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青森市の油川「永遠の未完成」進化し続ける西田酒造店
昔々、油川の川の上流の原野に鶴の親子が住んでいたそうです。
ある年、野火が起こって巣の近くに燃え迫り、まだ飛べない雛鶴をかばいながら親子共々野火に巻かれて死んでしまった。
このとき鶴の体から出た膏(あぶら)が川に浮かんで流れ出たことから、この川の名を膏川と言い、膏川は、後、油川となり、
その下流にできた村の名前も油川と言うようになったそうです
油川大浜の湊は、油川川の河口にありました。
そんな油川に今もあるのが西田酒造の「こみせ」です
「こみせ」とは、商店が軒先を出し合って、雨風や雪を避けて歩けるようにした、アーケード。
「こみせ」は、弘前や黒石をはじめ、五所川原や木造(きづくり)など、津軽の街にはいたるところにありました。
とくに、雪の降る季節には、すごい便利です。
でも、町並みが近代化されて
今では次々に消え、貴重な風景になっています。
西田酒造の「こみせ」は、バス停がここにあることから椅子も置かれ、現在も昔ながらの機能を果たしています。
ところで
西田酒造 さんは
もともとはお酒を作ってはいなかったんだそうです。
もともとは、綿屋さんだったそうです
西田さんの先祖の西田三郎右衛門さんは、油川後潟両組大庄屋でした。
ほかの多くの油川の商人と同じように、近江商人でした。
屋号から、北前船が上方から運んでくる綿や呉服などを商っていたものと思われているんだとか
津軽や南部の造り酒屋の多くは、このような商人から起こっています。
そして造り酒屋として創業したのは、明治11年(1878)
今は人気の日本酒「田酒」そして「喜久泉」を造る蔵元として全国的に名前が知られるようになりました。
日本全国には様々な思いを持った酒蔵がありますが
西田酒造のこだわりは
田酒というブランドに託されています。
日本酒は田んぼから生まれる
「田酒」
これほどシンプルで
強い思いを持つネーミングは他にも
あまりないように思われます。
昨年なのですが、西田さんのくらの見学をさせて頂く機会を得ました。
これまでの酒造りの軌跡、
どんな味を目指して田酒を作っているかなどなど
本当に貴重なお話を伺いました。
老舗企業と言うと
伝統を重んじて変化を避けると思われがちですが、
西田社長の永遠の未完成
それを懐に抱き常に進歩を目指されています。
「人が美味しいと思っていたとして、その美味しいというものは記憶の中で昇華されていくので、変わらずに作り続けるとしたら、前より美味しいという評価にはならない。なので、常に今の品質をより向上させていかなければならない。そうしてはじめて変わらぬ味と言われる。なので常にウチではより美味しくできるように取り組んでいるのです。」
そのような内容を語られていました。
確かに田酒、季節毎に新しい挑戦をされてて、凄いなぁと思います。
又、目指されている味づくり
それは雑味ない
全てを邪魔しない味だということ
田酒だけでは物語は成立しない
そのような酒は作りたくはない
飲まれるシチュエーションに田酒があるだけで、
日々の食卓が映える
いろんな肴と合わせられる
誤解を恐れず言うならば水のような、そんな日本酒を作りたい
そのようなことをおっしゃっていました
まさに究極の食中酒。
それが田酒なのかなと思います。
又、青森市の地酒として田酒の他に喜久泉があります。
こちらは田酒に比べて安価で地元では良くのまれている銘柄なのですが、喜久泉は地元の方々に気軽に飲んでもらうために作っているので、外(県外)には出していない。
いわば青森市の方々に飲んでいただきたいお酒、それが喜久泉
そのようなこともおっしゃってました。
これは業務に関してのことですが
機械化できる部分、機械化したほうがいい部分は
どんどん新しい技術や機械を取り入れていて
大きな放冷機や
麹室も空気を通して乾燥を促す設備を導入
なんでも、日本でも先端の機械を導入しているそうです。
効率化を図るのは
従業員の負担を減らすことで
そこに生まれる余裕が創造性につながる
そのようなことをおっしゃってました。
青森に来られたらある意味、田酒も良いですが喜久泉も是非チェックして頂きたく思います。
田酒、そして喜久泉、進化し続ける西田酒造のお話でした。
鈴木勇(グローバルキッチンサイゴン所属)
参考サイト
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?c=-TDufWkZfCEJ&p=西田一三郎、西田酒造&u=aomori-kaido.com%2Fpage%2F01_aomori%2Fpage_abrakawa.pdf
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