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日影の下の美しい花。

とある得意先の、すごく年下の女の子。

なんなら僕よりも生き別れた息子のほうが歳が近いんじゃないかなと。それくらい年下の女の子。

相談に乗って欲しい事があると食事に誘われる。顔は照れ臭さを隠すような笑い方をしていたけど、眼を見る限りではたぶん本気で誘ってきている感じだった。


この場合、ただ断るだけではダメ。僕に恋し続ける地縛霊みたいになったらいちいち面倒だし、それって本当に可哀相だから。どうか1日でも早く次に進んでほしい。

だから、
こういうのは一撃で終わらせるべきもの。


…と言っても、誘われたのは2回目なんだけど。前回は確か、

「ずーっと好きな人がいましてね、僕の残りの人生はその人のためにって、そう彼女を想いながら毎日幸せに暮らしているんですよ」

そんなことを言った気がする。


今回は断るだけでなく、ずーっと真剣な顔で鼻をほじりながら話を聞いた。指の第一関節は鼻の穴に入っていたと思う。

その指を見ると、半分だけ白い鼻毛がついていた。

「白くなろっと!でも、やっぱりやめた!!」

鼻毛のそんな声が聞こえた気がした。



僕なんて、性格が可愛らしくてそれ以上に顔が可愛らしいだけ。他に取り柄なんて何もないのに。

顔が可愛過ぎるって本当に辛い。こんなことならどうしようもないブサイクに生まれたかった。僕が生まれてくる少し前、僕の顔のパーツひとつひとつを楽しそうに選んでいた天使達に文句を言いたくなる。

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