繰り返す日々 答えは見つかりますか? まだ目的が定まらず 足が少しだけ浮いています 浮かれた私を地に戻すには どうすればいいんでしたっけ 前に進むと決めたのに ちょうどいい言い訳を並べて 自

溶けてわたあめ(仮)

あの空の雲はわたあめのようにおいしそう ふわふわと浮かぶその姿に 疲れた体をゆだねてみたら きっと甘さに包まれて、私は溶けてしまう 雲の中は温かくて、柔らかくて ふわりと抱かれるその瞬間に 重さを忘れて、空へと溶け込む 甘さに染まる心と体 すべての疲れが溶け出して ただ軽やかに漂うだけ 風に運ばれて、どこまでも ふわりと広がるわたあめのように 私は空と一つになり、 無重力の夢の中へ 太陽の光が差し込むと 光の粒がきらきらと踊り わたあめの雲は虹色

見えない彼女と見える僕

僕は僕で生きる世界があって この世界に流れる風は、どこまでも冷たい 幾千の星々は、そんな僕にも笑いかけ でもやっぱり、朝になれば泡のように消えていく そこら中を見えないモノたちが潜んでいて 願い事を託す、彼らにはこの世が まるで穴が開いた空のように映っているんだろうか 嫉妬と焦りと闇が漂う世界に何を望むだろうか 冷たい空に見える君を、僕はどうすることもできなくて 海が見える踏切で一人考えてしまう 君に近づく方法は何通りあるのだろうか。 君を見つけてから、灰色であるはずの

寂寥

ぼんやりと月を眺める。 まん丸の月は満面な笑みで、微笑んでいるように見える。 私も思わず笑って、忘れたい感情を滲ませる。 泣けば泣くほど、不思議と笑顔になって空を見上げるのが こんなにも気持ちが良いなんて初めて知った。 昨日までの感情は地上へ残し空へと舞いあがりたい気持ちだ。 地上に残した感情の名前を知りたくて辞書を引いてみるんだけど 何が当てはまるのか分からなかった。 せめて答えだけでもわかったなら、心のざわつきも 少しは落ち着きそうなんだけどな。 映画なんてほとんど見な

赤いクレヨン

赤いクレヨンが一番になくなる 感情がぐちゃぐちゃになった日は ぐちゃぐちゃの心を絵にする 右から左へただ線を引くだけの作業は 私の心を落ち着かせるスイッチでもある 嫌なことがあったり、キツイこと言われたり 回りの気遣いでさえ、嫌味に捉えてしまう時だって そんな自分にため息をついた後は こんな世界におう吐したい気分になる だから気持ちを紙に殴り書きする 赤いクレヨンは私の血かもしれない それを見れば傷つけなくて済む気がして そんな私を2歳の姪っ子が 「いちご、いちご♪」って

心にペンギンを

心の住人ペンギン 心の海を泳ぐ スイスイと 孤独な心の海 彼はただ泳ぎ続ける 時には凍てつく風が吹き 大波に襲われ それすらも スイスイと 「こんにちは、ペンギンよ」 話しかけるとペンギンは お気に入りのサングラスを外してこっちを向いた 彼の目は海のように輝き 心を温かく包む 「やぁ、心の友よ」 ペンギンの声は海を通り抜ける 寂しさを溶かし 優しさを届ける 孤独な道を歩む時 ペンギンはすぐそばにいる 彼の存在が私を支え 自分を取り戻す助けとなる 心にペンギ

夜の01:08、魔法のライブ

春の風がそよそよと吹く夜、窓辺に佇む彼女はスマートフォンを手に01:08を待つ。今宵も、彼女の日課が始まる。その世界には顔も知らない、どこかの誰かの何気ない日常が小さな花を咲かす。 毎晩01:08から始まるライブ。たった一人か二人のファンのため、彼は歌い、語りかける。彼の優しい声が、寂しい夜を包み込む。彼女は居場所を求め、その時間に思いを浸す。 今日もやってくるいつもの時間。ささいな日常の話しから始まり、心の奥底に触れる言葉を綴る。時間はゆっくりと流れ、彼女はその音色に耳

赤い金魚と僕の物語り

風が止み、夕焼けが空を染める頃、静かな町の一角に佇む古びた家。 早くに両親を亡くし、姉は嫁ぎ、広い家にただ一人。生きるために生きている。三十路を目前にし、僕は考えることを諦めていたそんな人生について向き合っていた。金魚鉢の前に座り、水槽の中で穏やかに泳ぐ「金魚」に話しかけて。それは、投影していたのかもしれない。金魚鉢で飼いならされる金魚と僕を。 姪っ子がお祭りで手に入れたその金魚は、飼い猫を理由に僕のもとへと託された。とても小柄で泳ぎ方が少しだけ変な真っ赤な金魚。定期的に水

君を迎えに

こっちだ 次は右だ んー、左だ! ここは、どこだ!? 後ろを振り返ると君がいない 迷わず自分に従って進んできた迷路だけど 呆然と過去を見つめる どこから来たっけ どこの道で間違ったっけ どこに進めばよかったっけ 一人で決めて一人で進んで 誰もいないことに今更気づいて どうすればよかったんだっけ俺は 足を止め考える 後ろを振り返り思い返してみる なぜ俺はここにいるのか 自問自答の日々 君の声に耳を傾けようとせず 勝手に鼓舞し追い詰めて 一人にしたのは俺だったんだ