見出し画像

いろいろな草取りの道具と方法を試してもらう「野菜栽培基礎講習」

菜園起業大学の野菜栽培基礎講習は、「自動車教習方式」です。

自動車教習が「クランク路」とか「坂道発進」とか「縦列駐車」等、単元毎に行われるように、「畝立て」とか「土寄せ」等、「単位操作」ごとに体験・反復練習をしてもらう方式です。

年間実習方式と違い、ある野菜を「育て続けなければならない」と言うことはないので、自分のペースで通ってくる事ができます。

現在、講習に来ている人の中には、毎週来る人もいれば、月1回ぐらい、自分の都合に合わせて予約を入れてくる人もいます。

さて、5月末にやってきた受講生の方の単元は「草取り」でした。

まず、立鎌や手鎌、同じ手鎌でも厚鎌や薄鎌など、いろいろな草取り道具を並べて説明をしました。

実は、ご実家が農家だと言う方に、以前、いろいろな鎌を並べて説明したら、「鎌にもいろいろな種類があるんだ」って感心された事があります。

ご実家で草取りの手伝いをする時は、親御さんから普段使っている鎌を渡されて、これで草取りしろと言われるだけなので、鎌の種類と言うことを意識したことがないのだそうです。

菜園起業大学・野菜栽培基礎講習のように単元ごとの学習方式の場合、重要な事は、見沼菜園クラブで普段やっている方法に「最適化」しないように心がける事です。

つまり、僕が普段やっている「草取り」なら「草取り」の方法を教えるのではなく、「草の種類」と「種類ごとの特性」とか「草取り道具の種類」と「特性」について伝えていって「草取り」と言う作業自体の「性格」のようなものを理解してもらうと言う事です。

この日は、実際にいろいろな草取り道具を使って、草取りをしてもらいました。

「こっちの鎌の方が使いやすい」、「よく切れる」・・・

やっているうちに、いろいろな道具の特徴を感じ取れるようになってきます。

体験してもらいながら、少しづつ説明していきます。

・・・匍匐性の草と言うのは、植物は出来るだけ高い位置に広い葉をつければ、日の光を独占できるから生存上有利だと言えます。

しかし、高い位置に広い葉をつけるためには、茎を太くしないと途中で折れ曲がってしまいます。茎を太くすると言うことは光合成産物を「葉」ではなく、「茎」のために使わなければならないので、葉を茂らせるためにはマイナスです。

そうは言っても、出来るだけ茎と言うか、幹を太くして高い位置に葉を茂らせる方向に進化したのが「木」で、地表付近で細い茎で茂る方向に進化したのが「草」です。

草の中でも比較的茎を太くして、高い位置に葉を茂らせるような夏雑草があります。

春、ハコベやツメクサのように地表を這うように広がっていく草は茎が細く、長くなっています。

これらの草は、夏場に背が高くなる草が生えてくるとそちらに日の光を奪われてしまいますが、その前に種をつけて子孫を残すと言う生存戦略を取っているわけです。

こういう草は茎から根が出ていないので、根はすぐ取れますが、茎と茎が絡まり合っている上、同じ草だけが生えているわけではなく、いろいろな種類の草が生えていて、相互に絡まり合うので、そういう状態を相手にするのに手間がかかるわけです。

みたいな感じの解説です。

今回の受講生の方は、こういう春の匍匐性雑草が生えている場所をキレイにするには、立鎌を使うと良いと言うことを理解しました。

茎が細いので立鎌を持ってきて、「ザッ、ザッ」とやると、茎が切れて地面を覆う雑草群がなくなっていくように見えます。

そこで再び解説をします。

・・・こうして地面から草がなくなったように見えますが、「根」は残っています。ただ、こういう状態なら例えばトラクターでそのまま耕起してもあまりロータリーに草が絡みつくことはありません。

また手作業ならクワで耕してウネを立てることも可能です。

根も除去したいなら、手鎌で残っている根を取る方が作業しやすいです・・・

また、匍匐性雑草に混じって生えてきている他の草、例えば、これから夏場に向けて繁茂するメヒシバのように「叢性+匍匐性」、茎からも根を出して地面に根を張っていく「強勢雑草」を取る場合、匍匐性雑草のようにはいかない事、

地面の近くで「バッ、バッ」と手鎌を振るうと土が葉や茎を刈ったものの地際の茎が取り切れておらず、わずかに残っている草の上にかかってしまい、「草を取ったように見える」けれども、実は取れていない(周りの草がないので、日の光を独占して元気に再成長を始める=次回来ると、この間、あれだけ草を取ったのに、また生えてきたとウンザリする原因となる)と言ったことを説明したり、実演してみせたりしました。

刈払機を使うと、多年草の根や地下茎タイプの草の地下茎が生き残り、また芽生えてくるので、多年草や地下茎タイプの草がたくさん生える状態になっていく事なども説明しました。

こういう風に「雑草の(種類ごとの)特性」と「草取り作業」の関係について、体験しながら学ぶ・・・

菜園起業大学の野菜栽培基礎講習では、そういう実習を行っています。

5月末から6月の最高気温平年値の動きをみると、基底線が上昇しつつ、低温期と高温期が交代しています。

平年は、6/9–6/14が低温期で6/15を境に6/16–6/20が高温期です。

2023は、5/29、5/31、6/2が例外的に低かっただけで、5月末から6月初めまでずっと高温期が続いていると見ることも出来ます。
2週間予報の様相は、6月中旬も1、2日の例外を除いて、ほとんど低温になる日がないまま、高温期が持続すると考えられるかもしれません。
中旬は、雨が降らなければ28–29℃の真夏日一歩手前状態が継続するようです。

この状態のまま、6月後半、最高気温の平年値 26℃-27℃の時季に入るとどうなるのでしょうか?

陸地における気温の高さに応じて、日本近海の海水温も高い状態になるとすると再度の線状降水帯発生、集中豪雨が起きるかもしれません。

お天気の様子を見ながら、ブロッコリー、キャベツ、セロリ等の種まきをする時季が続きそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?