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ホテルマンの生き様を見せられた「ホテル・ムンバイ」感想

新文芸坐にて鑑賞。ムンバイ同時多発テロで被害にあったタージマハルホテルでの事件を元にした作品です。基本的には史実通りだと思うのでネタバレなどは関係ないはずなのでそのあたりはあまり心配する必要はないと思います。

テロ事件を元にした映画はノルウェーでのウトヤ島銃乱射事件を元にした「ウトヤ島、7月22日」以来でした。この映画はドキュメンタリー風映画となっておりその内容は凄まじいものでしたが、「ホテル・ムンバイ」も負けず劣らず凄惨な内容になっていました。

ストーリーとしては5つ星ホテルであるタージマハルホテルにテロリストが立てこもり従業員、宿泊客を無差別に殺していくというものです。主人公は映画のトップページのこの男性なのですが、実際にはこの男性はあくまでもホテルマンの一人という形で話は進んで行きます。ホテルのレストランの従業員とウェイターはテロ直後にホテルから逃げることもできたのですが、宿泊客をなるべく救うために行動を起こすというのが話の主軸です。

この作品はいわゆる感動モノにしようしていない点が印象的でこのあたりがテロの凄惨さを削ぎ落とすことなく伝えてくれる作品です。一方でテロの実行犯は少年とも取れる若い男性たちのみで、その目的も金品の強奪や復習というものではなく、あくまでも首謀者からこれは必要なことだとある種の洗脳状態でなんの疑いもなく実行している点がやるせなさを感じます。ウトヤ島を観終わったあともそうでしたが、この作品も観終わった後になんとも言えない無気力感を感じました。これはニュースや事件の記事だけを観ても感じることのできないものなのでこれを感じさせるだけでも映画化する意味のあったものだと思います。

ちなみに主人公の男性はシーク教の信徒ですがこの写真ではシーク教のシンボルであるターバンを巻いていません。その理由は映画を観るとわかります。興味がある方はぜひ鑑賞してみてください。


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