ピエロの星で。
仕事中、どんな時でも眼線を合わせてきて、ふざけたことをやってくれる若い男の子がいる。
彼には機嫌も状況も関係無くて、必ず僕と眼が合うとおちゃらけたことをしてくれる。
数字で力を示そうとして、その数字に自分が押しつぶされそうになっていた雨上がりの午後、彼はまた僕の前で盛大におちゃらけ、他の上司達に叱られてしまう。
仕事は全然できないし、どうしてこんな馬鹿な子のことをこんなに可愛く思うのか。
その子を見ながらそんなことをふと思うと、その訳に気づいてしまう。
悲しさと楽しさの表現が似ている気がした。
彼はきっと、僕のためにピエロになっている。
考えがなんとなくそこに辿り着くと、涙が溢れた。
悲しさから守るように楽しさと悲しさを表現していた。僕は、なんだか彼のことがもっと好きになった。
ふざけて叱られている彼を見ていると、自分がどれだけつまらなさそうな顔をしながら仕事をしていたのかがわかった。彼がそれを教えてくれた。
すぐに大切な人にラインでそのことを話した。
きっと僕も同じようなこと、誰も傷つけないことで笑わせようとすると、そんなふうに言ってもらえた。ひとり傷つくことも小さな優しさも気づかれなくてもと。
今日は、すごく救われた。
悲しくて楽しくて優しかった。
泣いている子供の前でふざける子供。
たぶん、今も昔も。
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