雑草の下で野菜はどの程度発芽するか?
ランバート・ベールの法則と言うのがあります。
水溶液に光が当たった場合、溶液に当たった光の量と溶液を透過する光量の対数比は、溶液の厚さ及び物質濃度に比例すると言うものです。
・・・理系でない人には分かりくい言い方かもしれませんね、
そういう人は、濃度と厚さが大きくなるほど、透過する光の量は減るんだと大雑把に考えていただいてもかまいません。
で、このランバート・ベールの法則は、太陽光が当たっている植物群落についても当てはまるのだそうです。
つまり、葉がたくさん茂っている(葉面積が多い)、茂みの厚さが厚いほど、下に透過していく光の量は減ると言うことです。
実は、昨年、今頃の季節からヘビイチゴが畑のアチコチに生えているのを見かけて、ヘビイチゴ増殖作戦を試みたことがあります。
ヘビイチゴは地面を這うように生えて、あまり野菜の生育を妨害しません。
ヘビイチゴが地面を覆ってくれれば、他の雑草が生えなくなるのではないかと考えたわけです。
しかし、見事に空振りしました・・・
夏場に生えてくる「強勢雑草」、名前の通り、勢いが強く、野菜の生育を妨害するような雑草達には、メヒシバやオヒシバのようなイネ科雑草が多く含まれます。
このメヒシバやオヒシバが茂ってくると、ヘビイチゴは覆い隠され、ヘビイチゴの方が弱ってきてしまいます。
そして、わずかでもヘビイチゴが生えている間に「隙間」があると、その隙間からメヒシバやオヒシバは生えてくるようです。
では、どの程度にヘビイチゴが茂っていれば、メヒシバやオヒシバが生えなくなるか、昨年、定規を当てて測ってみた限りでは、ヘビイチゴ群落が地面から15cmぐらいに盛り上がるように生えている場所では、メヒシバは生えてこないが10cmぐらいの盛り上がりだと生えてくると言う事でした。
この間、植物生態学の本に、植物群落の光の透過も「ランバート・ベールの法則」が当てはまる、つまり、入ってくる光と透過する光の対数比が群落の「厚み」に比例すると言うことが書かれているのを読んだわけです。
さて、この間、「苗の周りだけ除草」と言うのをやってきました。
ニンジンならニンジンの双葉が出てきた時、その双葉の周りにある雑草だけを取って後は放置します。
ニンジンの種まきをした直後は、畝の表面をきれいにならして「雑草ゼロ」の状態になっています。ニンジンは発芽が遅いので、ニンジンが発芽してきた時には、少し雑草が生えている状態になっています。ただし、生い茂っていると言う感じではなく、雑草の芽がちょっと出てきた程度の状態です。
ニンジンの発芽にもばらつきがあり、すぐに双葉が出てくるものとそうでないものがあります。
「苗の周り除草」方式でやると、ニンジンの双葉が出てきていない場所の雑草は取らないわけですが、そういう場所にやや雑草が茂った状態になった後、出てくるニンジンの双葉もあります。
さっきのランバート・ベールの法則・・・つまり、雑草の茂みの「厚さ」が大きくなると地面に到達する光の量が減ると考えると、雑草がやや茂った程度の状態では、ニンジンは発芽しうるわけです。
ある季節において地表に達する太陽光線の量が一定だとすると、
・地面に達する光の量 ⇒ 雑草の茂みの「厚さ」に対数比例 (1)
・地面に達する光の量 > ニンジンの発芽に必要な光の量 (2)
と言う式を立ててみると
雑草の茂みの厚さの対数関数 < ニンジンの発芽に必要な光の量
だったら、ニンジンは発芽すると言うことになります。
実を言うと、最初のニンジンの双葉が観察されてから、1ヶ月ぐらい立って、雑草の下にあるニンジンの双葉が観察されたりしているのです。
ニンジンの芽が出るたびに「苗の周りだけ除草」を繰り返していくと、徐々に畝全体で雑草の占める面積が減り、ニンジンの株が占める面積が増えていきます。
ニンジンの直近に葉が伸びている雑草を根ごと除去すると、その雑草が占めていた場所全体の地面が「裸地」(ニンジンだろうが雑草だろうが植物に覆われていない場所)化します。
ところが、そういう「裸地」にニンジンの芽が顔をのぞかせている場所があるのです。
この地点は、ニンジンの発芽が遅れ、雑草が先に占有した、しかし、茂みの厚みがまだ薄く、ニンジンの発芽に必要な光量は確保されていた、そこでニンジンも芽を出した、「苗の周りだけ除草」が繰り返されるうちに、占有していた雑草が除去され、ニンジンの芽にサンサンと太陽の光が当たるようになった・・・
(ちゃんとサンサンと「SUN(太陽)ってダジャレを言っているので笑ってくださいね(^^)/・・・♪
しかし、逆に雑草が先にたくさん茂ってしまい、発芽に必要な光量が確保できずに芽が出なかったニンジンもあったかもしれません。
どの程度の茂り方ならニンジンは芽を出すのか?
あるいは、ヘビイチゴとメヒシバの関係のように、「野菜の生育を邪魔しないような草」が地面を占有して「野菜の生育を邪魔する草」が生えない状態を実現するなら「生育を邪魔しない草」の茂みの厚みがどの程度必要なのか?
・・・マジで雑草生態学とか植物生態学でなく、「雑草生態工学」、「植物生態工学」と言う感じになってきています。
(えー、私の理工学部化学科の専攻は「工業物理化学」です。
だんだん、血が燃えてきています。)
まずは、雑草の茂みの下の照度が測れる「照度計」を買おうかなぁ・・・
実際問題として、茂みの下に「照度計」を置くと茂みをかき分けてしまうので、照度計を置かない状態で当たっている光の量を測っていることにはならないと言うか、
野外で、現実に葉に当たっている光の量=それ自体を測ると言うのは、けっこう難しい点がいろいろありそうです。
でも、照度計を置いてみれば、何かを「感じる」かもしれません。
「感じる」ってあんまり「工学」的な言い方ではありませんが、実は「感じる」から「ひらめく」のであり、「ひらめく」から「発見」や「発明」が生まれるのです。
人工知能は「ひらめき」ません。
2週間予報値を見ていて、たしかにゴールデンウィーク前から、最高気温が平年並みに近づいているのですが、晴れている日は平年値を3-4℃上回ることもある、
つまり、雨が降って気温が下がることもあるかもしれないが、「晴れの日」だけで考えれば「けっこう暑い5月」を迎えるような気もしてきました。
こうなると、梅雨の走りから梅雨本番がどうなるか気がかりです。
とりあえず、モロヘイヤの種まきは終わりました。「暖かい4月」、ほうれん草、小松菜、紹菜、チンゲン菜、サニーレタスなどの葉物がよく育っています。